高次脳機能障害と発達障害の違い

高次脳機能障害と発達障害の違い


高次脳機能障害


・原因


後天性の脳機能障害

・回復過程


脳の可塑性があるために症状が改善する

・遺伝


児の障害が親に似るわけではない

・対応の基本


リハビリテーション


発達障害

・原因


生まれつきの脳機能障害

・回復過程


発達に伴い症状が変化する

・遺伝


児の特徴が、親に似た傾向をもつことが多い

・対応の基本


ハビリテーション

Jpn J Rehabil Med Vol. 53 No. 5 2016より参照

S-PA 標準言語性対連合学習検査

S-PA 標準言語性対連合学習検査


S-PAとは


日本高次脳機能障害学会より開発された、言語性記憶(言われた内容を覚えている、約束を覚えている、また自らが予定したことを行う時などに必要な言語を用いた記憶)を把握するための検査です。

特徴


時代を考慮した対語の選択と、全国レベルでデータ収集を実施されています。

また、年齢別の判定基準を導入されており、標準化が行われていることが特徴です。

構成

S-PAの構成は、有関係対語(意味関連のある単語)10対と、無関係対語(意味関連が希薄な単語)10対より構成されています。

実施方法


組み合わせ(対語)を検査者が読み上げ、被検査者に記憶してもらいます。

その後、単語対のはじめの単語を提示して、その語と対をなしていたもう一方の単語を応えてもらうものです。

S-PAは、用いる単語を時代を考慮して選出し、有関係・無関係対語試験の組み合わせを3セットを用意されています。

適応年齢


16歳~84歳

(失語症は対応すべきでない病態とされています。)

所要時間


10分となります。

保険点数


区分 D285-2

点数 280点

S-PAと三宅式記銘力検査の違い


S-PAは、有関係対語試験、無関係対語試験の組み合わせが3種類(セットA・B・C)用意されており、用いる対語は時代を考慮したものとなっています。

さらに、S-PAは健常者の年齢別の平均値を示しており、検査成績の客観的な解釈が可能となっています。

また、スコアリングシートが付いており、簡便に判定できるようになっています。

三宅式記銘力検査は、1セットのみの構成となっており、複数回の使用が難しいことや、対語が現代に合っていないもの(停車場、真綿)などが含まれている点があります。

三宅式記銘力検査の詳細はこちら↓

慢性硬膜下血腫(CSDH)の認知症の特徴とアルツハイマー型認知症の比較

慢性硬膜下血腫に伴う認知症の場合



  • 主症状:注意障害、会話内容の混乱、活動性低下
  • 意識障害:あり
  • 見当識障害:さまざま巣症状の合併:片麻痺、失語、失禁などあり
  • 歩行障害:多い
  • BPSD:基本的になし
  • 日内変動:あり
  • 経過:発症時期は明瞭で、1〜2カ月で増悪する


アルツハイマー型認知症の場合



  • 主症状:近時記憶障害、語想起などの障害
  • 意識障害:重症になるまでなし
  • 見当識障害:あり
  • 巣症状の合併:なし
  • 歩行障害:少ない
  • BPSD:あり
  • 日内変動:なし
  • 経過:発症時期は不明瞭で、緩徐に進行する

脳神経外科速報 vol.26 no.2 2016.2.より参照

パーキンソン病統一スケール(UPDRS)の評価項目

パーキンソン病統一スケール(UPDRS)の評価項目


UPDRS その1 精神機能,行動および気分


1.知的機能の障害


 0 なし

 1 軽度.健忘が一貫してみられるが,部分的に思い出す.他の障害はない.

 2 中等度の記銘力障害と見当識障害あり.複雑な問題への対処に中等度の障害.

      家庭内でも軽度ながら明らかに障害あり,ときに介助を必要とする.

 3 重篤な記憶障害と時間と,ときに場所に対する見当識障害.問題の対処に重篤な

障害.

 4 重篤な記憶障害と見当識は人に対してのみ保たれている.判断や問題解決は不可

能.身の回りのことにもかなりの介助が必要で,ひとりにしておけない.

2.思考の障害(痴呆または薬物の中毒による)


 0 なし

 1 生々しい夢をみる.

 2 たちの良い幻覚.幻覚であることはわかっている.

 3 時々あるいはしばしば幻覚・妄想があるが病識がない.日常生活に支障をきたす

ことあり.

 4 持続的に幻覚・妄想あるいは病勢盛んな精神病がある.自分でケアをできない.

3.抑うつ


 0 なし

 1 ときに正常以上の悲しみや罪悪感に悩まされる.数日や数周続くことはない.

 2 うつが1週間以上続く

 3 不眠,食欲不振,体重減少,興味の消失をともなう抑うつ状態.

 4 上記の症状に自殺念慮あるいは自殺企図をともなう.

4.意欲・自発性


 0 正常

 1 通常より受動的.より消極的.

 2 選択的活動(ルーチンでない)を進んでおこなわない.興味の喪失.

 3 日々の活動(ルーチン)を進んでおこなわない.興味の喪失.

 4 引きこもり,意欲の完全な消失.

UPDRS その2 日常生活動作(on/off時に分けて評価)


5.会話


 0 正常

 1 軽度の障害.理解するのに障害なし.

 2 中等度の障害.ときどきもう一度くり返すように頼まれる.

 3 高度の障害.しばしばもう一度くり返すように頼まれる.

 4 ほとんどの時間,聞き取り不能.

6.唾液


 0 正常

 1 口中の唾液が軽度ながら明らかに増加.夜間の流涎をみることあり.

 2 中等度に唾液が増加.軽度の流涎があることもある.

 3 著明に唾液が増加.ときに流涎.

 4 著明に流涎,ティッシューやハンカチをつねに必要とする.

7.嚥下


 0 正常

 1 まれにむせる.

 2 ときどきむせる.

 3 柔らかい食事にしないとむせる.

 4 鼻管や胃瘻でチューブフィーディング.

8.書字


 0 正常

 1 軽度書字が遅いか字が小さい.

 2 中等度に遅いか字が小さい.すべての語は読める.

 3 高度に障害.すべての語が読めるわけではない.

 4 語の大多数は読めない.

9.食べ物のカット,食器の取り扱い


 0 正常

 1 いくらか遅くぎこちないが,助けはいらない.

 2 遅くぎこちないが,たいていの食餌はカットできる.部分的に介助.

 3 食べ物は他の人に切ってもらわないといけないが,ゆっくりと食べられる.

 4 他人に食べさせられる.

10.着衣


 0 正常

 1 いくらか遅いが,介助は要しない.

 2 ボタンを留める,そでに腕を通すなどで時に介助を要する.

 3 いくらか自分でできることもあるが,かなり介助が必要.

 4 自分では何もできない.

11.衛生(入浴・トイレ)


 0 正常

 1 やや遅いが介助は要しない.

 2 シャワーや入浴に介助を要する.とても遅い.

 3 洗顔・歯磨き・くし・風呂に行くなど介助を要する.

 4 膀胱カテーテル.

12.寝返りおよびシーツをなおす


 0 正常

 1 すこし遅く,不器用だが,介助は必要ない.

 2 ひとりで寝返りをうったりシーツを直せるが,たいへんな努力を要する.

 3 寝返りやシーツをなおす動作は始められる.しかし完結できない.

 4 自分ではまったくできない.

13.転倒(すくみ現象とは関係なしに)


 0 なし

 1 まれに転倒

 2 時々転倒.平均して一日に一回はない.

 3 平均して一日一回転倒.

 4 一日数回転倒.

14.歩行中のすくみ


 0 なし

 1 歩行中にまれにすくみ.歩き始めにすくむことがある.

 2 時々歩行中にすくむ.

 3 しばしばすくむ.これにより時に転倒する.

 4 しばしばすくみ足により転倒する.

15.歩行


 0 なし

 1 軽度障害.腕の振りが無かったり,足を引きずることがある.

 2 中等度障害.しかし介助はほとんどいらないか不要.

 3 高度障害.介助を要する.

 4 介助をもってしても歩行不能.

16.振戦


 0 ない

 1 軽度そしてまれにある.患者にとっては煩わしくない.

 2 中等度.患者は気になる.

 3 高度.多くの日常生活動作ができない.

 4 著明.ほとんどの日常生活動作が妨げられる.

17.パーキンソン症候群に関連した感覚障害


 0 なし

 1 時々感覚鈍麻,ちくちく,または痛みを感じる.

 2 しばしば 感覚鈍麻,ちくちく,または痛みを感じる.苦痛ではない.

 3 しばしば痛みを感じる.

 4 耐え難い痛み.

UPDRS 3 運動機能検査(on時に検査する)


18.言語

 0 正常

 1 表現,用語,and/or 声量の軽度の障害がある.

 2 中等度の障害.単調で不明瞭だが理解できる.

 3 著しい障害.理解が困難.

 4 理解不能

19.顔の表情


 0 正常

 1 わずかに表情が乏しい.ポーカーフェース.

 2 軽度だがあきらかな表情の減少.

 3 中等度の表情の乏しさ.口を閉じていないときがある.

 4 仮面様で,ひどくあるいは完全に表情がない.口は 0.6cm 以上開いている.

20.安静時の振戦


 0 なし

 1 わずかの振戦が,時に見られる程度.

 2 軽度の振幅の振戦が常にある.または中等度の振幅の振戦がときどきある.

 3 中等度の振戦がほとんどの時間ある.

 4 高度の振戦がほとんどの時間ある.

21.手の動作時または姿勢時振戦


 0 ない

 1 軽度;動作にともなっておこる.

 2 中等度の振幅;動作にともなっておこる.

 3 中等度の振幅;動作時,姿勢時におこる.

 4 著明な振幅.食事が妨げられる.

22.固縮(患者は座位で安静にしている.主要な関節で判断する.歯車現象は無視.)


