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8月, 2018の投稿を表示しています

構音障害の病態や分類について

構音障害の病態について 呼気を用いて声帯を振動させることで作られる音を喉頭原音といい、これに口や舌などの構音器官を用いて言語音を産生する過程を構音といいます。 この過程においてさまざまな原因により異常な言語音を作り出した状態を構音障害といいます。 構音障害は、その原因によって、機能性構音障害、器質性構音障害、運動障害性構音障害に分類されます。 構音の誤りは言語発達の過程において多くみられます。 すべてが構音障害とされるのではなく、年齢・生育環境・精神運動発達などを考慮する必要があります。 構音障害の分類 機能性構音障害 言語発達遅滞や構音運動に関する神経系の成熟の遅れ、聴覚能力の低下など、何らかの要因により異常構音が習慣化し、固定化したものです。 器質性構音障害 構音器官の形態や機能の異常が原因で構音の誤りを呈するものをいう。原因となる疾患として、口唇口蓋裂、先天性鼻咽腔閉鎖機能不全、舌小帯強直症、巨舌症、下顎前突症、腫瘍切除術後の組織欠損などがあります。 運動障害性構音障害 中枢神経系から末梢の神経系、筋系の病変による構音器官の運動障害が原因で異常構音を呈するものをいう。運動性構音障害のうち失語失行は除く。原因疾患には脳梗塞、パーキンソン病、筋ジストロフィー、脳腫瘍、外傷などがあります。 リハビリの方針について 構音評価として、自由会話、単語検査、音節復唱検査、構音類似運動検査、文章検査などを行う。また、口腔内診査、聴力検査、言語発達検査、知能検査、発声発語器官検査などを行い、機能性構音障害、器質性構音障害、運動障害性構音障害について鑑別診断します。 機能性構音障害 治療としては、目標音の基本操作あるいは音を誘導し、単音、単語、文、文章の順に習熟をはかり、段階的に日常会話レベルへの汎化を行う。伝統的構音訓練で症状の改善に苦渋する症例や聴覚障害や軽度発達障害のある人に対しては、エレクトロパラトグラフ(EPG)を用いた視覚的フィードバック訓練を行うことがあります。 また、滲出性中耳炎や伝音性難聴は機能性構音障害に影響するといわれており、症例によってはこれらの合併を精査する必要があります。 器質性構音障害 器質的問題に対しては、発音補助装置や外科手術により構音器官の形態や機能の修復をはかる...

機能性構音障害に対する語音聞き取り訓練の方法について

機能性構音障害に対する語音聞き取り訓練の種類と方法 語音聞き取り訓練の種類 語音聞き取り訓練とは、正しい構音操作により産生された音と誤り音とを聞き分ける訓練をいいます。 訓練の種類として、語音弁別、音節の分解抽出、同定があります。 訓練の段階として、単音節、単語、文の順に行いますが、それ自体意味を持たない単音節よりも単語のほうが容易な場合もあります。 語音聞き取り訓練の方法 ①音の呈示方法として、STが音を呈示する、②子ども自身が産生した音をテープに録音しそれを聞いて聞き分ける、③子ども自身の産生した音を即時に正誤判断する方法があります。 一般に、STの呈示した音を聞き分けることは、子ども自身が産生した音を聞き分けるより容易であるので、こちらを先に行います。 STが産生した音の弁別が可能であれば、テープから聞こえる自分の誤り音の弁別は可能なことが多いです。 即時判断が可能となれば、発話中に自分の誤りに気づけるようになります。 この訓練を行うことで、子どもが自身の誤りを自覚することにつながります。 子ども自身が浮動的にターゲット音を産生可能となっている場合には、自信にもつながっていきます。 その一方で、自覚が意識過剰につながり、発話の減少や吃音を誘発しないよう留意する必要があります。 語音聞き取り訓練は、誤りの種類が置換である子どもの場合、訓練を通して習得することより弁別可能であることを確認する意味合いが強くなります。 誤りが声門破裂音や側音化構音である子どもや成人の場合には、自身の産生した音の弁別に時間を要することも多いです。 訓練実施上の留意点 単音節の聞き取りにおいて、呈示する単音節は何でもかまいませんが、訓練導入当初は誤り音を含むことは避けたほうがよいです。 反応方法に遊びを取り入れたり、何回も続けてターゲット音を呈示するといった方法も、子どものモチベーションを高めることに役だちます。 単語レベルにおける音節の抽出・同定の訓練においては、文字が読める子どもの場合、文字で位置を認識してしまい聞き取りの訓練にならないことがあるので、文字は呈示しません。 逆に聞き分けが困難な場合には、文字を呈示してヒントとしてもよいです。 単語レベルにおける聞き取り訓練においては、STはプロソディ...

