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12月, 2018の投稿を表示しています

包括型地域生活支援(ACT)についての解説します。

包括型地域生活支援(ACT)とは? ACT(包括型地域生活支援)とは、統合失調症を主とする重度精神障害者の地域生活を、医療と福祉の多職種からなるチームによる生活現場への訪問を中心として支援する体制です。 ACTチームは、精神科医、看護師、精神保健福祉士、作業療法士、臨床心理士、就労支援専門家など多彩な顔ぶれからなります。これらのスタッフが定期的に、あるいは必要に応じて、利用者の自宅や職場を訪問して、医学的治療、広範な生活支援、レクリエーション、リハビリテーション、就労支援、家族支援など精神障害者の療養と支援に必要なあらゆる支援活動を行います。 さらに、急性増悪期には24時間365日の危機介入を同じチームが受け持つようにして対応します。 包括型地域生活支援(ACT)の意義 このような支援体制は、特に医学的治療を要する疾患と日常生活上のつまずきをきたす障害が表裏一体となって存在している統合失調症の回復に対して大きな意義をもちます。 つまり、①多職種による多角的支援、②チームによる継続的支援、③アウトリーチによる生活現場での支援、④24時間の危機介入という特性が、「安全保障感」に乏しい統合失調症にとって心強い助けとなり、その基盤の上に、障害を乗り越えて生活を営んでいく「リカバリー」が生まれます。 包括型地域生活支援(ACT)の方法 1つのACTチームは10-15人のスタッフからなり、スタッフ1人につき利用者数はおよそ10名です。 各スタッフは利用者10人程度の主担当者となってケースマネジメントの責任をもちます。 主担当者は、他のスタッフ2-3人と各利用者の支援を行います。 この小さな担当チームを個別援助チームIndividualTreatmentTeam(ITT)といい、ミーティングを密に行い時期に応じた適切な支援を提供します。 このように職種にかかわらず利用者への責任をもつACTでは、スタッフ間で自由に意見をいえる雰囲気と平等性が大切です。 医師を頂点とした堅固なヒエラルキーのある病院医療の思想や雰囲気を、ACTに持ち込まないことがことに大切です。 疾病管理が目的である病院医療の思想は、地域を疾病管理・生活管理の場にしてしまいます。 ACTの現場では、自らが判断して動く自主性が各スタッフに求められます。 ...

障害者就業・生活支援センターの定義、適応、課題と展望について

障害者就業・生活支援センターの定義 障害者就業・生活支援センターは、雇用、保健、福祉、教育などの地域の関係機関との連携のもと、利用者の身近な地域において就業面および生活面における一体的な支援を行うことを目的とする支援機関です。 同じ厚生労働省内でも障害保健福祉部が所掌する総合支援法下の就労移行支援事業、就労継続支援A型事業、同B型事業による支援機関と異なり、職業安定局と障害保健福祉部の連携事業である「障害者就業・生活支援センター事業」により平成14(2002)年より創設されましました。 障害者就業・生活支援センターの適応 障害をもつ人のための就労支援は、就職に向けた準備、求職活動、就労後の職場適応・職場生活支援、といった段階を経るのが一般的です。 一連の支援活動のなかで就業・生活支援センターは「働きたいが、何から始めればいいのかわからないので相談したい」と思っている人に対する職業訓練や職場実習のあっせんといった就労準備のごく初期の支援や、就労後に職場でのさまざまな悩みに関する相談を受けるといった職場定着のための支援を行う機能を担っています。 いずれの支援も生活面での支援と一体的に行われることが同センターの特徴です。 こうした支援ニーズは多くの人に共通のものであり、障害をもちながら就労を希望する人はみな同センターの利用が適応であると考えられます。 障害者就業・生活支援センターの課題と今後の展望 平成25(2013)年の障害者雇用促進法の改正により精神障害者を法定雇用率の算定基礎に加える措置が追加され、平成30(2018)年より雇用が義務化されるにあたり、精神障害者への就労支援はますます重要となっています。 その一方、課題も明らかになりつつあります。 障害者就業・生活支援センターは身体障害、知的障害、精神障害のいずれの障害をもつ人も対象としており、精神障害をもつ人に特化した機関ではありません。 障害者就業・生活支援センターでは、十分なアセスメントと繰り返し実施されるトレーニングのあとにさらに実習などを経て就労する、という従来知的障害者に対して行ってきた支援方法を精神障害者の支援にも援用することが多いです。 このような「Train-Placeモデル(訓練のあとに実際の就労現場に入る)」による就労支援は、知的障害の障害特...

