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機能性構音障害におけるの「さ・す・せ・そ」無声舌尖歯茎摩擦音/s/、「ざ・ず・ぜ・ぞ」有声舌尖歯茎摩擦音/z/の発音練習

機能性構音障害におけるの「さ・す・せ・そ」無声舌尖歯茎摩擦音/s/、「ざ・ず・ぜ・ぞ」有声舌尖歯茎摩擦音/z/の発音練習

/s//z/は、歯茎と舌尖で狭めを作り、摩擦性の雑音を産生する音です。
日本語音においては無声舌尖歯茎摩擦音/s/と有声舌尖歯茎摩擦音/z/ですが、/z/と有声舌尖歯茎破擦音である/dz/は一般に日本語では区別されないので、必ずしも/z/として訓練を行う必要はありません。
誤りの傾向としては、同じ構音点において狭めが維持できず閉鎖してしまい破裂音に置換する、摩擦はできるが構音点後方に移動している、破擦音化しているなどがあります。
また、側音化構音が見られることもあります。
/s//z/の/t//d/や/ts//ʃ/への置換は、健常児の構音発達過程においても見られる誤りです。訓練導入に際しては、現在の構音の誤りが一過性のものであるか、習得が期待される年齢を過ぎており一定期間固定的であるかについて、確認する必要があります。

/s//z/が/t//d/に置換する場合

舌尖と歯茎の狭めが保てないことが、誤りの原因として考えられます。
このため、訓練は摩擦により雑音成分が産生できるだけの舌尖と歯茎との間隔を保てるようになることがターゲットとなります。
/s/の訓練は、構音運動・舌の様子を視覚的にフィードバックしやすくするため、上歯と前舌の摩擦音である/θ/から導入します。
まず、基本訓練として舌の脱力・安定を行います。
可能となったら舌出しのまま息出しをします。/ha/ないし/he/で可能となったら、徐々に開口度を小さくするよう見本を示しながら誘導します。 /θ/に近い音が出るようになったら、漸次接近法を用いつつ定着を図ります。
息出しで開口度を小さくすることが困難な場合、舌の安定のまま開口度を小さくしていっても良いです。
開口度が小さく、なかなかできない場合、上唇と前舌での摩擦を促すと開口度を小さくさせやすいです。
ただし、この状態から上歯と前舌の摩擦へ移行することが難しい子どももいる。
開口度が小さくなり上歯端と前舌の狭めが可能となっても、息を出そうとすると閉鎖が起きる場合、息を出そうと力が入りすぎていることが考えられます。
このような場合、呼吸のリズムに合わせて優しく息を出すことから始めると/θ/が可能となることがあります。 息を出す(呼気)よりも狭めを保ったまま息を吸う(吸気)ことを意識させることにより、結果的に/θ/が成立させる誘導法も有効です。
狭めが保てない場合、ストローを利用します。 ストローは太すぎるとストローを除去していく際に困難なことがあり、細すぎると噛んでつぶれやすいです。
市販されている直径4mm程度の袋入りのものが良いでしょう。
方法としては、まず、ストローを上歯と前舌で支えてもらいます。
ストローを口腔内に深く入れすぎると舌背を刺激して隆起を促してしまうことがあるので、歯裏1cm前後が適当でしょう。これにより狭めを確保します。
そして、舌の安定を保ったままストローから息を出すよう促します。
この際、/ɸ/のときと同じように紙やティッシュを吹いたり、紙人形を吹き倒します。
袋入りのストローであれば半分だけはストローにかぶせたまま残し、吹き矢のように袋を飛ばすなど、モチベーションを上げ、かつ、視覚的フィードバックとなります。
次に、ストローを除去していきます。すぐにストローのない状態での上歯と前舌の摩擦を促してもよいのですが、狭めを保つことをストローに頼っていた子どもは、ストローがなくなった状態か舌の脱力・安定を促すら狭めを作って息を出そうとすると、元の閉鎖の癖に戻ってしまいがちである。
そのような場合、子供に息を出させたまますこしずつストローを引き抜いていくほうが容易です。
その際、1~2秒の長さで断続的に息を出させ、息を出していない間に少しずつストローを抜いていく方法と、持続的に息を出させて、息を出しているあいだに抜いていく方法が考えられます。
/θ/が可能となったら、母音と結合し、口型が変化しない/ɯ/か、/a//e/から導入します。
以上のように/s/は歯間に突出させ、上歯端と前舌の無声摩擦音/θ/から導入することが主です。
訓練が単語から文レベルに進むにつれて、自然に舌を歯間に突出され、/s/の構音点へ移動することが見られます。
/θ/から/s/への自然改善が見られない場合、語音聞き取りにおいて、子供もが自分が産生した音の正誤を弁別できることを確認してから、STと子供が交互に音をだしながら、STは見本として徐々に舌を口腔内に収納さいていきます。
聴覚的にほぼ、同一の音であることを自己フィードバックさせつつ、視覚的、感覚的に構音点を歯茎に変更させます。

ストローで/θ/を促す訓練の流れ


/ts/に誤る場合

/ts/に誤っている場合、/s/音自体は構音できるのであるから、/t/部すなわち閉鎖部分を消去していく。/tss::/と持続的に産生させます。
このとき、ごく小さい音から徐々に大きく構音させることにより、/s/部を意識させ/t/部を消去していきます。

/ʃ//tʃ/と誤る場合、側音化構音の場合

/s//z/が/t//d/に置換する場合と同じように進めていきます。

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