 0 ない

 1 軽微またはミラームーブメントないし他の運動で誘発できる程度.

 2 軽度ないし中等度の固縮.

 3 高度の固縮.しかし関節可動域は正常.

 4 著明な固縮.関節可動域に制限あり.

23.指タップ(親指と示指をなるべく大きく早くタップする.左右は別々に)


 0 正常(>=15/5秒)

 1 すこしおそいか,振幅が減少している.(11-14/5秒)

 2 中等度の障害.疲れやすい.ときどき運動が止まることがある.(7-10/5

秒)

3 著明な障害.はじめにしばしばすくむ.または運動中にとまる.(3-6/5秒)

 4 ほとんどできない.(0-2/5秒)

24.手の動作(できるだけ大きく,すばやく手の開閉をくり返す.左右は別々に)


 0 正常

 1 すこし遅いか,振幅が小さい.

 2 中等度の障害.すぐ疲れてしまう.ときに運動が止まることがあっても良い.

 3 著明な障害.しばしば開始時にすくみ,運動がとまる.

 4 ほとんどできない.

25.手の回内回外運動.垂直や水平の位置で,できるだけ大きく.左右は別々に.


 0 正常

 1 すこし遅いか,振幅が小さい.

 2 中等度の障害.すぐ疲れてしまう.時に止まっても良い.

 3 著明な障害.しばしば開始時にすくむ.あるいは途中で止まる.

 4 ほとんどできない.

26.下肢の敏捷性.下肢をあげてかかとで床をタップする.かかとは7.5cm あげる.


 0 正常

 1 すこし遅いか,振幅が小さい.

 2 中等度の障害.すぐ疲れてしまう.時に止まっても良い.

 3 著明な障害.しばしば開始時にすくむか運動が止まる.

 4 ほとんどできない.

27.イスから立ち上がる.(まっすぐの背もたれの木か金属のイス.腕を組んだまま
立ち上がる)


 0 正常

 1 遅い.または1度でうまく行かないことあり.

 2 肘掛けに腕をついて立ち上がる.

 3 イスにふたたび倒れ込む.一度ではうまく行かないことあり.介助なしで立ち上

がれる.

 4 介助なしでは立ち上がれない.

28.姿勢


 0 正常

 1 軽度の前屈姿勢.高齢者では正常な程度.

 2 中等度に前屈姿勢.明らかに異常.すこし左右一方に偏っていても良い.

 3 高度に前屈姿勢で,脊柱後彎(亀背)をともなう.中等度に左右一方に偏ってい

てよい.

 4 高度の前屈姿勢.姿勢は極端に異常である.

29.歩行


 0 正常

 1 歩行は緩慢.数歩はひきずり足になる.加速歩行や前方突進はない.

 2 歩行は困難をともなう.介助は要しない.加速歩行や数歩の前方突進あり.

 3 いちじるしく障害.介助を要する.

 4 介助があっても歩行不能.

30.姿勢の安定性.(患者はまっすぐに立ち,開眼し,足はすこし開いて準備する.
肩を後方に勢いよく引いて後方突進現象をみる)


 0 正常

 1 後方突進あり.自分で立ち直れる.

 2 姿勢反射がおきない.検者が支えなければ倒れてしまう.

 3 きわめて不安定.自然にバランスを失う.

 4 介助なしでは立てない.

31.からだの動作緩慢.(動作緩慢,ちゅうちょ,腕の振りの減少,運動の振幅の減
少と運動全体の少なさを総合的に評価する)


 0 なし

 1 わずかに緩慢.ゆっくりとした動作.人によっては正常のこともある.運動の振

幅がやや小さいこともある.

 2 軽度に動作が緩慢.運動量があきらかに低下している.運動の大きさがやや低下.

 3 中等度に動作が緩慢.運動量が低下し,または運動の大きさが低下している.

 4 著明に動作が緩慢.運動量の低下.または運動の大きさが低下している.

UPDRS 4 治療の合併症


A. ジスキネジア

32.持続時間(起きている時間の何%か)


 0 なし

 1 1-25%

 2 26-50%

 3 51-75%

 4 76-100%

33.ジスキネジアによる障害.


 0 なし

 1 軽度障害

 2 中等度障害

 3 重度に障害

 4 完全な障害(なにもできない)

34.痛みをともなうジスキネジア.どのくらい痛いか.


 0 なし

 1 軽度

 2 中等度

 3 重度

 4 著明な障害

35.早朝のジストニア


 0 なし

 1 あり

B.症状の日内変動

36.服薬時間から予測可能なオフ期間はあるか.


 0 なし

 1 あり

37.服薬時間から予測不可能なオフ期間はあるか.


 0 なし

 1 あり

38.とつぜん(数秒以内など)おこるオフ期間はあるか


 0 なし

 1 あり

39.起きている時間の何%が平均してオフ期間か.


 0 なし

 1 1-25%

 2 26-50%

 3 51-75%

 4 76-100%

C. その他の合併症状

40.患者は食欲低下,嘔気,嘔吐をともなっているか.


 0 なし

 1 あり

41.不眠や眠気があるか.


 0 なし

 1 あり

42.起立性低血圧症状はあるか.


 0 なし

 1 あり

http://www.treatneuro.com/wp-content/uploads/updrs.pdfより参照

進行性核上性麻痺 (PSP)の重症度機能評価スケール

進行性核上性麻痺 (PSP)の重症度機能評価スケール


機能評価スケールは、症状の有無や重症度の定量化、治療の効果検証などに役立ち、包括的なリハビリテーションを提供する上で重要です。

PSPの機能評価スケールには、2つの評価スケールがあります。

Unified Parkinson’s DiseaseRating Scale(UPDRS)


一つは、Unified Parkinson’s DiseaseRating Scale(UPDRS)が一般的に普及してます。

この評価スケールは、パーキンソン病をもとにデザインされているが、運動項目においてPSPにも適応されます。

検査方法や評価表はこちら↓

http://www.st-medica.com/2012/12/updrs.html

Progressive Supranuclear PalsyRating Scale(PSPRS)


2つ目は、Lawrence I GolbeによってデザインされたProgressive Supranuclear PalsyRating Scale(PSPRS)があります。

精神機能、嚥下機能、眼球運動機能、四肢体幹機能等を評価します。

このPSPRSには、Lawrence l Golbe監修のもと、湯浅と濱田の両博十が翻訳した進行性核上性麻痺機能評価尺度日本語版(PSPRS-J)があります。

各項目の重症度に応じた点数が配分されていて、重症度が高いほど点数が高く、最高で100点となっています。

PSPRSの評価表はこちら↓

遂行機能(executive function)

遂行機能とは


遂行機能(executive function)とは神経心理学的な立場から形成された概念です。

目的をもった一連の活動を有効に成し遂げるため、自ら目標を設定し、計画を立て、実際の行動を効果的に行う能力のことをいいます。

一般的な遂行機能の特徴は、目標指向性、新規の問題の解決、ルーチンである反応の抑制、複数のアプローチ法、複数の課題が同時に存在すること(同時処理)、状況に応じた柔軟な解決、規則の推論、概念化や概念の形成といった機能をいいます。

日常生活と遂行機能


日常生活では、買い物や料理の手順、銀行などでの手続き、対人関係の構築や維持には必要とされる機能で、職場では遂行機能を多用しています。

遂行機能に問題があると


遂行機能が保たれていれば自立した生産的な生活ができますが、逆に遂行機能障害を認めると他の認知機能や身体機能が良好であっても自立した生活や社会的に意味のある生活を送ることは困難となります。

言語、行為、視覚認知、視空間認知、記憶といった比較的要素的な領域では、なにをどれだけできるかという指標で表されるが、遂行機能はどのように物事を行うか、あるいは物事を行うか否かで判断されます。

そのため、遂行機能障害は、計画を立てる際やルーチンではない、新たな状況や問題が生じた際に出現しやすいといわれています。

遂行機能に問題があると、変化した状況では、計画のない場当たり的な行動になってしまったり、以前にとった行動と同じ行動を続けてしまったりします。

嚥下障害スクリーニングテスト

嚥下障害スクリーニングテスト


嚥下スクリーニングテストは以下と通りです。


反復唾液嚥下テスト RSST


反復唾液嚥下テスト:RSSTは被検者の喉頭隆起および舌骨に第2指と第3指の指腹を軽くあて、随意的に空嚥下運動を繰り返させるもので、3回/30秒未満を異常とします。

改定水飲みテスト MWST


改訂水飲みテスト:MWSTは冷水3mLを口腔前庭に注いで嚥下を命じ、可能なら追加して2回嚥下をさせます。
最大3回実施し、最も悪い嚥下活動を評価し、3点(嚥下あり、呼吸良好、むせるand/or湿性榎声)以下を異常とします。

いずれもベッドサイドにおいて短時間で行え、比較的安全性が高いです。

また、摂食の可否を判定するために、唾液や液体の嚥下評価のみでは不十分であるため、2001年には段階的フ一ドテスト(food test:FT)が考案され、少量の、難易度の異なる食材を直接嚥下させ、その時点における至適食材を判定する方法もよく用いられています。

最大3回実施し、最も悪い嚥下活動を評価し、3点(嚥下あり、呼吸変化はないが、むせあるいは湿性嗅声や口腔内残留を伴う)以下を異常とすることはMWSTと同様です。

MWSTとFTの判定のための観察項目は、嚥下の有無、呼吸変化の有無、むせの有無、湿性榎声の有無、追加嚥下の可否となっています。

注意点としては、FTでは約2割、MWSTでは4割以上で不顕性誤嚥を見落とす可能性があるため、これらの検査で異常がなかったからといって、摂食・嚥下に問題がないとは言い切れないことに注意が必要となります。

10メートル歩行テスト (10MWT)

10メートル歩行テスト (10MWT)


