幼児期にことばの遅れを見極めるには、言語発達の観点から次の 4 つの時期が大切です。 ① 初語出現の頃である 1 歳~ 1 歳半面 ② 二語文出現の 2 歳頃 ③ 会話がほぼ完成する三歳頃 保健所の 1 歳半健診、 3 歳半健診はこの①と③をカバーする時期に行われます。ことばの遅れを端緒として学童期軽度障害につながる子どもが多いです。 1 歳~ 1 歳半頃の発見のポイント 1 歳半頃には、 90 %の子どもがパパ、ママ以外に 3 つの単語を言えるようになります。ことばの出現が 1 つの発達の指標になりますが、ことばの出現時期には個人差があり、ことばの出現を指標にすると問題を見逃す可能性があります。 ことばの出現と同時に大きな指標になるのは、コミュニケーションの発達からみる前言語伝達行動の出現(使用)と、特定の人への愛着が育っているかという点です。前言語伝達行動は、ことば出現以前に見られるコミュニケーション手段をさします。 代表的なものは、指さしに視線や発声を伴ったものですが、これは、生後 10 か月頃に見られ始めます。 前言語伝達行動の例をあげると、窓の外を指さし、母親を見ながら「あっあっ」と発声し、「犬がいるよ。見て」と知らせたり、大人の方を見て、「あっあっ」と車などの玩具を差しだし、動かしてほしいと伝えます。 相手を見る、発声で注意喚起をするという行為(行動)は、誰に伝えるのかを知っていることを示し、指さしや物を渡す行為は伝達意図(伝えたいこと)を示します。 この前言語伝達は後々のことばによるコミュニケーションにも大きく関連するものです。 1 歳を過ぎても前言語伝達行動が出ていない場合は、知的な遅れと広汎性発達障害を疑います。知的な遅れの場合には、発声で注意を引いたり、母親とのアイコンタクトがあり、母親への甘え、分離不安など愛着行動が見られるのが特徴です。 前言語伝達行動が出現していないか、クレーンハンド(手を引く)などの伝達行動があっても、その時に視線を伴わない等の特徴が見られる場合、同時に人見知りや、母親への甘えの欠如が見られる場合には広汎性発達障害を疑います。 2 歳から 3 歳...