作業所とは?対象者や作業内容、利用手順などを解説します!

作業所の定義 「作業所」とは、1950年代から設置が始まった施設ですが、法律的に定められた基準はなく、よび名も、「共同作業所」「小規模作業所」「福祉作業所」「小規模授産施設」などさまざまです。 そこには、障害をもった人々の地域での生活を支える基盤が乏しいなかで、「当事者の地域での生活を支える」という熱意をもった当事者、家族、支援者(専門職に限らない)らが、試行錯誤しながら作り上げてきた歴史があります。 いわば、有志による草の根的な活動により発展し、障害をもつ人々にとって、「生活の場」「交流の場」「仕事の場」などとして着実にその機能をはたしてきたのです。 しかし、多くの施設では、資金面、人材面で運営に苦労しているという実情があります。 障害者自立支援法施行後は、地域活動支援センター、就労継続支援A型、就労継続支援B型へ移行しているところも多ですが、市町村間で施設に対しての支援内容は格差があり、それぞれの施設がさまざまなアイデアを出しながら、運営を切り盛りしています。 このように、「作業所」とは、法律や規則によって作られたものでなく、現場から生み出されたものであり、その後もさまざまな困難にぶつかりながらも、当事者の地域での暮らしを支えるために脈々とわが国の精神科分野に根づいています。 作業所の対象者 対象者には、さまざまな人が挙がります。 地域で生活しているが、自宅にひきこもりがちで、何とか外につながるきっかけを必要としている人。 退院後に、病院以外の穏やかな場所で他者と交流する場を求めている人。 就労を目指しているが、一般就労するにはまだ自信がなく、訓練を通して自信をつけたい人。 挙げればきりがないが、大切なことは、本人、家族、支援者が一緒に見学や体験入所をして、本人が「行きたい」「まずは挑戦してみたい」という意思をもつことです。 作業所の内容  作業内容 作業内容はそれぞれの施設により異なり、多岐にわたります。 例を挙げると、段ボール梱包作業、清掃業、喫茶店、ダイレクトメール封入などです。 そのため、まずは、実際にその施設に出向き、確認することが大切です。 なお、作業内容の変更を検討している施設も多々あるので、現在行っている作業内容だけでなく、将来的な内容も確認する必要があります。 作業所...

精神科デイケアとは?定義や役割などを解説します!

精神科デイケア定義 精神科デイケアとは、診療報酬制度に位置づけられた精神科リハビリテーションとしての治療機能の1つです。 回復期にある精神疾患の患者が、他者との交流を通じて人間関係を作り、社会に開かれていくことを支援する場です。 発足時よりデイケアは入院予防や、長期入院者の地域移行の重要な受け手として期待され、精神科地域ケアの担い手としての役割が大きく、実施施設の枠組みは、大規模デイケア、小規模デイケアとショートケア、そしてナイトケアなどがあり、施設基準に見合った職員配置が求められています。 看護師、精神保健福祉士、作業療法士、心理士などの専門職員の支援のもとに、通所者はグループ活動などを通じて仲間作りなどの他者との付き合いになじむことが当面の目標になります。 治療構造は、個別支援の場合もあるが、グループでの活動が基本です。 精神科デイケア治療対象 1974(昭和49)年に初めて診療報酬制度に位置づけられました。 当初は、統合失調症の退院支援、リハビリテーション、再発予防などが目的でしたが、治療対象は「精神障害者」として定義づけられていたおかげで、広くアルコール・薬物依存症などの患者に対しても応用されるようになりました。 その後、うつ病のリワーク活動の専門デイケアや、発達障害のコミュニケーショントレーニングの場としても有効活用され、さまざまな精神疾患が対象にされて発展してきています。 また、2006(平成18)年に障害者雇用促進法が改正されて、精神障害者も障害者雇用の対象に含まれてからは、就労支援をテーマに掲げるデイケアも増えています。 一方で、精神科病院に長期入院をしていた重い課題をもった患者が、地域に戻ったときの日中活動支援の貴重な場になっています。 このように、今では現場の工夫によって、さまざまな精神疾患に対する地域ケアの場として応用されています。 精神科デイケアの治療目標 統合失調症の患者については、被害関係妄想が主症状であった患者が多いために、病状が回復しても他人とともに過ごすのは苦手だという患者が多いです。 「誰かが自分を殺そうとしている」「誰かが悪口や陰口をいっている」「自分だけがのけ者にされている」といった病的体験のあとであるため、人嫌いになり引きこもり状態の生活に陥る外来患者が多いです。...

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