語彙選択(出力語彙辞書)
私達の脳の中には様々な意味を指し示すための言語記号である「語彙」が多数蓄えられていると考えられており、「語彙辞書」と呼ばれています。
語彙選択の段階では、脳の中にある語彙辞書から、その意味を指し示すにふさわしい語彙を「検索」し、該当するものを「選択」します。「探索・選択」というのは、沢山ある引き出し(語彙辞書)の中からどれか1つ選んで、その引き出しを開けるようなイメージとなります。
語彙選択の段階の障害
語彙選択の段階の障害があると、語彙辞書に到達できない、あるいは、到達できても引き出しも開けることができない状況が起こります。その場合には何も語が表出できない状態になります。 全失語といわれるような重度の失語症の患者さんはそのような状態なのかもしれません。
そこまで重度ではない場合では、辞書に到達した後に、目当ての引き出しとは別の引き出しを開けてしまう症状が出現します。この場合には、りんごの絵を見て、バナナや時計など、別の単語を言ってしまう症状が現れます。語性錯語と呼ばれる症状は、この段階の障害と考えられます。
現在、語彙の選び損ないがどうして生じるのかや、選び間違う時に、なぜその語彙を選んでしまったのか等はよく分かっていません。