顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー (FSHD)の病因・病理・病態生理
顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー は、常染色体優性遺伝をとる浸透率の高い疾患です。
頻度は他の筋ジストロフィーに比べると低く 、人口10万人あたり0.2~0.5人です。
本症の遺伝子座は第4染色体長腕テロメア4q35-qterに存在します。
この部位を認識するプローブを用いてサザンブロット法を行うと 、大半の患者では正常よりも短い(<35kb)制限酵素断片が得られ(遺伝子の欠失) 、診断に役立ちます。しかし 、遺伝子はまだクローニングされていません。
筋生検では筋線維の大小不同 、壊死・再生など筋ジストロフィーの変化がみられます。
時に炎症細胞の浸潤をみて 、筋炎との鑑別を要することがあります。
顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー (FSHD)臨床所見
発症は小児期から成人前までと幅広く 、また症状も幅があります。
患者の家族をみると表情が乏しいだけで 、四肢には全く筋力低下をみないこともまれではありません。
病気は上肢の挙上困難で気づかれることが多いです。
肩甲帯周囲の筋萎縮が強いので 、病初期から翼状肩甲winged scapulaeがみられます。
大半の患者では顔面筋がおかされ 、頬のふくらみがなくなり 、表情が乏しくなり、病気が進行すると 、筋力低下は下肢にも及びます。
本症の筋罹患は左右非対称であることが特徴的であるとされています。
心・肺機能はおかされにくく、難聴 、網膜症retinal vasculopathyが約半数の患者にみられます。
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