10m歩行テストには、いくつかのバリエーションがあります。

➀10mの歩行時間を計測して歩行速度を求める方法


➁10mの歩行時間に加えて10mを歩く歩数を計測し、そこから歩幅や歩調(歩行率)を求める方法


➂10mの歩行時間と歩数だけでなく、実際の歩行距離を測定する方法



➀の方法の欠点


歩行速度の情報しか得られないため、より詳細に個人の歩行周期を評価するには不十分です。

➁の方法の欠点


歩行速度の他に歩幅と歩調が求められますが、実際の歩行距離を計測していないために、個々人の歩幅に最大1幅分の誤差が生じることになります。

➁の方法はリハビリテーションの臨床でよく使われていますが、テスト法について記載に混乱が見られているようです。

「患者の足がスタートラインを踏むか、越えた時にストップウォッチをスタートさせ、同時に歩数を数え始める。患者の足が完全にエンドラインを越え後方の足が床から離れた時に計測を終了する」と記載している文献がある一方、「患者の足がスタートラインを踏むか、越えた時にストップウォッチをスタートさせ、同時に歩数を数え始める。患者の足が完全にエンドラインを越えた時に測定を終了する」と記載している文献もあります。

「計測の終了」が、「後方の患者の足が床から離れた時」なのか「エンドラインを越えた時」なのかは、記述が統一されておらず計測者によって誤差がでてしまいます。

➂の方法の利点


10mの歩行時間に加えて、実際の歩行距離と歩数を測定するため、歩幅と歩調の誤差が少ないのが特徴で、テストの再現性も確認されています。

これによって個人別の歩幅、歩調を正確に測定することができます。ただしこの方法では、検査者が最低3名必要であると言われています。

カットオフ値といわている値


屋内歩行


24.6秒

屋外歩行


11.6秒

肩関節疾患に使用する装具や三角筋の座位での観察ポイント

肩関節疾患に使用する装具や三角筋の座位での観察ポイント


肩関節疾患に対して、保護を目的に装具や三角巾を用いられることがありますが、装着の仕方によっては、肩関節周囲筋の筋緊張が高まり、痛みが出現してしまうことがあり、そのままにしておくと、肩関節拘縮状態に移行してしまうことがあります。

正しい姿勢で装具をきちんと装着することで、手術部位の保護や痛みの緩和、円滑な関節可動域練習の一助となります。

上肢の重みが装具や三角巾の一部に負荷がかかることを防ぐために、膝の上にクッション等を置いて上肢を載せることも良肢位の保持につながると言われています。

座位での安静肢位の観察ポイント


  • 肩甲骨の高さが同じ
  • 術側が健側と比べて前後にずれていない
  • 前腕が浮いたりせず装具に収まっている
  • 手首の位置が肘よりも低い位置になっていない

観察・指導の継続

装具を使用した状態での姿勢の調整は、慣れるまで時間がかかることもあります。鏡を見ながらでは調整しにくいこともあるため、慣れるまでは病棟での観察・指導を継続することも大切なことです。

摂食・嚥下障害患者における摂食状況レベル(Lv.)

摂食・嚥下障害患者における摂食状況レベル(Lv.)


摂食・嚥下障害を示唆する何らかの問題あり


経口摂取なし


Lv.1:傾向訓練を行っていない

Lv.2:食物を用いない嚥下訓練を行っている

Lv.3:ごく少量の食物を用いた嚥下訓練を行っている

経口摂取と代替栄養


Lv.4:1食分未満の嚥下食を経口摂取、代替栄養が主体

Lv.5:1〜2食の嚥下食を経口摂取、代替栄養も行う

Lv.6:3食嚥下食を経口摂取、不足分の代替栄養を行う

経口摂取のみ


Lv.7:3食の嚥下食を経口摂取、代替栄養を行っていない

Lv.8:特別に食べにくいものを除いて、3食を経口摂取

Lv.9:食物の制限はなく、3食経口摂取



Lv.10:摂食・嚥下障害に関する問題なし(正常)

意味性認知症における重症度分類に関する事項

意味性認知症における重症度分類に関する事項


0.正常発語。正常理解。

1.最低限だが明らかな喚語障害。通常会話では、理解は正常。

2.しばしば生じる発語を大きく阻害するほどではない程度の軽度の喚語障害、軽度の理解障害

3.コミュニケーションを阻害する中等度の喚語障害。通常会話における中等度の理解障害

4.高度の喚語障害。言語表出障害。理解障害により実質的にコミュニケーションが不能。

高次脳機能研究第36巻第3号より参照。

前頭側頭型認知症(FTD)の臨床診断基準 (1998年の国際ワーキンググループ)

前頭側頭型認知症(FTD)の臨床診断基準 (1998年の国際ワーキンググループ)

性格変化と社会的行動の障害が発症から疾思の経過を通じて優位な特徴である。
知覚、空間的能力、行為、記憶といった道具的認知機能は正常か、比悦的良好に保たれる。


Ⅰ主要診断特徴(すべて必要)


 A.潜行性の発症と緩徐な進行

 B.早期からの社会的対人行動の障害

 C.早期からの自己行動の統制障害

 D.早期からの情意鈍麻

 E.早期からの病識の欠如


Ⅱ支持的診断特徴


 A.行動異常

 1.自己の衛生や身なりの障害

 2.精神の硬直性と柔軟性のなさ

 3.易転導性と維持国難

 4. 口唇傾向と食餌嗜好の変化
 5.保続的行動と常同行動 

 6.使用行動

Frontotemporal lobar degeneration : a consensus on clinical diagnostic criteria. Neurology, 51 : 1546ー1554, 1998より引用

バイタルサイン(生命徴候)

バイタルサイン(生命徴候)とは


バイタル(vital)=「生命の」、サイン(sign)=「徴候」は、生命の状態を端的に表すものです。

バイタルサインの5項目


  1. 体温
  2. 血圧
  3. 心拍数と調律
  4. 呼吸数
  5. SpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)

※文献によっては、意識と尿量も項目に含まれています。

いずれも診察の最初に確認すべき必須項目です。
項目によって確認されなかったり、カルテ記載が漏れていることがないように、入院患者様には、常に各項目を把握することが望まれます。

脈拍の異常とその原因

脈拍の異常とその原因


頻脈


手術侵襲、痛みなどによる交感神経の緊張
発汗による酸素消費量の増加
脱水や出血などによる循環血液量の減少
薬剤による副作用(降圧薬など)


徐脈


頭蓋内圧亢進 
 薬剤による副作用
鎮痛薬使用後の副交感神経の緊張
頸動脈洞反射や洞不全症候群、迷走神経反射など


脈拍結滞


心房性 / 心室性期外収縮など


リズムの不整


心房性 / 心室性期外収縮、心房細動、心房粗動など


脈圧が大きい


血圧の上昇や発熱などによる心拍出量増大 / 頭蓋内圧亢進


脈圧が小さい


血圧低下による心拍出量の減少

失語症患者とのコミュニケーションを促進する為の10項目

失語症患者とのコミュニケーションを促進する為の10項目


  1. 短い文でゆっくり話しかける。
  2. 患者が発病前から使い慣れていた言葉や表現を使って話しかける。
  3. 患者が現在関心をもっている具体的な事柄について話しかける。
  4. 抑揚や表情を豊かにつけて話しかける。必要とあれば身振りを加えて、実物を見せたり、文字(漢字のほうが仮名より理解しやすい場合が多い)で示したりする。
  5. 話しかけても1回で理解出来ないときは、もう1回繰り返すか、又は別の表現に変えてみる。
  6. 1つの事柄が理解されたことを確かめてから次の事柄に進み、話題を唐突に変えない。
  7. 話すことが困難な患者に対してはYes , Noで答えられる質問を工夫する。
  8. 患者に話すための時間を充分に与え、ゆっくりと辛抱強く聞く。
  9. 話すことを強制したり、誤りを訂正したりしない。
  10. 患者がうまく反応出来た時は、はっきりとほめたり、 一緒に喜んだりして励ます。

NPI BPSD及び介助者の負担度検査

NPI BPSD及び介助者の負担度検査


NPIとは


Nuropsychiatric inventory(NPI)は介護者に対する面接に基づいて評価する、BPSD(認知症の周辺症状)の頻度と重症度および介護者の負担度を数量化することができる神経心理検査です。

1994 年に Cummings らによって確立され、1997 年に博野信次によって日本語版 NPI が標準化されました。

国際老年精神医学会が作成したBPSD教育パック第2版の中でもBPSDの総合的評価尺度として取り上げられています。

NPIの構成


妄想、幻覚、興奮、うつ、不安、多幸、無感情、脱抑制、易刺激性、異常行動の10項目につき、それぞれの頻度を1~4の4段階で、重症度を1~3の3段階で評価し、点数が高いほど頻度、重症度が大きいことを示しています。

各項目のスコアは頻度×重症度で表され(1~12点)、10項目で合計1~120点となります。


実施方法


検査用紙に従い、検査者が用意された質問項目に沿って情報提供者(介護者)に面接を行い、評価を行います。


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サルコペニアへの対応

サルコペニアへの対応


筋力増強


サルコペニアは適切な運動により回復することがわかってきています。
そのなかでも、筋力増強訓練が最も重要と言われています。

筋力増強訓練には好気的運動と抵抗運動があります。

好気的運動

好気的運動はリズミカルに反復する運動で強い負荷は掛けない運動です。
筋組織では好気的代謝が行われており、酸素を消費しエネルギー産生を行っている筋量を増やす効果はあまりないですが、心・呼吸系、肥満、耐糖能の改善などの効果があると言われています。

抵抗運動

抵抗運動は、重りや徒手的な抵抗を加えた運動です。
関節の動きを伴わない場合、等尺性運動と言います。
この運動は筋量を増やす効果に優れていて、筋力も増加します。
筋細胞レベルでは嫌気的代謝が行われており、ブドウ糖から乳酸が産生され、エネルギーを得ています。

