「ひとり遊び」「並行遊び」「連合遊び」「共同遊び」とは?
童謡「めだかの学校」のなかに、「みんなでお遊戯しているよ」という歌詞があるが、人間の子どもも小さい頃からみんなで遊ぶのだろうか。ここでは、子どもの社会性、すなわち対人関係の発達という観点から考えてみたいと思う。
パーテンによれば、社会性の発達に着目すると、乳幼児期における遊びの形態は次の4段階に分けられるとされている。
ひとり遊び
乳児期に多く見られる遊びの形態で、読んで字のごとく玩具を相手にひとりで遊ぶ状態を指す。
玩具の取り合いをする以外は、基本的に他の子どもたちと関わることはなく、自分だけの遊びに熱中する。保護者や保育者の援助を除けば、基本的には遊び相手をあまり必要としない遊びである。
平行(並行)遊び
3歳児頃に多く見られる遊びの形態である。たとえば、絵を描いたり、折り紙をしたりと、皆で同じ遊びをしてはいるのであるが、そのなかで子ども同士の関わりはなく、同一の遊びが平行して展開している状態である。
一緒に遊んでいるという感覚があるという点で、ひとり遊びよりも社会性の発達がみられるが、隣で遊んでいるのがどのような子でも、まただれかが同じ遊びを始めても気にせず、他の子どもに干渉したり、協力したり、という行動はみられない遊びである。
連合遊び
3、4歳児くらいにみられる遊びの形態で、一応、「子ども同士で遊ぶJという形態である。遊びのなかで、内容についてのやりとりや会話があり、玩具の貸し借りをする。
また、時には遊ぶ相手のえり好みをしたり、場合によっては拒否したりもする。しかしながら、一緒に遊んでいる子どもはほぼ同じ行動をしており、分業をしたり、リーダーシップをとる子どもがいるということはない。
また、同じ遊びをしていても、イメージが異なっていることがあり、たとえば大型積木で囲いを造って一緒に遊んでいる場合でも、ある子は「家」のつもり、別の子は「船」のつもり、ということがある。
協同遊び
幼児期における仲間遊びの完成形といわれ、およそ5歳以降にみられる。一緒に遊びながら、遊びのなかには分業がみられ、それぞれの子どもが違った役割をとりながら、一つの遊びを展開していく。
これに伴って、遊びのなかにルールを取り入れることが可能になり、子ども同士でルールを話し合ったりもする。また遊びのなかでリーダーシップをとる子ども(いわゆるガキ大将)など、子どものなかに社会的な地位が生まれる。
けんかも大事な学習
遊びは高次になるほど友達との関係や役割が複雑化するというように、社会性の発達の影響を強く受けているといえる。またその反対に、友達と一緒に遊ぶことで、自己を表現、主張したり、また友達のことを考えて我慢したりするなど、遊びを通して社会性の発達が促されるともいえる。
遊びのなかでは、時にはけんかやいざこざが起こる。特に、幼児期の子どもの思考には「自己中心性」と呼ばれる特徴があり、他の子どもの意見を取り入れにくく、遊びのなかでのトラブルの元になる。
しかし、幼児期のけんかはその場限りのものが多く、児童期以降にみられるいじめのように、長期化するものは少ないといわれている。ところで親や保育者は、このような子どもたちの間のトラブルにどう対処すればよいのだろうか。
「みんな仲良く」という標語の元に、けんかをいけないもの、としてとらえがちかもしれないが、子どもたちは遊びのなかでけんかやいざこざを体験することにより、例えば仲良くできなかった時の気分を味わうことで、仲良くすることの大切さや、対人関係をうまく結ぶにはどうしたらよいか、といった社会性に関する様々なことを学習するのである。
もちろん、けがをしそうだったり、明らかに危険な場合は大人の介入もやむえないが、けんかやいざこざも社会性の発達にとって意味を持つものであると考え、ある程度は見守る姿勢も必要ではないだろうか。
ちなみに幼稚園教育要領においても、「人に対する信頼感や思いやりの気持ちは、葛藤やつまずきをも体験し、それらを乗り越えることにより次第に芽生えてくることに配慮すること」(第2章ねらい及び内容人間関係)と、子どもの遊びにおけるけんかの持つ意味が示されている。
児童期の遊び仲間「ギャング・エイジ」とは?
さて、ここまで乳幼児期の遊びの形態についてみてきたが、それ以降の児童期ではどうなるのだろうか。児童期の中期ぐらいになると、同性、同年齢の、気の合う仲間との非公式的な(クラスや班などの外的な基準で決められたものではない)3~5人くらいの小集団による遊びが展開されている。
グループ内での団結が非常に強く、自分たちのルールや秘密の遊び場を作ったりする一方、ほかの集団や大人からは距離を置くようになる。このような集団はその特徴から「ギャング・エイジ」と呼ばれている。
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