構音運動プログラム
構音運動プログラムは、脳の中で正しく選択され、正しい順序に配列された音韻を、音声として外に出力させるために必要な、発声・発話器官の正しい運動の記憶(構音プログラム)を活性化させる(想起する)段階です。 単語を構成する音韻列を、日本語らしくスムーズに音声化していく上で必要な、一連の運動(パワー・速度・位置・タイミングなど)に関する設計図のことを言います。
構音運動プログラムの段階の障害
構音運動プログラムの段階の障害を、アナルトリー(発語失行、失構音)と呼ばれています。
アナルトリーがあると、構音すべき音韻は頭の中に正しく想起されているのに、発声発語器官をどのように動かせばよいのかわからず、結果として、発せられた音は、聞き手にとって不明瞭な、書き取ることが困難な独特な歪みを伴ったものとなります。
その他には、音が置換したり引き伸ばされたり脱落したように聞こえる場合や、発話速度やリズムの異常が観察されることもあります。
構音運動プログラムの段階での障害では、自分の発話が目的の音ではないことはすぐにわかるので、何度も修正しようとします。
言い直すことで修正される場合もありますが、もう1回発話すると再び誤った音に変わってしまい、しかも最初とは異なる音になっているという場合もあります。
構音運動実行 (音声表出)
いよいよ最後の段階です。構音運動プログラムが作動 し、発声発語器官の諸筋群が協調的に動 くことによって、被験者の口から音声が発せられます。 この段階の障害は、運動障害性構音障害 (dysarthriea)になります。