他動的伸長刺激を1日15分でも続けて訓練を行うと、筋の維持増強効果をもち、短時間の訓練でも筋力増強効果が期待できることを示唆しているとの報告があります。


身体活動量


筋力増強訓練のほか身体活動量の増加も重要です。
サルコペニアに陥った高齢者は自宅であまり動かない生活など日常の身体活動量が不足していることが多いと言われています。
そのため、日常生活で身体活動を増やすような習慣の指導、外出、趣味の開拓、通所サービスなども効果的と言われています。

栄養指導


また、食事でのタンパク質摂取不足など栄養面からのサルコペニアも多くみられ、栄養指導も必要です。

原疾患のコントロール


もちろん、二次性サルコペニアでは原疾患のコントロールも重要です。
高齢者では、変形性関節症、変形性脊椎症、心疾患、呼吸器疾患など様々な合併症をもっていることが多いです。
そのため、運動処方、生活指導を行う場合、負荷量、運動の方法などに留意し、合併症の悪化を来すことのないようにすることも重要と言われています。

誤嚥性肺炎の胸部聴診

誤嚥性肺炎の胸部聴診


誤嚥性肺炎の胸部聴診では、肩甲線上の第8肋間のあたり、特に背中からみて右の下側(肺のS6またはS10領域)を重点的に聴診する必要がある。

誤嚥性肺炎の聴診音の特徴


・息の吸い始め

息の吸い始めた時の「プツッ」「プツッ」とした低音が聴取される。

・息の吸い終わり

息の吸い終わりには「バチバチ」「パリパリ」という低音に変わる断続性ラ音(水泡音)が聴取される。


誤嚥性肺炎になりやすい領域


左肺の気管支の分岐角が約45度に対して、右肺の気管支は分岐角が約25度と鋭角で、さらに短くて太いため入ってきた異物が落ちやすくなっているため、肺のS6(下葉上下葉区)やS10(下葉後肺底区)の領域に誤嚥性肺炎が起こりやすいと言われている。



まとめ


・誤嚥の疑われる高齢者では、肩甲線上の第8肋間のあたり(特に背中からみて右側)を重点的に聴取する必要がある。
・断続性ラ音が聴取されるのは、粘い痰が絡まって開きにくくなった肺胞が、吸気によって一気に広がったり、気道内に付いた分泌物が破裂するためである。


ピック病の症状経過

ピック病の症状経過


第Ⅰ期(発病から1~3年)

人格:関心の喪失
 判断力:障害
 実行能力:計画および抽象思考の低下
 記憶:比較的保たれている
 視空間見当識:正常
 言語:正常あるいは失名辞,迂回操作
 計算力:比較的保たれている
 Klifver-Bucy症候群:症状が部分的に顕在化
 運動系:正常
 脳波:正常

第Ⅱ期(発病から3~6年)

言語:常同言語,言語理解不良,失語
 記憶:比較的保たれている
 視空間見当識:比較的保たれている
 判断力:低下
 実行能力:低下
 運動系:比較的正常
 脳波:基礎律動徐波面
 CT/MRI:前頭葉と側頭葉の両方あるいはいずれかの局所性萎縮
 PET/SPECT:両側前頭葉の低代謝あるいは低下

第Ⅲ期(発病から6~12年)

言語:絨黙あるいは意味不明の言葉
 記憶:低下
 視空間見当識:低下
 認識:高度に障害
 運動系:錐体外路症状あるいは錐体路症状・錐体外路症状が混在
 脳波:全般性徐波あるいは前頭・側頭の徐波化
 CT/MRI:前頭葉と側頭葉の両方あるいはいずれかの局所性萎縮
 PET/SPECT:両側前頭葉の低代謝あるいは低下

(Cummings&Benson, 1992)

脊髄麻痺型の種類

脊髄麻痺型の種類


中心部損傷型

脊髄中心部(灰白質、白質の内側)が損傷され、下肢の運動障害に比較して上肢の障害が強く残存するタイプ。

前側部型

脊髄中心部に加えて前索、側索が損傷され、上下肢の運動、表在性の知覚障害があるが深部感覚は残存するタイプ。

後側部型

脊髄中心部に加えて後索、側索が損傷され、上下肢の運動障害、深部知覚障害があるが表在感覚は残存するタイプ。

半側型(Brown–Séquard型)

損傷側の錐体路・後索・反対側の脊髄視床路が損傷され、損傷側の表在感覚障害を認めるタイプ。

横断型

灰白質・全索路が損傷され、損傷部以下の知覚、運動障害を認めるタイプ。

音韻性失名詞

音韻性失名詞


失名詞は、喚語や呼称の障害で、これを主徴とする流暢な失語は失名詞失語に分類されます。
一般的な失名詞失語は発話が流暢で、名詞の喚語困難が目立ち、心的辞書で語彙の適切な選択ができず、その本質は語彙選択上にあるとされています。

音韻性失名詞も、失名詞失語同様に理解は保たれますが、呼称が障害されます。
その誤り方は、音韻性錯語や接近行為様の発話など音韻性が主体で、意味性の誤りは基本的に認められないと言われています。
伝導失語では表出面全般にわたり音韻性の誤りが観察されますが、音韻性失名詞は、復唱が良好で、こうした誤りは認められないと言われています。
呼称という目標語を探索する場合にのみ誤りが出現し、語彙目標は適切に選択できているものの、その語の音韻表象が十分に活性化を得ていない状態と言われています。

word meaning deafnessとは

word meaning deafnessとは


word meaning deafnessとは、音が正確に知覚され(言語音として正しく分析・認知され)その連なりが意味のある単語だと認知されながら、意味と結びつかない状態をいいます。

聴覚的には理解できなかった語を正確に、復唱でき書いて示されるとすぐに理解でき、聴覚的lxical decishoin(語彙判定)が可能といわれています。

音声治療技法とそれぞれのエビデンスレベル

音声治療技法とそれぞれのエビデンスレベル


声帯過内転障害に対する音声治療技法

あくび・ため息法:エビデンスレベルⅣ~Ⅴ
咀嚼法:エビデンスレベルⅣ
ハミング:エビデンスレベルⅢ
喉頭マッサージ:エビデンスレベルⅣ
フィードバック法:Ⅱ~Ⅴ

声帯低内転障害に対する音声治療技法

プッシング法:エビデンスレベルⅣ
フィードバック法:エビデンスレベルⅡ~Ⅴ

痙性ディサースリアと一側性上位運動ニューロン性(UUMN)ディサースリア

痙性ディサースリアと一側性上位運動ニューロン性(UUMN)ディサースリア


従来、皮質延髄路の障害に起因するディサースリアは痙性ディサースリアとタイプ分類され、によって発現するとされてきました。

これに対して、1980年代に入り、皮質延髄路の一側性損傷でもディサースリアが発現するという見解が提出されるようになり、1990年代になると音声言語病理学的に国際的な

見解の一致が得られるようになったと言われています。

現在は、こうした皮質延髄路の一側性損傷によって発現するタイプを一側性上位運動ニューロン性(unilateral upper motor neuron;UUMN)ディサースリアと分類されています。

UUMNディサースリアの特徴

UUMNディサースリアは、発声発語器官のなかで顔面下部と舌の一側に中枢性麻痺が起こり、主に構音の歪みとプロソディーの異常が起こるといわれています。

UUMNディサースリアのリハビリテーション

UUMNディサースリアに対するリハビリテーションとしては、CIセラピーやリズミック・キューイング法が有効との報告があります。

日本版modified Rankin Scale (mRS) 判定基準書

日本版modified Rankin Scale (mRS) 判定基準書


modified Rankin Scale

  1. まったく症候がない
  2. 症候はあっても明らかな障害はない: 日常の勤めや活動は行える
  3. 軽度の障害: 発症以前の活動がすべて行えるわけではないが、自分の身の 回りのことは介助なしに行える
  4. 中等度の障害: 何らかの介助を必要とするが、歩行は介助なしに行える
  5. 中等度から重度の障害: 歩行や身体的要求には介助が必要である
  6. 重度の障害: 寝たきり、失禁状態、常に介護と見守りを必要とする
  7. 死亡

食事・栄養 (N)

  1. 症候なし。
  2. 時にむせる、食事動作がぎこちないなどの症候があるが、社会生活・日常生活に支障ない。
  3. 食物形態の工夫や、食事時の道具の工夫を必要とする。
  4. 食事・栄養摂取に何らかの介助を要する。
  5. 補助的な非経口的栄養摂取(経管栄養、中心静脈栄養など)を必要とする。
  6. 全面的に非経口的栄養摂取に依存している。

呼吸 (R)

  1. 症候なし。
  2. 肺活量の低下などの所見はあるが、社会生活・日常生活に支障ない。
  3. 呼吸障害のために軽度の息切れなどの症状がある。
  4. 呼吸症状が睡眠の妨げになる、あるいは着替えなどの日常生活動作で息切れが生じる。
  5. 喀痰の吸引あるいは間欠的な換気補助装置使用が必要。
  6. 気管切開あるいは継続的な換気補助装置使用が必要。

30ml水飲みテスト

30ml水飲みテスト


手技

常温の水30mlを注いだ薬杯を、座位のじょうたいにある患者の健手に渡し、”この水をいつものように飲んでください”という。
水を飲み終えるまでの時間を計測、プロフィール、エピソードを観察し、評価する。

プロフィール

1.1回でむせることなく飲むことができる
2.2回以上に分けるが、むせることなく飲むことができる
3.1回で飲むことができるが、むせることがある。
4.2回以上に分けて飲むにもかかわらず、むせることがある
5.むせることがしばしばで、全量飲むことが困難である

