気管切開患者のケアの注意点

気管切開患者のケアの注意点


サイズ、形状の選択


患者毎の呼吸状態、嚥下機能、咽頭や気道の解剖をアセスメントし、単管・複管、カフの有無、カフ上部吸引の必要性、発声の可能性を考えて必要な気管切開チューブを選択をする。

サイズはフレーム部分や製品の外箱に内径(I.D)や外径(O.D)がミリ単位で表記されている。

チューブの形状やサイズが合わず長期に気道粘膜を刺激すると、出血や肉芽形成、潰瘍形成、気管食道瘻など合併症発生の原因となるため注意が必要となる。

挿入時はスタイレットの抜き忘れに注意が必要


気管切開チューブ挿入の際は、製品に付属しているスタイレット(オブチュレーター)を使用する。

挿入後は必ず抜去されていることを必ず確認することが重要である。

固定方法


一般的にはネックホルダーをフランジの穴に通し、指が1本入るくらいの緩みをもたせて頸部に固定する。

頸部術後で頸部の浮腫の可能性がある場合は頸部周囲に1周せず固定する方法もある。

また、自己抜去予防安全用具を使用するなど安全対策も行う必要がある。

閉塞への注意


硬くなった痰や気道分泌物による閉塞は窒息や低酸素など重篤な合併症につながるため、気管切開チューブの開存性には常に注意が必要となる。

痰の粘稠度が高い場合は、加温・加湿、去痰薬の使用、脱水の是正に注意し、気道クリアランスを保つケアを行う。

気管切開チューブ先端の肉芽形成による閉塞の可能性もあるため、呼吸音聴取や痰の性状から痰の貯留以外の閉塞が考えられる場合は医師に報告し気管支鏡による確認や処置が必要となる。

また、スピーチバルブの装着や気管切開患者のネブライザー使用時など、呼気の排出経路が不完全な場合は窒息につながるため、必ず吸気と呼気の通り道を確認して接続する。

スキンケア


出血や気管分泌物は速やかに取り除くようにする。

気管孔周囲の機械的刺激や分泌物による皮膚の浸軟から皮膚トラブルが起こると強い不快感につながるため、皮膚保護材やドレッシング材の使用を検討する。

永久的に気管孔を維持する場合はより丁寧なケアが求められる。

気管切開チューブ抜去後のケア


自発呼吸の安定や気道狭窄、気道のクリアランスなどの問題が解決した場合、気管切開チューブ抜去を検討する。

通常、切開孔は抜去から3〜7日前後で自然閉鎖するが、酸素化・換気の維持、痰の排出、気道狭窄の有無、誤嚥がないかなど観察し、酸素や挿管準備、吸引の物品を揃えておく必要がある。

呼吸器ケア 2016 vol.14 no.3より参照。