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復唱の語彙ルート

復唱の語彙ルート

復唱の語彙ルートは、簡単に説明すると、「鉛筆」という文字を見て、頭の中で音韻に変えずに(黙読をせずに)、語彙であると認知し、その意味がわかるという経路のことをいいます。
つまり文字を音韻に変換せず、語彙/意味処理をするということになります。
例えば「海老舗」という文字が提示されたとします。この中に単語が隠されています。何をみつけましたでしょうか?
「エビ」ですか?それとも「シニセ」でしょうか?
もしかすると読み方がわからなくても、意味があまり理解できなくても、何となく単語かなと感じることができた方がいらっしゃるかも知れません。
それではなぜ、「海老」あるいは「老舗」という区切りをみつけることができたのでしょうか?
まず、「海老」や「老舗」という単語の特徴について考えてみましょう。
これらのような漢字1文字ずつの読み方とは無関係に、単語全体で決められている読み方を「熟字訓」と言います。個々の漢字にはそれぞれ音読み・訓読みという音韻が対応していますが、これらの単語の読みはそのどちらにも該当しません。このような単語は、漢字1文字1文字を直接音韻に変換しても、正しい読みに到達することはできないため、音韻ルートでは読解に至ることができません。
このような単語を正しく読解するためには、まず、単語全体を「ひとかたまりJの語彙としてとらえる必要があります。入力語彙辞書は音韻からばかりでなく、文字からもアクセスできるようになっています。表音文字である仮名で書かれた単語の場合、通常、脳はまず1文字ずつ音韻変換を行いつつ、語彙処理へ進もうとするのですが、「海老」や「老舗」のような、1文字ごとの音韻変換では読めない熟字訓を持つ単語の場合は単語全体を直接語彙照合にかけることになります。
さきほど「海老舗」という文字列の中から「海老」を見つけた方は、語彙辞書の中の「海老」という項目、また先に「老舗」を見つけた方は「老舗」という項目と照合したことになります。
このような直接的な文字/語彙照合は漢字単語に限ったことではありません。
仮名単語であっても、常に仮名で書かれていて日常生活上、目にする頻度も高い単語(通常仮名表記語と言う)は、最初は音韻ルートを用いて読解されていても、徐々にいちいち音韻変換されなくなり、文字列全体から直接語彙照合されるようになる場合があります。
「時計」を例にすると「時計」が「時」と「計」という文字で構成されているということが理解された後は、仮名単語「とけい」の場合のように、音韻ルートで1文字ずつ文字/音韻変換を行うことは適切ではありません。なぜなら「時」という文字は/to/、/ji/、/toki/など変換可能な音韻の候補が複数存在し、「計」と いう文字にも/kei/、/hakaru/など複数の音韻の候補が存在するため、「時計」という文字列から/tokei/という音韻(読み)を一義的に決定することができないからです。そのため、「時計」という文字列全体から直接語彙照合を行う必要があります。

読解の語彙ルートの段階の障害

一例ですが、漢字の羅列の中から、隠れている単語を探すパズルなどが困難になると思われます。 また、時計や鉛筆などの漢字文字列が語彙であるか否か(実在語か否か)を判断させる検査での成績が低下することが予測されます。

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