構音の発達について言語聴覚士が解説!

構音の発達について 構音の発達は、誕生とともに始まります。 子どもが初めて発する音は、いわゆる産声です。 あの「オギャー」という声は、肺呼吸の結果、発せられる生理的な発声であり、意図的に「オギャー」と言おうと思って発している音ではありません。 意図的な発声が見られるようになるのは、生後3~4か月ごろからです。 生後1か月ごろまでは一定のリズムで泣くばかりであり、発声とはつまり泣くことです。 誕生とともに発声するということは、誕生のとき発声するために必要な器官を備えていることを示しています。 生後1か月を過ぎるころから、状況によって異なる発声が見られ始めます。 泣くという不快を示す発声ばかりでなく、笑いをはじめとする快の発声が出現します。 これは、リラックスした状態での発声が可能となったことを示しています。 赤ちゃんの泣き声と笑い声をまねてみると、その発声時における緊張の差が実感できるでしょう。このリラックス時の発声が喃語につながっていきます。 生後3か月を過ぎると、徐々に噛語が盛んになっていきます。 これは、それまでの呼吸と同じリズムでの発声から、呼気をコントロールしての発声へと変化していることを示しています。 また、これまで偶発的で単発的であった発声が再現性を持ち始め、繰り返し同様の発声をすることが可能となります。 生後7~9か月ごろには、さまざまな音を発するようになります。 このころの子どもが発する音の種類は、日本語の語音よりも多いと言われています。 哺語期に発せられる音がそのまま言語音につながるわけではありませんが、さまざまな音を出します。 離乳食を食べるといった行為が、構音器官の運動能力を向上させていきます。 これに模倣力の向上などが加わり、構音のための準備がなされていきます。 1歳近くなると、意思伝達を目的として音声を使用することが見られ始めます。 また、音声と意味の結びついた有意味語が見られるようになります。 構音面では、母音や両唇音を中心とした同音反復(マンマン、ワンワン、ブーブーなど)が多く、音も歪んでいますが、理解語彙・表出語彙の拡大につれて徐々に構音操作も学習していきます。 構音の習得過程では、子音を省略したり、獲得が遅い音を構音点や構音法の近い音へ置き換え...

機能性構音障害の訓練の目的と訓練適応について(言語聴覚士向け)

訓練の目的と訓練適応 訓練の目的 機能性構音障害に対する訓練の目的は、 適切な構音操作を習得し、それを日常会話において使用できるようにすること です。 訓練の適応 誤りが固定化している場合や被刺激性がない場合には、訓練適応があります。 ただし、構音の発達年齢から見てまだ獲得時期ではない構音が対象である場合や、構音発達から見て訓練の適応ではあるが、口腔運動に被刺激性を認める場合など、自然治癒が期待できる場合は、訓練時期を3か月、あるいは半年遅らせて、自然治癒の有無を確認します。 もし、その期間が過ぎても構音が改善していないようであれば、訓練を開始します。 また、自然治癒が期待できる場合でも、音の誤りが原因でいじめられている、就学が近いといった要因のある場合は、構音訓練を直ちに開始する場合もあります。 訓練の開始時期 構音訓練は、一般的には4~5歳に開始するのが良いといわれています。 その理由として、音の抽出や分解が可能であるのが4歳から5歳であること、就学前に訓練対象の構音に対する訓練を終了させるには、4~5歳に訓練を開始することが適当であることが挙げられます。 さらに、4~5歳は、文字に興味を持ち始める時期でもあり、文字に興味を持たせつつ、音の抽出や分解、誤り音と正確な音との違いを分別させるなどの学習をすることが可能です。 また、このころの子どもの年齢は、ちょうど幼稚園に通園している時期であり、保育士と子どもとの関係が、同様に言語聴覚士と子どもとの間にできやすいことも一因です。 その一方で、訓練の開始時期をさらに早期にするべきという立場もあり、訓練回数や、家庭での訓練プログラム設定およびその家庭での訓練担当となる養育者への指導の重要性がいわれています。 訓練頻度 訓練頻度は、原則的には週1~2回です。 これはあくまでも目安であり、養育者が仕事を持っている、子どもが幼稚園・保育園に通園しているなど、養育者や子どもの置かれた環境や、訓練に対する子どものモチベーションに影響されることが多いです。 1回の訓練時間については、低年齢児であれば15~30分年長児や就学児では30分~1時間を原則とします。 しかし、これも子どもの気分や状態によって左右されることがあります。 例えば、子どもが幼稚園で、けんかを...

