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12月, 2017の投稿を表示しています

骨折に関する基礎事項について

1、骨折の概要 骨折とは骨に強い外力がかかることによって完全に、または部分的に連続性が断たれた 状態のことを指します。中でも折れた骨が皮膚を突き破ってしまった状態の骨折は開放骨折、または綺麗に2つに折れてしまっている場合であっても複雑骨折と呼ばれます。骨折後は骨折部周囲の疼痛や腫脹、機能障害などといった骨折そのものに起因する症状が診られますが、そのほかにも感染や神経損傷などをはじめとした合併症を生じるケースもあるため注意が必要です。骨折後は骨折部位により異なりますが、おおむね2週間から12週間で癒合が完了するとされています。なお、横方向への骨折は治癒しやすく、縦方向への骨折やらせん骨折、粉砕骨折では治癒しにくくなっています。 2、骨折の評価 骨折後の評価は画像診断と臨床検査の両方を行い、構造的な変化や動作への影響などを評価して治療やリハビリテーションに活かす必要があります。 〇画像診断 画像診断では主にX線画像が用いられており、骨病変の診断に特に有用であるとされています。画像は一般的に前額面と呼ばれる正面から撮影されたものと、矢状面と呼ばれる側面から撮影されたものが用いられます。X線画像からは転位や脱臼の有無や骨癒合の進行具合、骨折線の所在などを診断することができます。 なお、大腿骨内側骨折の場合は転位の程度についてGarden分類という診断基準が設けられています。これはStageⅠからStageⅣまでに分類されており、StageⅠは不全骨折、StageⅡ~Ⅳでは完全骨折となっています。なお、StageⅡから順に転位なし、部分転位、完全転位とStageが進むにつれて重症ということになります。StageⅢ、Ⅳ程度までなると人工骨頭置換術が必要です。 〇臨床検査 ・形態計測 形態計測ではまず、周径計測により骨折部周囲の腫脹の有無や程度を確認します。また、骨折後は固定や不動などにより筋委縮が生じることがあるため、筋委縮の程度を評価します。なお、回復後の筋肥大の程度を確認するためにも定期的に計測することも重要です。 次に長径を測定します。骨折では関節拘縮による可動域制限や骨転位などにより脚長差が生じる場合があります。脚長差は3cm以上になると跛行の原因となるため、リハビリテーションの計画立案や補装具の使用の検討、リスク管理のためにも検査項目...

変形性関節症の原因や分類、評価方法を解説します!

1、変形性関節症とは ①変形性関節症の概要 変形性関節症とは関節の変性が生じる疾患であり、関節を構成する骨や関節軟骨が摩耗したり、増殖したりすることで動作困難や疼痛が生じます。 具体的には荷重のかかりやすい部分では組織がすり減ってしまい、またかかりにくい部分では組織の増殖が起こり、骨棘が形成されてしまいます。 組織の変性や疼痛は生じますが、炎症は伴わない非炎症性疾患です。また進行性疾患であるため、適切な治療が行われなければ関節裂隙の狭小化や骨の摩耗などといった症状は重症化していってしまいます。 なお、関節裂隙の狭小化や消失により動作性の低下や疼痛は見られますが、骨癒合はしないため可動性は確保されます。好発年齢は50代で、特に女性に多い傾向にあります。 変形性関節症はすべての関節で生じうる疾患ではありますが、そのほとんどは荷重のかかりやすい膝関節と股関節で発症しています。 その中でも特に症例数が多いのは変形膝関節症ですが、変形性股関節症では発症すると重症となる傾向があります。 ②変形性関節症の原因 変形性関節症はその原因によって一次性関節症と二次性関節に分類されます。 一次性関節症とは原因疾患が明らかとなっておらず、関節自体の加齢現象などにより生じるものです。変形性膝関節症であれば全体の90%以上がこの一次性関節症に該当します。 なお手指に生じる一次性関節症は発症部位により呼称が異なり、DIP(遠位指節間)関節に生じればヘバーデン結節、PIP(近位指節間)関節に生じればブシャール結節となります。 二次性関節症とは原因疾患が明らかとなっているものです。変形性股関節症であれば全体の80%程度がこの二次性関節症に該当します。 変形性膝関節症 外傷(半月板損傷、靭帯損傷、関節内骨折など) 炎症性疾患(関節リウマチ、化膿性関節炎など) 代謝性疾患(痛風など) 関節運動の異常(前十字靭帯損傷など) 変形性股関節症 先天性疾患や幼少期に生じた疾患の後遺症(先天性股関節形成不全、臼蓋形成不全、ペルテス症など) その他(骨頭壊死、外傷など) ③X線像での病期分類 X線像では骨棘の形成や骨嚢胞の有無や程度、そして関節裂隙の状態について確認し、疾患の進行度を判断します。 嚢胞とは骨の中に空間ができ、骨...

人工足関節置換術と術後のリハビリテーション

人工足関節置換術の概要 ①人工足関節置換術の実際 人工関節置換術は関節軟骨のすり減りや関節の構造的な破たんにより痛みが生じていたり、運動に障害が生じていたりする症例に適応され、破壊された関節と人工関節を入れ替えることで痛みや運動障害を改善させることを目的とした術式です。 この術式はほとんど股関節や膝関節において適応されるのですが、実は症例数は比較的少ないものの足関節にも適応があります。 人工足関節置換術の適応となる主な疾患は変形性足関節症や進行した関節リウマチです。しかし前述のとおり、実際に行われている人工足関節置換術の症例数は股関節や膝関節と比較すると大幅に少なくなっています。この理由は足関節の構造にあります。 一般的に足関節と呼ばれる距腿関節は、腓骨と脛骨からなる関節窩に距骨の関節頭が入り込むようにして構成されています。これらは「ほぞ」と「ほぞ穴」という比喩をされることが多いように骨同士がパズルのようにぴったりとはまっているため、骨性の安定性が非常に高い関節です。 さらに、距腿関節の周辺には距骨下関節や距踵関節、ショパール関節(横足根関節)といった関節が多く分布しています。この構造により衝撃や自重をはじめとした外力はそれぞれの関節に分散されるため、他の関節と比べると変形性関節症が生じにくいのです。 以上の理由により人工足関節置換術の適応となる症例数は少数となっています。 ②特に適応となるケースが多い症例 人工足関節置換術の適応となる症例は主に変形性足関節症や関節リウマチですが、その中でも両下肢ともに罹患している症例や、距腿関節の周辺に位置する関節にも罹患がある症例により優先して人工足関節置換術が選択されます。 また対象者が50歳以上の高齢である場合、足関節内外反変形が15°以下と軽度である場合もより高い優先順位で選択されます。 なお、変形性足関節症には他にも関節固定術などの選択肢があるのですが、前述のような罹患の仕方である場合に実施してしまうと極端に足関節の動作性が低下してしまいます。 このため、術式を選択する際の優先順位としては低くなります。 ③手術の方法 人工足関節置換術では脛骨と距骨のそれぞれにコンポーネントと呼ばれる人工関節の部品が装着されます。 手術では障害の生じている元の骨を切り取り、骨セ...

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