吃音は原則として発話・発声器官に器質的な問題がなく(耳鼻咽喉科医が確認)、これらを協調して動かすことが困難となる疾患です。診断のためには器質的な問題を除外し、吃音に特有な発話症状(中核症状)があることを確認します。
中核症状について
下記の3つが吃音の中核症状であり、これらの合計が100文節中に3以上あり、かつその症状がある程度継続的に認められる(目安として半年以上)ことで診断します。
①音あるいは語の一部の繰り返し
②音の引き伸ばし
③発話の阻止
これらはそれぞれ、①連発、②伸発、③難発ないしブロックとも呼ばれます。また、これらは、吃音症のタイプ分類ではなく、症状の分類であり、同一の患者に複数の症状が出ることがあります。
「音」は基本的には音節か音韻ですが、発音が崩れて特定の音韻と同定できない場合も含みます。
連発は単語の一部となる2音節以上の連続音を繰り返す場合も含みます。
ただし、単語全体を繰り返すことは中核症状に含めません。
繰り返しの回数は3回以上であれば確実に吃音の中核症状です。
阻止は音(ことば)が出ないことで、青年期以降はこれが中核症状の中で最も高頻度になります。重症では数分以上も言えないままになることがあります。
中核症状は、ほとんどが語頭で生じますが、稀に語中や語尾・分節末で生じることもあります。
非中核症状について
吃音に特徴的だとは言えない発話の非流暢を「正常範囲の非流暢」と言います。吃音では中核症状以外にも、以下のような多彩な症状が出現します。
①単語や文節の繰り返し
②発話の工夫
③発話の回避
④随伴運動
⑤情緒性反応
⑥状況依存性
日常会話ではこれらが中核症状より目立つこともあります。
発話の工夫としては、力を入れる、延期する(間投詞等の挿入、単語の順序を変える、直前の単語や句を繰り返す)等があります。
発話の回避は、苦手と思っている音で始まる単語等を言わないようにする場合と、発話機会そのものを避けることがあります。前者は、言い換えや説明的表現(迂言)になることがあります。後者では、発表や朗読が当たる日には登校しないこともあります。
随伴運動は、発話に際して顔面に力を入れたり(渋面を作る、口唇に力が入るなど)、手足、首、身体を動かす、もがくような動作をする、視線を逸らすなどすることを言い、運動を自覚していない場合もあります。
吃音があると、小児期にそのせいで笑われたりからかわれたりする者は半数を超えてしまいます。
不登校になる場合は、教師の無理解・配慮不足や、他の障害の併存の可能性にも注意が必要です。