災害時の在宅医療の対応について

災害時においては、訪問診療を実施するスタッフのほとんどが同時に被災者となります。 しかし地域密着型医療である在宅診療では、現地スタッフの情報なしには在宅患者の安全を確保することは困難です。 患者・地域情報を効率よく外部からの支援に伝達し、シームレスな医療提供につなげる準備および災害時のマネージメントが必要です。 災害の種類や環境により発生する問題は多岐にわたるため、地域で想定される災害のシミュレーションが非常に重要となります。 発災直後について 訪問診療クリニックや看護ステーション、ケアマネジャー、在宅酸素業者などの在宅患者を把握している職種が、それぞれ電話連絡あるいは直接自宅を訪問し、安否確認を行います。 災害時は電話やインターネットなどが通じない場合も多いため、環境に応じ安否確認方法について事前に検討し、フローを作成する必要があります。 超急性期(当日−翌日) 日本赤十字社やDMATといった急性期災害医療チームや自衛隊が全国より派遣され、病院や施設、自宅などに取り残された患者や入所者の救出、トリアージおよび広域搬送が行われます。 そのため、災害時の伝達用診療情報書の準備や、搬送先不明とならないよう情報収集が必要となります。 急性期 被害状況の確認が大切となります。 状況に応じて、救護所の立ち上げについて検討すると良いでしょう。 そして、必要に応じて、医療支援チームの要請を行います。 病院自体が被災したときは、医療機器や薬剤、診療材料の確保、診療体制の検討をすみやかに行う必要があります。 災害時の医療活動 大災害時は、ライフラインの破壊(電気通信、水道、トイレなど)、道路の断絶、公的交通機関の停止、流通の停止(食品、ガソリン、灯油など)のため、受診意思があっても医療機関の位置がわからない、移動手段がないなどの問題が多発します。 避難所では、狭いところに多くの人が集まり、心的問題や、衛生上の問題が起こるおそれがあります。 こういった問題を解決し住民に医療を届けるために、救護所などの医療機関に留まるだけではなく、一般の在宅訪問診療以外に、避難所巡り、保健師活動など院外活動を展開する必要があります。 避難所巡り 被災地では、被災後多くの避難所に住民が集結し、数百人、東日本大震災では、多...

訪問リハビリテーションの制度や適応、実施内容や流れについて解説!

