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7月, 2019の投稿を表示しています

90%の児童が正しく構音できる時期について

小児の構音障害を診る時には,健常児の構音の発達を考慮しなければいけません。 下記の表は、単語レベルで 90 %の児童が正しく構音できる時期を示しています。 子音の構音では,特に[ s ](サ行),[ ts ](ツ),[ dz ](ザ,ズ,ゾ),[ r ](ラ行)の完成が、他の子音に比べて大きく遅れており、 4 歳代ではこれらが不完全であっても必ずしも異常とは言えません。したがってこのような児では他の音の誤りの有無や、構音発達の経過に留意しなければいけません。 90 %の児童が正しく構音できる時期 4 歳 0 カ月~ 4 歳 5 カ月 w , j , h , c , p , b , m , t , d , n , k , g , tʃ  , dʒ 4 歳 6 カ月~ 4 歳 11 カ月 ʃ  5 歳 0 カ月~ 5 歳 5 カ月 s , ts 5 歳 6 カ月~ 5 歳 11 カ月 dz , r 6 歳 0 カ月~ 中西靖子,他:構音検査とその結果に関する考察.東京学芸大学特殊教育研究施設報告 1 , 1 - 21 頁,より改変 .

筋強直性ジストロフィー(MD)と摂食・嚥下障害

筋強直性ジストロフィーの摂食・嚥下機能の病態 国立病院機構筋ジストロフィー病棟の 2000 年から 2004 年の MD の死因を 5 年間の累計でみると、呼吸不全が 27.9% 、次いで呼吸器感染症 21.8% 、呼吸不全と呼吸器感染症併記が 5.5% と呼吸器系の関与が目立ちます。 呼吸器感染症には誤嚥性肺炎も多く含まれていると考えられ、摂食・嚥下障害が、この疾患の予後と強い関連をもっていることを示唆しています。 嚥下障害を引きおこす要因には、ミオパチーによる嚥下筋力の低下、ミオトニア、中枢神経障害があげられています。 ミオトニアについては、筋電図により顎下筋の放電を確認した報告があります、嚥下運動の中でどのように関与しているかについては明らかではありません。 MD では、認知期・準備期の問題、口腔の形態的・機能的問題、咽頭期・食道期の問題がいずれも存在します。 CTG 三塩基反復数と嚥下機能重症度との関連は明らかでないといわれています。 MD 患者のなかには、誤嚥を繰り返しながら経口摂取を続けているものが少なからず存在すると推察されますが、自覚症状やスクリーニング検査で発見することは困難と言われています。 摂食・嚥下運動の各プロセスにおける障害 認知期 認知障害による摂食行動異常 ( 次々に大きな食塊を口に詰め込むなどの行動 ) や病識の甘さなどがみられます。嚥下障害の自覚症状として、のみ込みにくさを 45% 、むせを 33% が訴えているとの報告もありますが、一般に自覚の乏しい場合が多く、誤嚥のリスク管理上十分な観察が必要です。摂食・嚥下障害の自覚に乏しく、自食患者の誤嚥のリスクはかなり高いと言われています。この点を踏まえた、見守りと管理体制が必要となります。 準備期 不正咬合は 35% にみられ、前歯と小臼歯部の歯が噛み合わない開咬があります。咀嚼力低下は不正咬合と咀嚼筋 ( 咬筋と内側翼突筋 ) 筋力低下の両者によってもたらされます。咬合力は健常者の 1/10 程度ですが、咀嚼障害について病識が少なく、不十分な咀嚼でのみ込む行動がみられます。不正咬合に対し、口腔外科的矯正手術が有効との報告があります。 口腔期 鼻咽腔閉鎖不全、軟口蓋挙上の遅れ、咽頭への送り込み...

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