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1月, 2020の投稿を表示しています

学童期の発達障害児の必要な支援について

学童期は、自由奔放に走り回ることのできた保育園生活から、急に集団で同じ行動を取ることを求められる小学校生活が始まり、子ども自身への負荷が強まっていく時期です。対人関係のトラブルも生じやすくなり、いじめの対象となったり不登校となってしまうこともあります。発達障害児の支援としては、担任はもちろん、必要に応じてスクールカウンセラーや特別支援コーディネーター等も活用しながら、子どもの状態について学校と共有し、適切な支援を求めていくことが必要です。 ①自己効力感を育む 周囲と同じ行動が求められる学校生活の中では、発達障害児はどうしても失敗体験を重ねがちです。適度な失敗体験は、体験から学ぶことにつながるとも言えます。しかし、同じ失敗を繰り返し周囲から卑下されたり、失敗体験と成功体験のバランスが著しく悪かったりすると、被害的な捉え方が強まったり、攻撃的になったりすることもあれば、不登校になったり抑うつ的になったりと内へ籠もる形となることも少なくありません。このような子ども達は、「自己効力感」が低くなってしまします。 「自己効力感」とは、わかりやすく言えば「やったらできる」という感覚です。自己効力感が高い人は、さまざまな課題や困難に直面しても遂行しようと課題に向き合うことができます。一方、自己効力感の低い人は、目の前の課題を実際よりも困難に感じてしまい、「どうせ自分なんて…」と課題に向き合うことができません。 学童期は、このような失敗体験を繰り返しやすい発達障害児に、少しずつ自己効力感を育んでいきたい時期です。自己効力感を育むためには、「成功体験を積ませる」ことが最も大切です。それは大きな成功でなくても良いです。 例えば、小学 4 年生の算数に蹟きが生じ、やる気をなくしている子どもには、小学 2 ~ 3 年生の課題を与え達成感を持たせる。あるいは、計算問題が 20 問あるプリントにどうしても向き合えない子どもには、 1 枚に 3 問のプリントを複数枚やらせる。子どもにもプライドがあるので、実年齢より低い学年の課題ばかりでは、意欲が生じにくいかもしれない。そのような場合は、どこかにプライドをくすぐる材料も含めたい。例えば、算数は 2 学年下であっても、本人が好きな社会は少し先取りした知識を教える。歴史上の人物を使って漢字を練習します。好きなキャ...

乳幼児期の発達障害児の必要な支援について

乳幼児期は、人間の基盤を形成する上で非常に大切な時期です。この世の法則が何もわからないままに生まれてきた赤ん坊は、泣くことで不安や空腹不快感を訴えます。泣けば養育者が現れ、抱き上げてもらえる、あるいは空腹を満たしてもらえる等、問題が解決されます。つまり、「泣く」ことは最初のコミュニケーションであり、それが問題解決につながることで、人と人との相互関係の基盤が築かれていくことになります。 母親の方も、子どもの中に情緒的な応答を見出したときに、育児の疲弊が吹き飛ぶような喜びを感じるものです。こうして相互的なコミュニケーションはさらに発展していきます。 一方、自閉スペクトラム症( AutismSpectrumDisorder ; ASD )児では、泣かない赤ん坊であったり、泣き止まそうと抱き上げたり授乳したりしても泣き止んでくれません。視線も合いにくく、応答性が乏しくなります。母親よりもテレビ画面や回転するものに没頭します。自閉スペクトラム症児では情緒的な応答性が乏しく、養育者は子どもとのコミュニケーションの取り方に戸惑い、相互的なコミュニケーションが発展しにくくなります。 つまり、「言葉の遅れ」は、本人が生来持つ言語能力の問題に加え、このような環境的因子にも影響し、負の連鎖を生じているということになります。 このような負の連鎖への介入として、乳幼児期に必要な支援の 1 つは、「子どもとの関わり方」のサポートです。 人に興味を持ちにくい子どもにどのように関わって行くか、子どもにどのように人との関わり方を体験させていくかについて、発達障害特性を踏まえ対応を考えていくことが大切です。 ①物よりも人に興味を向けさせる 子どもが好む要素を用いて、こちらに興味を持たせたり、相互的な応答につなげることを目指します。まず、好きな刺激は何かを考えます。くすぐられること、ゆらゆら揺らされること、回転すること・もの、ジャンプすること等子どもそれぞれの嗜好があります。好きなキャラクターやジャンルも使えます。それを用いて、保護者との双方向的なやり取りを目指します。 3 、 4 歳以上になれば一緒に作業をするのも良いです。作業の中には、言語的・非言語的コミュニケーションを多く含んでいます。一緒にジャガイモやにんじんを洗って食事の用意をし...

機能的口腔ケアの訓練法について言語聴覚士が解説

機能的口腔ケアは、摂食嚥下リハビリテーションの間接訓練(食物を用いずに行う訓練)に相当します。口腔ケア時に行えるものとして、口腔周囲のマッサージや口唇・舌・頬の運動訓練などがあります。 間接訓練には、自分の力で動かして運動する方法(自動運動)と、自分では行わず介助者が行う方法(他動運動)があり、患者の状態に合わせて選択します。 これらの訓練内容をふだんの口腔ケアのなかに組み込むことで、口腔ケアの効果をさらに高めることができます。 今回は主に、口唇・舌・頬の運動訓練を紹介していきたいと思います。 口唇・舌・頬の運動訓練 口唇・舌・頬の運動訓練は、口腔器官の筋力・拘縮・感覚などの低下を予防し、主に食べ物を咀嚼し飲み込みやすい食塊(飲み込みに適した 1 つのかたまり)にする(準備期)、舌によって咽頭へ送り込む(口腔期)という 2 つの機能向上を目的として行われます。 1.       口唇の運動訓練 他動運動の場合、第 1 指と第 2 指で上唇を軽くつまんで伸ばす、収縮と伸展運動を繰り返します。下唇に対しても同じように行います。指示に従える場合は、同様の動きを自動運動として行ってもらいます。 2.       舌の運動訓練 他動運動の場合、まずは湿ったガーゼで舌の前方を包むようにしっかりと保持し、前方、上方、左右の側方への運動を行います。自動運動ができる場合は、舌を突き出す、挙上する、左右への側方運動を行ってもらいます。 視覚的フィードバックができる場合は、鏡などを用いて動きを見てもらいながら行うと効果的です。 また、抵抗運動が可能ならば、ブラシの背などを使って負荷をかけて行うのもよいでしょう。 3.       頬の運動訓練 頬全体は手のひらで円を描くように、ゆっくりとストレッチをかけながらマッサージを行います。ガーゼを巻いた指や歯ブラシの背、スポンジブラシやくるリーナブラシなどを用いて、内側から頬の筋肉を伸ばす運動を行います。 4.       運動訓練前後の注意点 これらの運動は、...

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