誤嚥の病態分類

誤嚥の病態分類


食塊が気道の入口を通過する咽頭期を基準にして、誤嚥が起こる時期を咽頭期前、咽頭期、咽頭期後に分けて考えます。

咽頭期前の誤嚥


捕食・咀嚼期、および口腔期で食塊を口腔に保持できないために、食塊を咽頭に送り込む動作をしないまま食塊が咽頭に流入し(咽頭流入)そのまま喉頭(喉頭流入)から気管に誤嚥する型をいいます。
咽頭流入が起こった時に咽頭期反射が惹起されない、あるいは惹起されても食塊の流入の方が早い場合に、気道に食塊が侵入することになります。

咽頭期の誤嚥


随意的に食塊を咽頭に送り込んでも、咽頭期の反射が弱い、惹起されない、あるいは惹起されても食塊の流入の方が早い場合や喉頭閉鎖が不完全な場合に誤嚥する型をいいます。

咽頭期後の誤嚥


咽頭期が終了した後に、喉頭蓋谷や梨状窩などに残留した食塊(咽頭残留)が気管に流入する型をいいます。

混合型誤嚥


上記3つの型の誤嚥が混在する場合をいいます。多くの場合、混合型誤嚥を呈しますが、どの誤嚥の型がおもな障害になっているのかを診断することが大切です。

嚥下運動不全型誤嚥


咽頭期の反射がほとんど起こらず、重力と弱い舌運動によって食塊が少しずつ咽頭に流入しそのまま気道に侵入して誤嚥する型をいいます。多くの場合、喉頭機能を保存した治療は無効です。

誤嚥の型を診断するには、嚥下内視鏡検査と嚥下造影検査を行い評価します。

嚥下圧検査

嚥下圧検査


嚥下時に各部位に生じる圧を測定する検査です。
経鼻的に圧プローベを挿入し、中咽頭、下咽頭、食道入口部、食
道内といった部位の嚥下時の圧を直接測定します。

プローベは径3~5mm程度で、数個所の圧センサーを有するものを使用します。
測定方法としてはプローベを一定速度にて引き抜きながら圧変化をグラフ化する方法(引き抜き法)や、プローベを固定した状態で測定を行い、その後0.5~1.0cmずつ引き抜き、固定した位置で繰り返し測定する方法(station pull-through法)が知られています。


一般には下咽頭部にて100~120mmHg程度とされています。また、最近では多チャンネルを有したマノメトリーを用いることにより、さらに詳細に嚥下圧を測定する方法が報告されてきています。

食道期 嚥下

食道期 嚥下


食塊が食道入口部を通過してから胃に送られるまでの期間を食道期と言います。

ここでは、嚥下反射が起こることで輪状咽頭筋が弛緩し、食塊が食道入口部を通過します。

食道入口部を通過した食塊は、食道の蠕動運動によって胃へ送られます。

胃の噴門部を食塊が通過する直前に食道下部括約筋が弛緩し、食塊が胃の中に入ると、逆流を防ぐために再度、収縮します。

蠕動運動は食塊が、食道壁の感覚神経(迷走神経)を刺激することで、反射的に誘発され、運動神経(迷走神経)を介し行われます。

咽頭期 嚥下

咽頭期 嚥下


喉頭蓋谷で形成された食塊が下方へと移動を始めた時点から、食道入口部に到達するまでの咽頭腔を通過する時期を指します。
この時期は、意識的に開始したり中止したりすることができない反射です。
ここでは、下顎と舌骨とを連結する舌骨上筋群と、舌骨と喉頭とを連結する甲状舌骨筋がほぼ同時に収縮することで、舌骨挙上
と喉頭挙上が起こります。
そして、喉頭が挙上すると、その上端にある喉頭蓋は尖端が下垂します。

喉頭蓋の動きに合わせるかのように、咽頭を包んでいる上・中・下咽頭筋の不随意収縮に伴い、食塊が食道入口部へ送り込まれます。

この時期は幾つかの誤嚥防止機構が働きます。

喉頭蓋の尖端が下垂(喉頭蓋の反転)することは、喉頭口を塞ぐことで誤嚥を防ぎます。
披裂は挙上することで喉頭蓋に密着し誤嚥を防ぎます。
声帯と前庭ヒダは、内転運動を行うことで声門を閉じ誤嚥を防ぎます。
咳反射も誤嚥を防ぐ重要な機能です。

嚥下反射では、主に迷走神経の枝である上喉頭神経からの求心性の刺激が、延髄の孤束核に送られ、さらに外側網様体内側部に存在するとされる嚥下中枢へ伝えられます。

その後、刺激は嚥下中枢から三叉神経運動核、顔面神経核、疑核、迷走神経背側核、舌下神経核などの脳神経核を経て、顔面神経、三叉神経、舌咽神経、迷走神経、
舌下神経を介して舌骨上筋群、甲状舌骨筋、咽頭筋、喉頭の筋などに伝わります。

口腔期 嚥下

口腔期 嚥下


口腔内から咽頭腔へ加工処理(食塊形成)された食物が喉頭蓋谷へ送り込まれる非随意的な運動の時期です。

ここでは、閉口し、舌尖が硬口蓋に密着し、舌筋の後方への収縮に伴い、食物は喉頭蓋谷へ送り込まれます。

そして、同時に軟口蓋が挙上して鼻咽腔を閉鎖します。

この時期には、顔面神経(閉口)、三叉神経(軟口蓋挙上)、舌咽神経(軟口蓋挙上,舌根部の感覚)、迷走神経(軟口蓋挙上)、舌下神経(舌尖の硬口蓋への密着)が関与します。

時に高次脳機能障害(嚥下失行)でも障害されます。

口腔準備期 嚥下

口腔準備期 嚥下


食物を口の中に取り込むことから始まり、嚥下運動が始まる直前まで随意的な運動の時期のことをいいます。

ここでは、まず、開口、舌による食物の引き込み、閉口の動作(捕食)があります。

その後、食物を飲み込みやすくするための処理(咀嚼、舌によるこね回し、一時的
な口腔前庭への貯蓄)が行われます。

脳神経の顔面神経(捕食、味覚、
唾液分泌)、三叉神経(捕食、咀嚼、口腔内感覚)、舌咽神経(味覚、
唾液分泌)、舌下神経(捕食、咀嚼)が関与するだけでなく、律動的な運動を行う上で重要となるCentral pattern generatorや歯牙
が重要な働きをします。

また随意・半随意的に行われるため意識状態や認知機能が影響を与えます。

先行期 嚥下

先行期 嚥下


食物を口に運ぶまでの時期のことをいいます。

先行期では、食物の嗜好、その日の気分、栄養への関心、食事場面のムードが影響し、一回にどのくらいの量を口に運ぶかを無意識に計画します。

そして手指、上肢、スプーン・箸などの道具を用いて食物を口腔内へ運びます。

主に意識状態、認知機能、視覚、嗅覚などの脳機能、上肢機能が関与しています。

嚥下時の喉頭挙上に作用する筋と神経

嚥下時の喉頭挙上に作用する筋と神経


喉頭は嚥下時に約1椎体分挙上すると言われています。

甲状軟骨の上切痕に人差し指を置き、軽く下方に押しつけるようにして空嚥下を行わせると挙上の程度がよくわかります。

舌骨上筋の多くは下顎を固定した状態では、喉頭を挙上するように作用します。

したがって、オトガイ舌骨筋,顎二腹筋をはじめとする多くの舌骨上筋が嚥下時の喉頭挙上に関与しています。

特にオトガイ舌骨筋は強力で、舌骨体をオトガイに向けて前方に引き出しています。

その結果、喉頭は椎体に対して前方に移動し、二次的に食道入口部を開大する作用を持ちます。

また、舌骨下筋では、甲状舌骨筋は、喉頭全体を舌骨方向に垂直方向に挙上させ、喉頭前庭を閉鎖するのに重要な役割を果たしています。

この筋を支配する神経は頸神経ワナより分枝しますが、起始核は主に舌下神経核に存在しています。

嚥下障害と副神経

嚥下障害と副神経


副神経は純運動神経です。

胸鎖乳突筋と僧帽筋の上部を支配しています。

これらの筋は嚥下運動には直接関与はしませんが、他の下位脳神経とともに、この神経の麻痺があるか否かにより、障害の部位診断や原因診断において参考となります。

嚥下障害と舌咽・迷走神経

嚥下障害と舌咽・迷走神経


舌咽神経及び迷走神経は、ひとまとめに評価されることが多く、神経診断学においてもいずれの神経障害かはほとんど区別されていません。

一側の喉頭運動麻痺は気息性嗄声を呈しますが、声帯の運動を観察すれば明らかです。
「あー」発声時の軟口蓋の挙上の具合で軟口蓋麻痺の有無を判断し、一側性か両側性かを判断します。

一側性の咽頭筋麻痺では、発声時に咽頭後壁が健側に移動するカーテン徴候が見られます。

また一側梨状陥凹の唾液の貯留は、同側の咽頭筋麻痺を示唆する所見ですが、嚥下のX線透視により咽頭壁の収縮の様子を観察する必要があります。

嚥下障害と舌下神経麻痺

嚥下障害と舌下神経麻痺


舌背に食塊をとりまとめたり咽頭腔に送り込んだりする運動は、舌下神経により制御されています。

舌の萎縮、線維束攣縮、挺舌時の舌の変位などは舌下神経麻痺の徴候です。

また、舌骨下筋群を支配しており、一側の麻痺が生じた場合は、喉頭が嚥下時にななめに挙上することとなりますが、臨床的にはあまり意味がありません。

嚥下障害と三叉神経麻痺

嚥下障害と三叉神経麻痺


三叉神経は口腔内の知覚および顎運動に関与しています。
一側の単独麻痺では嚥下障害は顕著に現れないので、注意が必要です。
また、三叉神経運動枝は顎運動を司ります。舌骨上筋郡である、顎二腹筋前腹と顎舌骨筋も三叉神経の支配です。
嚥下時には、舌骨の挙上に関与していますが、単独麻痺では症状としてはとらえにくいと言われています。

