Chiari(キアリ)奇形の病型や分類、臨床症状について





Chiari(キアリ)奇形とは、後脳(小脳,橋および延髄)の一部が大後頭孔を越えて脊柱管内に陥入する形態を呈する疾患です。

1891年に病理学者のHans Chiariが後脳の奇形を4型に分類して報告しました。

それ以前の1883年にClelandがChiariⅡ型と脊髄瘤、水頭症を合併した症例を発表しており,これが後脳奇形に関する最初の論文とされています。

そして1894年にArnoldが二分脊椎を伴ったChiariⅡ型と思われる後脳奇形を報告しました。

これらの経緯から、Cleland-Arnold-Chiari奇形やArnold-Chiari奇形という呼称が生まれましたが、最近はChiari奇形という用語が使用されています。

Chiari(キアリ)奇形の頻度
ChiariⅡ型奇形は、家族内発生が約3%にみられ、神経線維腫症Ⅰ型や低身長を呈する成長ホルモン分泌障害の例に発生しやすいといわれています。


Chiari(キアリ)奇形の病型と分類について

Chiariは以下の4型に分類していますが、多くはⅠ型とⅡ型で、Ⅲ型は稀です。そしてⅣ型は後脳の陥入を伴わないためChiari奇形には含めないとされています。

Ⅰ型:小脳扁桃が脊柱管内に下垂しますが第4脳室は陥入しません。成人に多く、髄膜瘤を伴うことはありません。水頭症の合併は10%程度で、脊髄空洞症が50~85%にみられます。

Ⅱ型:延髄、第4脳室、小脳虫部が脊柱管内に下垂します。新生児期からみられ、水頭症の合併を90%程度みられます。

Ⅲ型:小脳全体が頚椎破裂部や髄膜瘤に陥入したものをいいます。

Ⅳ型:水頭症に小脳形成不全を伴うものをいいます。


Chiari(キアリ)奇形の臨床症状
Ⅰ型:症状は多彩であり、非特異的なものが多いです。発症年齢は30歳代前後が多く、Valsalva法で誘発される後頭部や頚部の痛みが特徴です。神経症状は大孔部圧迫症状(脳幹、下位脳神経障害)、脊髄症状、小脳症状の3型があります。脊髄空洞症を伴う場合には宙づり型の解離性感覚障害がみられます。

Ⅱ型:生後1~3ヵ月で発症することが多く、喘鳴、無呼吸発作、嚥下障害、誤嚥と肺炎、チアノーゼ、四肢麻痺などがみられます。3ヵ月未満の延髄機能障害はChiari crisisとして注意を要します。




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