スキップしてメイン コンテンツに移動

単語の読解のルート

単語の読解のルート

単語の読解では、まず、被験者の前に何枚かの絵を提示します。 そのあと、検査者は、その中からどれか1つの絵を表す単語を文字で提示して、被験者に日の前の選択肢の中から該当する絵を指差すことを求めます 。
日本語の文字形態には、漢字、平仮名、片仮名があります。
漢字は中国から渡ってきた文字で、1文字1文字が何らかの語彙情報 を持っており、表語文字と呼ばれています。
平仮名や片仮名は音韻を表す目的で、漢字を基に後から日本人が作り出した文字であり、表音文字と呼ばれています。
性質の異なる漢字と仮名は、脳内での処理のされ方も異なっているようです。

文字入力

まず、被験者は、提示された「鉛筆」や「えんぴつ」という文字を見ることからはじまります。被験者の網膜に入力された視党的な情報は、主要なルー トとして視神経、外側膝状体を通り、後頭葉の第一次視覚野へ伝達されます。

形態認知

後頭葉の第一次視覚野に入力された情報は、さらに第二次視覚野、第二次視覚野と進み、より高次の処理を受けます。文字を構成している直線や曲線の傾き・形態および相互の位置関係などが分析され、脳内に「正しい形態」が表象されます。 形態認知の段階で障害があると、文字の形態を正しく模写 した り、同じ文字同士のマッチングを行ったりすること等が難しくなります。つまり、統覚型視覚失認の影響が文字の認知にも現れることになります。文字の同定以前の、形態としての認知の段階における障害のため、提示された「鉛筆」や「えんぴつ」という文字は、文字としては捉えることができません。

文字照合 (入力文字辞書)

「鉛J「筆」や「え」「ん」「ぴ」「つ」など、個々の文字の形態が脳内で正しく表象されると、次にその表象は、脳内に存在する文字の記憶 (文字辞書)と照らし合わされるこ とになります (文字記憶との照合)。つまり「鉛」や「え」 という視覚表象が、ここに至って「文字」として認知されます。 文字照合 (入力文字辞書)の段階で障害がおこると、同じ文字同士をマ ッチ ングさせることや、文字を図形として模写することなどは可能です。 しかし、文字であるという認知がなされないため、文字を模写しようとすると、文字を写しているというような連筆 (筆順)ではなく、まるで図形をコピーしているかのような書 き方になります。 また、文字照合 (入力文字辞書)の段階が障害されると、文字と文字によく似た図形とを区別する能力 (文字 /非文字弁別)も低下します。
ここまでが、「鉛J「 筆」や「え」「ん」「ぴ」「つ」が文字 として認知される段階となります。この後、大きく分けて2つのルートが存在する言われています。
1つ目のルートは、「文字を音韻に変換した後、語彙処理し、意味理解に至るルート」(音韻ルート)です↓
2つ目は、「文字を直接語彙処理し、意味理解に至るルート」(語彙ルート)です↓
読解の語彙ルートはこちら

意味照合 (意味記憶の活性化)

その後は、音韻ルー トと同じように、その語彙に対応する意味記憶を活性化させることになります。

アーカイブ

もっと見る

このブログの人気の投稿

眼球運動障害 瞳孔不同 対光反射消失

眼球運動の障害や瞳孔不同、対光反射の消失は、患者が重篤な状態に陥っている可能性を示す。脳死判定基準の中にも、瞳孔の散大と固定、対光反射の消失がある。たとえば、脳幹出血を起こすと眼球運動の中枢障害による正中位固定や、交感神経障害による著しい縮瞳( pinpointpupil )などの特徴的な眼症状を示す。瞳孔径や対光反射の異常は、出血やヘルニアの早期発見につながるため、重要な観察ポイントとなる。 眼症状の観察 対光反射の有無は、光を当てた側の瞳孔反射である直接対光反射、反対側の間接対光反射で評価する。 反射の程度は迅速・緩慢・消失の三段階で示す。 さらに、眼球偏位や瞳孔径の異常がないか観察する。 病側の眼瞼下垂は動眼神経麻痺の可能性があり、眼球運動の異常は動眼、滑車、外転神経の異常を示す。これらは、中脳や橋、頭蓋底部の異常のサインとなるため、重要な観察ポイントとなる。 観察の注意点 瞳孔径 瞳孔径は周囲の光量に影響を受けるため、夜間消灯後は、日中と同じく照明を点け、光に慣れてから観察します。 対光反射 対光反射には直接反射・間接反射があり、耳側から光を入れる必要があります。 LED などの強い光や、長時間光を当てることがないようにします。