分割嚥下と反復嚥下

分割嚥下と反復嚥下


健常者では、一回で嚥下可能な10ml程度の食塊を、必ず数回に分けて嚥下する嚥下障害患者がしばしばいます。

このような嚥下を分割嚥下(piecemeal swallowing)と言います。

病的意義は確定していません。

多くの嚥下障害の患者では一回の嚥下でクリアーできる嚥下量を学習しており、舌根部で咽頭への送り込み量を調節しているために、このような現象がみられるものと考えられています。

類似した現象で、嚥下物が一回でクリアーされずに咽頭腔に遺残したために引き続き咽頭期嚥下が惹起され嚥下を繰り返す反復嚥下(repetitive swallowing)も咽頭クリアランスの低下を示す所見です。

不顕性誤嚥を検出する検査

不顕性誤嚥を検出する検査


2 step法

仰臥位にて経鼻的に細管を挿入し、最初に0.4ml、次に2.0mlの蒸留水を注入し、注入後3秒以内の嚥下反射の有無について観察し、そこから不顕性誤嚥に伴う嚥下性肺炎について推測する方法です。

ESSET

仰臥位にて着色水を0.1ml/sec程度の速度にて注入し、内視鏡にて嚥下反射惹起について観察するものであり、その時の総注入量を測定する方法です。
総注入量が1cc以上になると不顕性誤嚥に伴う嚥下性肺炎を引き起こしやすいとされています。

咳テスト

クエン酸や酒石酸を用いて、それらを吸入し、咳の頻度を見る検査です。
咳反射の減弱は肺炎の頻度と関連があるとされています。
不顕性誤嚥の評価に関しては正確に評価することは困難ですが、肺炎の既往などの病歴や、様々な嚥下機能評価を用いてその存在を推定することとなります。

https://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/enge.pdfより参照

口腔ケアの際の開口法と開口保持方法

口腔ケアの際の開口法と開口保持方法


口腔ケアの際に開口していただけない患者様、利用者様がいます。

口腔ケアを行わせて頂く場合、開口して頂けず、苦労することがしばしばあります。

そのような場合、まずは、歯牙欠損部がないか確認し、口腔ケア用具が挿入できる場合は、そこから汚れを除去するようにします。難しい場合は下記の手技を用います。

開口手技

・下顎押し下げ法

左右の下顎口腔前庭に指を入れ、ゆっくりと開口方向に力を入れ ます。過剰な力では痛みが出るので注意しましょう。
http://www.peg.or.jp/lecture/rehabilitation/image/03_fig03.jpgより

・K-point手技

おもに嚥下反射を誘発するために用いますが、開口を促すことができるため、開口困難な場合に利用することができます。効果がある場合は、軽く触れるだけで開口してくれます。.強く圧迫すると粘膜を傷つける原因となるため注意しましょう。

K-point刺激の方法こちら↓

動画はこちら↓

開口保持

・バイトブロック

バイトブロックは歯や粘膜を傷つけやすい道具です。ほかの手技ではどうしようもない場合に、最終手段として使用しましょう。
専門の開口器がない場合はガーゼやゴム管を用いて自作してもよいでしょう。ただし、自作の場合は、バイトブロックが外れて飲み込んでしまった等のようなことがないように、細心の注意を払って使用してください。
使用時は、かならず動揺のない歯でかませましょう。
バイトブロックの挿入・撤去は、かならず開口させてから行い、無理に引っ張ったりねじったりしないようにしましょう。

口腔ケアの定義と目的

口腔ケアの定義と目的


口腔ケアの定義

口腔ケアという用語には、広義の意味と狭義の意味とがあります。広義には、口腔のもっているあらゆる働き(咀嚼、嚥下、発音、呼吸など)を介護することを意味します。狭義では、口腔衛生の維持・向上を主眼に置く一連の口腔清掃を中心とした口腔ケアを指します。介護予防における口腔ケアにおいては、リハビリテーションの観点からも、口腔の機能を増進、賦活化することを目的とした、口腔機能の向上に重点が置かれることになります。

口腔ケアの目的

口腔ケアの目的は以下の通りです。

  1. う蝕や歯周病を予防する
  2. 認知機能の低下予防を図る
  3. 口臭を取り除き、不快感をなくす
  4. 誤嚥性肺炎を予防する
  5. 全身的な感染症を予防する
  6. 気分を爽快にし、食欲を増進する
  7. 口唇、舌、頬、咽頭の刺激やマッサージによって、摂食・嚥下訓練の一助となる
  8. 発音、構音に関与する口唇、舌、軟口蓋のリハビリテーションとなる
  9. 唾液の分泌を促進して自浄作用を促し、口腔の乾燥を防ぐ
  10. 味覚を保つ
  11. 健康的な口元は、対人関係をスムーズにする
  12. 日常生活にメリハリをつける
  13. 敏感な口腔を刺激し、全身の緊張をほぐす
  14. 歯磨きによる上肢、手指のリハビリテーションを促す

このように数多くの目的があり、口腔ケアが重要な事に気付かされます。
皆さん、口腔ケアの正しい知識を学び、患者様、利用者様に貢献しましょう!

ボルカース(Borchers)法

ボルカース(Borchers)法とは

ボルカース(Borchers)法は、顎関節の前方脱臼に対して行われる整復手技です。

方法

術者が患者の後頭部側に立ち、下顎を母指以外の4本の指で抱えるように固定します。
その状態で、口腔内に両母指を入れ、下顎臼歯部を押さえっっ下顎を上前方に回転させながら手前に引きます。

※この記事は医療従事者向けの記事です。本ウェブサイトに掲載する情報には注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。本ウェブサイトの使用ならびに閲覧によって生じたいかなる損害にも責任を負いかねます。

外れたアゴを徒手的に治すヒポクラテス(HipPocrates)法

外れたアゴを徒手的に治すヒポクラテス(Hippocrates)法


はじめに

この記事は医療者向けです。
なお、万が一この手技を行った際に負ってしまった損傷は当サイトでは責任は持ちません。
この主義はアゴの前方脱臼(※1)に有効と思われます。

ヒポクラテス(Hippocrates)法とは

ヒポクラテス(Hippocrates)法とは術者が患者の前に立って、母指を口腔内に入れて行う整復法で、従来から教科書に掲載されている方法です。

手技

  1. まず患者を椅子などに腰かけさせたうえで頭部を固定します。
  2. 頭まで背もたれのある椅子を用いたり、または丸椅子を壁際に置き、壁に後頭部を押し当てる姿勢で座ってもらいます。(※2)
  3. 術者は両方の母指にガーゼを巻いて患者の口の中に入れ、下顎臼歯咬合面に母指の腹側を置きます。
  4. 両手の他の4本の指は口腔外から下顎を支えます。
  5. この状態で、まず臼歯を下方へ押し下げます。
  6. ついで後方(患者の背側)へ持っていきます。
  7. 下顎頭が下顎窩に引き込まれるのを感じたら前歯部を上方に回転させ、下顎全体を手前に引きます。
  8. 整復されれぽ軽いクリック感とともに、患者は口を閉じることができるようになります。

(※1)前方脱臼
最もよく遭遇するタイプです。よくある発症パターンは、「あくびをしたり、口を大きく開けてものを食べようとしたり、大笑いをした、抜歯を受けた」などです。
大きく口を開けた際に下顎頭が関節結節を越えて前方に転位し、さらに外側靱帯、咬筋、外 側翼突筋といった閉口筋が収縮することにより、その牽引力で脱臼した位置で下顎頭が固定されてしまい、元の位置に戻れなくなっている状態です。
(※2)1.2.は、いずれも頭が後ろに逃げていくのを避けるためです。義歯がある場合には入れてもらうと良いです。
(その他)ヒポクラテス(Hippocrates)法患者を座らせずに、臥位にする方法もあります。臥位にすることで患者はよりリラックスできます。デメリットは術者が力を入れにくいことです。

連続座位時間

連続座位時間

NPAUP(米国褥瘡諮問委員会)のガイドラインでは、自力で減圧動作が可能な場合は 、15 分おきに動かすことを推奨しています。
また、自力でできない場合は連続座位を 1 時間以内とすることを推奨しています。
小さな体幹の前傾や 10 〜 15 秒の身体持ち上げでは圧迫部の皮膚血流量の改善の「エビデンスはない」といわれています。
プッシュアップではこの時間を維持することが難しいため、前傾位などを中心に指導するようにします。

骨盤後傾位での座位(仙骨座り)では、尾骨部に非常に高い圧力がかかっていますが、手を前に載せたり、前傾位をとることでその圧力を坐骨部に移動させることが可能です。前傾位をとってもらう場合は、股関節の可動域制限などを確認する必要があります。

他に、ティルト・リクライニング型の車椅子を使用した減圧方法がありますが、患者様(利用者様)がしっかりとバックサポートに寄りかかっていないと適切に圧が分散されずに、かえって尾骨部に圧がかかってしまうことがあり注意が必要です。
身体を後方に傾けた際に身体を前に起こす反応が出現する場合は注意する必要があります。

車いす乗車時に姿勢を見るポイントと車いす(いす)上で殿部への圧力を低下させる方法

車いす乗車時に姿勢を見るポイント

1 後方から見て、バックサポートがどの高さにきているかを見る。
2 真上から見て、膝の位置の左右差を比べる。
3 真正面から見て、左右の肩の高さを比べる。
4 真横から見て、脊柱に対する頭の位置と顎の上がり具合を見る。

車いす(いす)上で殿部への圧力を低下させる方法

1 褥瘡予防用クッションを使用する。
2 身体寸法にあった車椅子(椅子)を使用する。
3 背角・座角をつけて座る。
4 前方のテーブルに手を置く、または寄りかかる。

標準失語症検査(SLTA)

