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新版K式発達検査2001(K式)の適用年齢と対象として想定する疾患について

新版 K 式発達検査 2001 ( K 式)の適用年齢 新生児から成人までを検査対象としていますが、実際に K 式が使用されているのは、主として乳幼児です。検査用紙は全 6 枚のうち 6 歳半までで 4 枚を使用しており、就学前の時期に精度が高く設定されています。 1980 年に公表された「新版 K 式発達検査」の後に公刊された「増補版(新版 K 式発達検査 1983 )」において対象年齢が 13 、 14 歳まで拡張しましたが、この検査を利用してきた精神運動発達に問題のある子どもたちが成人になり、一貫した発達評価・理解の必要性から、 2001 年版の改訂の際にさらに拡張し、成人にも適用できる検査となりました。 新版 K 式発達検査 2001 ( K 式)の対象として想定する疾患について 特殊疾患の診断用として作成されたものではなく、検査結果のみから疾患についての断定的な解釈はできません。 しかしながら、発達年齢( DA )と発達指数( DQ )が定量的に得られ、検査中の子どもの反応も含めた検査結果から、身体障害・知的障害・発達障害などの臨床的問題についての情報を得ることができます。

新版K 式発達検査2001(K 式)と関連するほかの検査との使い分け

発達の遅れが疑われる場合、子どもに直接施行する検査として、 K 式のほかに田中ビネーⅤ、ウェクスラー式検査( WPPSI ‒Ⅲ、 WISC ‒Ⅳ)などがあります。 K 式は発達検査であり、田中ビネーⅤ、ウェクスラー式検査は知能検査です。 発達検査では発達指数( DQ )が、知能検査では知能指数( intelligencequotient : IQ )が算出されます。発達検査は、姿勢・運動面をはじめ、適応面、社会面などの行動発達のさまざまな側面を含む点で、知能検査との違いについて指摘されています。 また K 式は検査用具や検査項目が子どもにとって馴染みのあるものが多く、施行順序も定められていません。 そのため、姿勢・運動面や情緒・社会面および言語面など発達的に未分化な乳幼児に対しては、子どもの状態や興味、理解に合わせて検査を実施できる K 式が適当であると考えられます。 適用年齢は、田中ビネーⅤは 2 歳以上であり、 WPPSI ‒Ⅲは 2 歳 6 か月以上、 WISC ‒Ⅳは 5 歳以上となっています。 K 式は 0 歳から可能であるため、 2 歳未満の子どもには K 式を選択することになります。 一方で K 式の姿勢・運動領域において 3 歳 6 か月以上の項目は存在せず、第 4 、 5 葉( 3 ~ 14 歳)はビネー式の検査に共通している部分も多くあります。 そのため、 3 ~ 14 歳における K 式の言語・社会領域の発達指数( DQ )と、ビネー式の知能指数( IQ )は類似した数値が得られる可能性が高いとの言及もあり、使用場所や目的、状況により検査を選択する必要があります。

新版K式発達検査2001(K式)の概要について

新版 K 式発達検査 2001 ( K 式)は、乳幼児の発達の遅れや偏りなどを理解するために、保健、医療、福祉、教育など幅広い分野で利用されています。 市町村の保健センターや療育施設などの発達相談を行っている機関では、子どもの発達の評価や支援の手がかりを得るために K 式が用いられることが多いです。 低出生体重児に対しては発達のフォローアップのために病院などでも K 式が施行されています。また、療育手帳の判定や就学相談などで利用される場合もあります。 新版 K 式発達検査 2001 ( K 式)では子どもの全体的な発達の状況を捉えることができます。「姿勢・運動」、「認知・適応」、「言語・社会」の 3 つの領域からなっており、それぞれの領域と全領域の発達年齢( developmentalage : DA )および発達指数( developmentalquotient : DQ )が算出されます。 子どもの発達への知識と経験を前提とし、標準化された手続きと用具を用いたうえで、検査では子どもが緊張せずに課題に取り組めるような雰囲気を作り、子どもの日常的な反応を見ていきます。 0 歳児では検査する際の施行順序が決まっていますが、 1 歳以上の子どもに行う検査項目の施行順序は特に定められていません。 被検者の生活年齢よりも下の年齢区分の容易な項目から始めたり、動作性の検査項目を適宜実施したりすることで、子どもが検査に興味をもち、注意が持続するように施行順序を工夫します。 検査用紙上の各行すべてについて、通過(+)する項目から不通過(-)の項目へ移行する領域を決定します。     

思春期の発達障害児の必要な支援について

小学校から中学校への生活の変化は大変大きく、中学入学後すぐに「課題が出ていないと高校に行けない」とプレッシャーをかけられます。 学習困難や集中の持続の困難を持ち合わせる発達障害児は、心身をすり減らして課題に向き合おうとするがなし得なかったり、「どうせできやしない」と無気力になったりします。 周囲が対応に困惑しがちな時期ですが、本人自身もかなり苦しんでいます。 このような時期は、周囲の大人が安定した態度で関わること、そして関わる大人が必要に応じて役割分担をして対応することが必要です。 ①    定的な自己像の確立に向けて 失敗体験を積み重ねてきた発達障害児は、思春期になると自分ができていない部分を過剰な程に意識したり、周囲の反応を被害的に捉えやすかったりします。周りがいろいろ助言しても、頑固さが著しく聞き入れにくい状態にあります。「普通」であることを欲し、「普通」でない自分を否定します。 中には、非行グループに自身の存在価値を見出す発達障害児もいます。 このように固定観念がより強まっている時期には、何とかいろいろな場所を体験させたり複数の大人が関わる中で、多様な価値観があって良いことを伝えていきたいところです。すなわち自分なりのやり方やペースがあって良いのである。 小中学校は、多様な子ども達に同じやり方を求めるのだから、個性的な発達障害児には大変苦しい時期です。しかし高校は、本人に合った居場所を選択することができます。その先の専門学校や大学、就職となると尚更自分の興味あることに打ち込みやすいです。 その先をイメージしながら、義務教育最後の 3 年間、何とか自分なりにやって行こうと思えるように関わっていくと良いでしょう。 また、課題やノート提出については、本人の負担が周囲の負担と同様ではないのであれば、「合理的配慮」を学校にお願いすることもできます。 合理的配慮の具体例は、文部科学省の HP 等に示されています。 ノート提出をコピーで代用する、課題の量を調節する、タブレット学習を取り入れる、試験の時間を長くする等、さまざまな対応が可能です。国立特別支援教育総合研究所が運営している「インクル DB (インクルーシブ教育システム構築支援データベース)」 2 )というウェブサイトの中...

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