標準失語症検査(SLTA)

標準失語症検査(SLTA)とは 標準失語症検査(Standard Language Test of Aphasia :SLTA)は、日本で最もよく用いられている総合的な失語症検査です。 一般的には「SLTA」と呼ばれることが多いです。 開発者は、失語症研究会(現在は日本高次脳機能障害学会)です。 基礎的な研究は1965年に開始され、最終試案は失語症者200人・非失語症者150人のデータをもとに標準化されて、1975年に完成版が出版されました。 標準失語症検査(SLTA)の概要 目的 失語症状の詳細な把握と、失語症に対するリハビリテーション計画立案の指針を得ることを目的としています。 構成 「聴く」、「話す」、「読む」、「書く」、「計算」の5側面、計26項目の下位検査で構成されています。 所要時間 所要時間は失語症のタイプや重症度によりますが、60~120分程度です。場合によっては120分以上かかることもあります。 一定数の誤答が連続した場合や一定の得点に達していない場合には中止基準を設けて、被検者の心理的負担に配慮しています。 特徴 6段階評価 :大部分の検査項目において反応時間やヒント後の反応に基づく6段階評価が採用されており、症状を詳細に把握することができます。わずかな変化を知ることができ、この情報をリハビリテーションに生かすことができます。正誤2段階の評価に換算して大まかな成績を表示することもできます。 普及度の高さ :日本で最も一般的な失語症検査であり、多くの臨床家が本検査に精通しています。転院時にも他施設との情報共有がしやすく、本検査の反復使用によって経時的変化がわかります。 刺激の統一 :SLTAでは、できる限り同一の単語や文を刺激に用いています。被検者内でモダリティ間(「命令に従う」課題を口頭で聴覚呈示する場合と文字で視覚呈示する場合等)、漢字・仮名間(同じ「読解」課題で単語を漢字表記する場合と仮名表記の場合等)の成績比較をすることができます。 「話す」側面の充実 :動詞の表出をみる「動作説明」や4コマまんがを用いた「まんがの説明」等独創的な検査項目があります。 記録用紙 下段は項目ごとの6段階評価の結果の記入欄、上段は正答率(完全正答の段階6および不完全正答の段階5)を折れ...

兵頭スコア 嚥下内視鏡所見のスコア評価基準

兵頭スコア 嚥下内視鏡所見のスコア評価基準 スコア合計:    点 ① 喉頭蓋谷や梨状陥凹の唾液貯留  0:唾液貯留がない  1:軽度唾液貯留あり  2:中等度の唾液貯留があるが、喉頭腔への流入はない  3:唾液貯留が高度で、吸気時に喉頭腔へ流入する ② 声門閉鎖反射や咳反射の惹起性  0:喉頭蓋や披裂部に少し触れるだけで容易に反射が惹起される  1:反射は惹起されるが弱い  2:反射が惹起されないことがある  3:反射の惹起が極めて不良 ③ 嚥下反射の惹起性  0:着色水の咽頭流入がわずかに観察できるのみ  1:着色水が喉頭蓋谷に達するのが観察できる  2:着色水が梨状陥凹に達するのが観察できる  3:着色水が梨状陥凹に達してもしばらくは嚥下反射がおきない ④ 着色水嚥下による咽頭クリアランス  0:嚥下後に着色水残留なし  1:着色水残留が軽度あるが、2~3回の空嚥下でwash outされる  2:着色水残留があり、複数回嚥下を行ってもwash outされない  3:着色水残留が高度で、喉頭腔に流入する 誤嚥:なし・軽度・高度 随伴所見:鼻咽腔閉鎖不全・早期咽頭流入・声帯麻痺