標準失語症検査(SLTA)とは


標準失語症検査(Standard Language Test of Aphasia :SLTA)は、日本で最もよく用いられている総合的な失語症検査です。
一般的には「SLTA」と呼ばれることが多いです。
開発者は、失語症研究会(現在は日本高次脳機能障害学会)です。
基礎的な研究は1965年に開始され、最終試案は失語症者200人・非失語症者150人のデータをもとに標準化されて、1975年に完成版が出版されました。

標準失語症検査(SLTA)の概要


目的

失語症状の詳細な把握と、失語症に対するリハビリテーション計画立案の指針を得ることを目的としています。

構成

「聴く」、「話す」、「読む」、「書く」、「計算」の5側面、計26項目の下位検査で構成されています。

所要時間

所要時間は失語症のタイプや重症度によりますが、60~120分程度です。場合によっては120分以上かかることもあります。
一定数の誤答が連続した場合や一定の得点に達していない場合には中止基準を設けて、被検者の心理的負担に配慮しています。

特徴

  • 6段階評価:大部分の検査項目において反応時間やヒント後の反応に基づく6段階評価が採用されており、症状を詳細に把握することができます。わずかな変化を知ることができ、この情報をリハビリテーションに生かすことができます。正誤2段階の評価に換算して大まかな成績を表示することもできます。
  • 普及度の高さ:日本で最も一般的な失語症検査であり、多くの臨床家が本検査に精通しています。転院時にも他施設との情報共有がしやすく、本検査の反復使用によって経時的変化がわかります。
  • 刺激の統一:SLTAでは、できる限り同一の単語や文を刺激に用いています。被検者内でモダリティ間(「命令に従う」課題を口頭で聴覚呈示する場合と文字で視覚呈示する場合等)、漢字・仮名間(同じ「読解」課題で単語を漢字表記する場合と仮名表記の場合等)の成績比較をすることができます。
  • 「話す」側面の充実:動詞の表出をみる「動作説明」や4コマまんがを用いた「まんがの説明」等独創的な検査項目があります。

記録用紙


下段は項目ごとの6段階評価の結果の記入欄、上段は正答率(完全正答の段階6および不完全正答の段階5)を折れ線グラフによるプロフィールで示す形式になっています。
図中の実線は非失語症者150人の平均を、破線は一1標準偏差を示しています。
プロフィールは失語症状を視覚的に表現できるので理解しやすいです。ただし、本検査は失語症のタイプ分類を目的とはしていないので、プロフィールから失語症のタイプを読みとるには熟練を要します。
また、各下位検査の賜度は必ずしも等価ではありませんので、被検者間での成績比較は可能ですが、被検者内で項目間での成績比較には注意が必要となります。
下記サイトから「標準失語症検査(SLTA)」のプロフィール部分を電子的に表記するためのソフトウエアを無料でダウンロードすることができます。

信頼性・妥当性


信頼性の確認には再検査法と内部一貫法が用いられています。
再検査信頼性は失語症者45名に対し10日間隔で2回検査を行い、2段階評価にて検討しています。相関係数は一部を除き0.70~0.96でした。
内部一貫性は検査を1回だけ施行した200人のデータを用いてCronbachのα一係数を計算していて、α係数は0.79~0.97でした。

カプグラ症候群

カプグラ症候群とは


カプグラ症候群とは、よく知っている人がそっくり別人にすり替わっているという変身の体験のことを言います。

患者さん自身は、外見上、本物とそっくりであるということは認めており(微妙な違いが指摘されることがあるにせよ)、しかし中身は偽物である替え玉だと信じています。

対象としてはよく知っている身近な人である場合が多いですが、自分以外の人物に対する誤認に加えて自分自身に対する誤認を示す場合もあります。

また、人物以外に動物や無生物が対象となる場合があります。

これは、1923年Capgrasらは、人物のすり替えと誤認を主題とした論文を発表しており、今日でいえば、妄想型の統合失調症の経過中に人物誤認を呈した症例です。

ただし、脳器質疾患においてもカプグラ症候群は出現し、疾患は多岐にわたり、レビー小体型認知症、アルツハイマー型認知症、頭部外傷、てんかん、脳血管障害、脳腫瘍、脳炎、AIDS、偽副甲状腺機能低下症、ビタミンB12欠乏症などで報告されています。

ただ、統合失調症に出現するカプグラ症候群と脳器質疾患に出現するカプグラ症候群では随伴する症状や背景に推測されるメカニズムが異なると言われています。

レビー小体型認知症 幻視 妄想

レビー小体型認知症の幻視・妄想


レビー小体型認知症の幻視(幻覚)

レビー小体型認知症の幻視(実在しないものがみえる)は中核症状のひとつです。

人物、小動物、虫、火、水、物体などが幻視の対象となります。

また、錯視(目の錯覚 例:机の埃が虫に見えてしまう)や、変形視(物の大きさが変わったり歪んだりする)がみられることがあります。

これらの幻覚症状は、意識清明時に反復して現れ、追想可能で具体的な内容が語られることが多いといわれています。

また、レビー小体型認知症の幻覚には幻聴や体感幻覚が目立つ場合があります。

レビー小体型認知症の妄想

レビー小体型認知症の妄想に関しては、誤認妄想(自分の息子を夫と、また娘を姉と誤認するような人物の誤認症状)はレビー小体型認知症に特異度が高いといわれています。
嫉妬妄想(配偶者ないし婚姻関係がない異性の同居人の不貞を疑う等)も、アルツハイマー型認知症よりもレビー小体型認知症に多いと報告されている。
ただし頻度的には被害妄想(盗まれた、殺される等)が最も多いことが報告されています。

レビー小体型認知症の初期の精神症状

レビー小体型認知症の初期の精神症状


レビー小体型認知症の特徴的な臨床症状が出揃った段階では診断はそれほどむずかしくはないと言われています。

精神疾患との鑑別が難しくなるのは、認知機能障害が軽度の初期の段階です。

レビー小体型認知症の初期症状は、レビー小体型認知症は精神病症状で始まることが少なくありません。

レビー小体型認知症には幻覚、妄想、焦燥、うつ、不安などさまざまな精神症状が認められ、中等度以降でこれらの症状の出現頻度は増加しますが、うつ、意欲低下、不安、易怒性などの症状は初期からすでに半数以上の例にみられ、また精神病症状や睡眠障害も半数近くの例にみられるといいます。

抑うつ、不安、心気症状で発症し、うつ病、心気症身体表現性障害と診断されたのちに、認知機能障害、動作緩慢、易転倒性などが加わりレビー小体型認知症が疑われるようになるようなことがあるようです。

このように、最初からレビー小体型認知症と診断されたものは少ないとの報告があり、レビー小体型認知症は初期から多彩な精神症状がみられ、とくにうつ病との鑑別困難な場合が多いこと言われています。

下肢の関節可動域(ROM)

下肢の関節可動域(ROM)


股の関節可動域

屈曲:125°
伸展:15°

外転:45°
内転:20°

外旋:45°
内旋:45°


膝の関節可動域

屈曲:130°
伸展:0°


足の関節可動域

屈曲(底屈):45°
伸展(背屈):20°


足部の関節可動域

外がえし(外反):20°
内がえし(内反):30°

外転:10°
内転:20°
 

母指(趾)の関節可動域

屈曲(MTP):35°
伸展(MTP):60°

屈曲(IP):60°
伸展(IP):0°


足指の関節可動域

屈曲(MTP):35°
伸展(MTP):40°

屈曲(PIP):35°
伸展(PIP):0°

屈曲(DIP):50°
伸展(DIP):0°

上肢の関節可動域はこちら↓
http://www.st-medica.com/2016/05/rom-jousi.html

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrm1964/32/4/32_4_207/_pdf参照

FIMの評価・採点ポイントまとめ

FIMの評価・採点ポイントのまとめ


当サイトのFIMの記事をまとめています。
FIMの採点の一助になればと思います。

採点の基本概念


FIM運動項目

FIM認知項目

FIM 記憶の採点ポイント

FIM 記憶の採点ポイント


概念


日常生活を行う上で必要になる内容を覚えていられるか、言語的、視覚的情報を記憶し、再生する能力を評価します。
課題の遂行能力だけでなく学習障害も含まれます。

FIMでいう記憶とは


日常生活をするために必要なこと(日課やよく会う人の認識、人からの依頼)を覚えている
過去の出来事(幼少期の記憶)などの長期記憶や記銘力テスト(数字の順唱)の結果ではありません。
急な予定の変更や直近の約束などは含まれません。

FIMの記憶の内容


1.普段の日課


  • 訓練の場所・時間
  • 食事の場所・時間
  • 起床・就寝時間 など

2.よく会う人の認識


  • 家族
  • 担当の医師・療法士・看護師
  • 同室患者 など

3.人からの依頼の実行


  • 訓練終了後、療法士から検査室に行くように指示された
  • 看護師から、直ちにレントゲン受付に行くように指示された
  • 食事後に薬を手渡しされ、飲むように指示された
  • 同室患者から看護師を読んでほしいと依頼された  など

記憶の採点法


普段の日課、よく会う人の認識、人からの依頼をよく覚えていることが可能かどうかで採点します。

可能 → 7点 6点(メモリーノート、タイマーなど道具が必要)

不可能 → 5~1点:覚えていられない程度(3項目の割合)で採点

失語症の場合


昨日の訓練の内容を覚えているか、見せた3つのことを示せるか、続けて3つのジェスチャーをまねできるか(3段階の無関係な命令)で評価します。
※感覚失語のために命令が通らない場合、普段の日課とよく会う人の2項目で採点します。

FIM採点ポイントまとめはこちら↓
http://www.st-medica.com/2016/05/fim-saiten-matome.html

FIMの採点の基本概念はこちら↓
http://www.st-medica.com/2016/04/fim.html

上肢の関節可動域(ROM)

上肢の関節可動域(ROM)