訪問リハビリテーションの制度 病院・診療所・介護老人保健施設 訪問リハビリテーション(以下、訪問リハ)とは、介護保険制度上、要介護者および要支援者に対し、医師の指示、ケアプランに基づき、病院・診療所・介護老人保健施設から理学療法士・作業療法士・言語聴覚士(以下、理学療法士など)が居宅においてリハビリテーション(以下、リハ)を提供することをいいます。 訪問頻度は、1回20分週6回を限度とし、急性増悪などの際は、1日4単位14日に限り(6か月に1回)、在宅患者訪問リハ指導管理料として医師の指示に基づき、医療保険で対応します。 医療保険制度では、在宅患者訪問リハ指導管理料として医師の指示に基づき、病院・診療所から理学療法士などが居宅においてリハを提供します。 訪問頻度は、1単位20分を週6単位が限度(末期の悪性腫瘍の患者の場合は除く)です。 ただし、退院の日から起算して3月以内の患者に対し、入院先の医療機関の医師の指示に基づき継続してリハを行う場合は、週12単位が限度となります。 訪問看護ステーション 訪問看護ステーションからの理学療法士などの訪問は、看護業務の一環としてのリハを提供する場合に看護職員の代わりに訪問させるという位置づけであり、厳密には訪問リハと称しません。 介護保険制度上では、「訪問看護Ⅰ5」の単位名となります。 訪問頻度は、1回20分週6回を限度とします。 医療保険では週3日を限度とするが厚生労働大臣が定める疾病等の患者(末期の悪性腫瘍など)については、週4日以上算定できます。 診察に基づき、前述を除く疾病等の急性増悪などは、一時的に14日に限り週4日以上(月1回)算定できます。 訪問リハの適応・実施内容 訪問リハの対象疾患など 訪問リハの適応は、疾患別リハ対象として、脳血管・運動器・心大血管・呼吸器疾患が代表的ですが、難病(パーキンソン病、神経筋疾患など)、末期の悪性腫瘍、外科的術後の虚弱者、高齢者の廃用症候群、障害児者(脳性麻痺、発達障害、先天性疾患)、など疾患も年齢層も幅広いです。 訪問リハの実施内容 訪問リハは、理学療法士などの評価に基づき、心身機能、ADL・IADLの改善をはかる練習、さらに社会参加や趣味活動など各利用者の生活の自立、QOLを促進するための場面・場所でも実...

小児の在宅ケアについて【医療従事者向け】

近年、小児の在宅医療・在宅ケアに対するニーズが高まっています。 医療の進歩により、人工呼吸器、気管切開、経管栄養などが必要な子どもが増えています。 医療的ケアが必要な子ども(18歳未満)は、人口1万人あたり1~2人といわれていますが、全国統計はまだありません。 病態と診断 対象は、悪性疾患と非悪性疾患に分けられます。 脳腫瘍や肉腫、白血病などの悪性疾患に対する治療後に再発し進行した場合、最期を自宅で過ごすため在宅ケアを希望する子どもがいます。 非悪性疾患の子どもの場合、以下のように大きく3つの流れがあります。 ①新生児集中治療室から仮死、染色体異常、先天性障害などで生まれて救命された子ども ②先天性心疾患、代謝異常症、脳炎・脳症、溺水などで小児病棟に入り救命されたが重い障害を残した子ども ③加齢に伴い体が変形したり、誤嚥性肺炎をきたして気管切開や胃瘻などが必要になった子ども いずれも、人工呼吸器、気管切開、経管栄養、導尿などの医療的ケアが必要な子どもがほとんどです。 治療方針 悪性疾患の子どもに対する在宅ケア 限りある人生を自宅で過ごす子どもには、対症療法と緩和ケアが主体となります。 疼痛に対して医療麻薬、経口摂取不良に対して経管栄養や点滴を行うことがあります。 非悪性疾患の子どもに対する在宅ケア それぞれの疾患や合併症に対する治療を継続します。 気管切開や人工呼吸器が必要な子どもについては、痰の吸引はきわめて重要です。 肺炎予防と排痰促進のため、水分補給、吸入、肺理学療法、カフマシン、去痰薬などの治療を行います。 胃瘻・経管栄養が必要な子どもについては、成分栄養、経腸栄養(液体・半固形態)、ミキサー食(通常の食事をミキサーで細かくしてシリンジで注入する)のどれを用いるかを状態に応じて検討します。 ミキサー食は、友達や家族と同じものを食べられることや、微量元素も摂取できる利点があるが、胃瘻内径が細い場合には閉塞のリスクがあります。 導尿が必要な子どもについては、導尿の手技と水分補給などについての指導を行います。 医療的ケアについての管理と指導、すなわち気管カニューレや胃瘻については交換、痰吸引や経管栄養の手技指導、イリゲーターや注入用シリンジなど必要な物品供給、閉塞や抜...

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