肩甲帯の関節可動域

屈曲:20°
伸展:20°

挙上:20°
引き下げ(下制):10°



肩(肩甲帯の動きを含む)の関節可動域

屈曲(前方挙上):180°
伸展(後方挙上):50°
外転(側方挙上):180°
内転:0°
外旋:60°
内旋:80°
水平屈曲:135°
水平伸展:30°


肘の関節可動域

屈曲:145°
伸展:5°



前腕の関節可動域

回内:90°
回外:90°



手の関節可動域

屈曲(掌屈):90°
伸展(背屈):70°

橈屈:25°
尺屈:55°


下肢の関節可動域はこちら↓
http://www.st-medica.com/2016/05/kasi-rom.html

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrm1964/32/4/32_4_207/_pdf参照

FIM 問題解決の採点ポイント

FIM 問題解決の採点ポイント


概念


生活に即した問題にどう対応するか、日常生活上の問題解決に関連した技能を評価します。
金銭的・社会的・個人的な出来事に関して、合理的かつ安全にタイミングよく決断するか、問題を解決するために行動を開始し、継続し、自分で修正していく能力を評価します。
勉強や専門知識の必要な問題解決ではなく、日常生活に即した問題にどう対応しているか評価します。
必ずしも自分で行う必要はなく頭で解決できれば(人に頼むことで解決できれば)問題ないと評価します。

日常生活に即した問題


  • 自分の生活上で出会う問題
  • 病棟内での転倒や、誤嚥の予防などに配慮する能力
  • 金銭や薬を管理する能力
  • 複雑な問題、簡単な問題に分けられる


複雑な問題


  • 退院後の生活に関する話題(福祉制度利用、家屋改造など)
  • 金銭管理(入院会計、売店利用など)
  • 薬の管理
  • 退陣トラブルなど


簡単な問題


  • 移乗の際、転倒の危険があることがわかる(介助者を呼ぶ、ナースコールするなど)
  • 必要時にトイレの介助を頼む
  • 一人で歩くと転倒することがわかる
  • ゆっくり食べないと誤嚥することがわかる
  • ベッドは排泄(嘔吐)する場でないことがわかる
  • お茶をこぼした時に処理を頼む
  • 物を書きたいときにペンを要求する
  • 必要時に自助具の装着を頼む
  • 歯磨きの仕方がわかる など


問題解決の採点法


複雑な問題の解決は可能か

  • 可能→7点or6点(時間がかかる、慣れない環境で多少の困難を生じるとき)
  • 不可能→5~1点:簡単な問題の解決能力(頻度)で採点します。


問題解決の採点ポイント


  • 複雑な問題の解決に手助けが必要か
  • 簡単な問題の解決に手助けが必要か
  • 解決できた頻度で採点します。


問題解決での難問


◆複雑な問題の解決が可能で、簡単な問題の解決ができない
例)金銭管理可能、転倒の危険防止困難 
→知的機能は保たれているが失認を認める症例などにみられる→5点以下(簡単な問題を解決できた頻度で採点する)

FIM採点ポイントまとめはこちら↓
http://www.st-medica.com/2016/05/fim-saiten-matome.html

FIMの採点の基本概念はこちら↓
http://www.st-medica.com/2016/04/fim.html

FIM 社会的交流の採点ポイント

FIM 社会的交流の採点ポイント


概念

相手に迷惑をかけているか、自分の言動が人にどう思われているかわかることで、治療の場、あるいは社会生活の場で他人との折り合い、集団に参加していく技能を採点します。
自分の要求と共に他人の要求をどう処理するかを意味しています。

「相手にどの程度迷惑をかけているかがわかる」
「相手にどの程度不快感を与えているかがわかる」
「自分の言動が相手に与える影響を知ること」

社会的交流における「迷惑」11項目


  • 訓練を拒む
  • 車いすで暴走する
  • 挨拶をしない、無視する
  • 過剰な泣き、笑い
  • 癇癪(かんしゃく)
  • 些細なことで怒る
  • 暴力をふるう
  • ののしる、悪態をつく
  • 過度に引きこもる
  • 集団ゲームに参加しない
  • 周囲への迷惑に気づかず話しかける


社会的交流の採点法

スタッフや他患、家族と適切にかかわっているか

可能=7点or6点(投薬により可能、「慣れ」が必要であれば)

不可能=5~1点:迷惑を掛けたり、不快感を与える適切にかかわる頻度で採点します。

社会的交流の採点point

他患(他者)との交流は積極的でない(一人でいることを好む)が、集団に誘えば拒むことなく適切な行動をとる⇒7点(いわゆる内気な性格)
寝たきりで、他者との交流が難しい場合は1点とします。

FIM採点ポイントまとめはこちら↓
http://www.st-medica.com/2016/05/fim-saiten-matome.html

FIMの採点の基本概念はこちら↓
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FIM 理解・表出の採点ポイント

FIM 理解・表出の採点ポイント


概念


理解の概念


理解では相手の指示や会話が分かるかどうか、我々が患者に話しかける際、どのくらい手間がかかるかを評価します。相手が伝えようとしていることの意味を正しく捉える能力の評価し、その先の判断力を問いません。

表出の概念


表出では欲求や考えを患者が言葉またはジェスチャーで表せるか、我々が患者の言葉を聞き取るためにどのくらい努力するかを評価します。伝えたい内容を相手に分からせる能力を評価し、その意味・内容が状況とあっているかは問いません。

採点法

複雑・抽象的な内容の理解/表出は可能かどうか。

可能→7点or6点(時間がかかる、大声で話す、補聴器・筆談などの配慮が必要)

不可能→5~1点:基本的欲求の理解/表出の程度や手助けの頻度で採点

複雑・抽象的な内容

集団会話
テレビ・新聞の話題
ドラマの筋・冗談
宗教的な内容
金銭問題

基本的欲求(単純な会話)

食事に関すること
飲み物に関すること
排泄・清潔に関すること
睡眠に関すること

手助けの内容

理解:ゆっくり話す。繰り返す。強調する。ジェスチャーを交える。Yes-Noを用いる。内容を推測する。
表出:ゆっくり話させる。繰り返させる。強調させる。ジェスチャーを交える。Yes-Noを用いる。内容を推測する。

理解・表出の5点以下

基本的欲求(単純な会話)に関する話題で採点
結果的に理解/表出できた程度(割合)と手助け(聞き直し・繰り返し etc)が必要な頻度で採点
文章レベルか、単語レベルか、ジェスチャーで採点
    

理解・表出の2点

 単語レベルで可能
ジェスチャーにより理解
Yes-No(口頭、首ふり、指さし etc)で答えさせる配慮(手助け)が必要
※2点のKey Word:単語レベル・ジェスチャー・Yes-No

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http://www.st-medica.com/2016/05/fim-saiten-matome.html

FIMの採点の基本概念はこちら↓
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FIM 階段の採点ポイント

 階段の採点ポイント


概念


屋内の12~14段の階段を昇降すること。エレベーターの使用は考えない。


階段の評価ポイント


段数:「12~14段昇降できているか」「4~6段昇降できているか」


介助量


なぜ12~14段か:1フロアの移動に必要な段数のため。
なぜ4~6段か:屋内の段差を考えているため。


12~14段昇降している場合


7点:介助者不要 装具や杖、補装具無し、安全で時間もほどほど。
6点:介助者不要 装具や杖、補装具が必要、安全性不十分、時間かかる。
5点:介助者必要 監視・準備・指示・助言・促しのみ。
4点:介助者必要 監視・準備・指示・助言・促し等に加え、直接的な介助が必要、但し患者が3/4以上行う。
3点:介助者必要 監視・準備・指示・助言・促し等に加え、直接的な介助が必要、但し患者が3/4未満を行う。


4~6段昇降している場合


5点:4~6段自立 補装具の有無は問わない。
2点:要介助 1/4以上を患者が行う。
1点:要介助 1/4未満のみ患者が行う。

・1段の高さのちょっとした違いは気にしないようにします。
・エレベーターは階段とは別物、補助具とは考えないようにします。
・登りと下りの点が違う場合は低い方で評価します。
・他に難しい項目がないため、出来るADLも容認します。

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FIM 浴槽移乗の採点ポイント

FIM 浴槽移乗の採点ポイント


概念


浴槽に入り、そこから出る動作を評価します。
浴槽まで近づくことは含まれません。
浴槽のそばから浴槽をまたぎ、浴槽内に入り、日本式の浴槽であれば沈み込むこととその戻りを評価します。

採点基準


7点:時間もかからない
6点:手すりなどの補助具が必要 3倍以上の時間がかかる(遅いと感じる時間) 
5点:指示が必要 見守りが必要 
4点:軽く手を触れている程度 ふらつくので手を添える 椅子などを抑えている
3点:軽く体を引き上げる程度
2点:体を引き上げて回してあげる
1点:2人がかりで移乗する リフターが必要 車いすを使用していない
 

浴槽移乗の採点ポイント


介助者が
・足を片側跨がせて :4点
・両足を浴槽に入れて:3点

※シャワー浴だけの人はシャワーチェアへの移乗を評価します。

4点以下(浴槽への出入りに介助が必要)の場合の考え方


下記の4動作のうち何動作を行っているかで考えます。

  1. 浴槽に入る
  2. 浴槽に浸かる
  3. 浴槽から上がる
  4. 浴槽から出る


例:4動作中2動作を自分で行っている場合は50%移乗75%未満となり3点になります。

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FIM 移動(歩行・車いす)の採点ポイント

FIM 移動(歩行・車いす)の採点ポイント


概念


歩行、平地での車いすの使用を評価します。
歩行での退院を予測するならば、入院時評価も歩行で行うようにします。予測はしばしば外れるので、記録としては歩行・車いすとも残す事が望ましいです。
移乗がその場での動きを評価するのに対し、移動では離れたところへの動きを採点します。

歩行・車いすの評価要素


・距離 「50m」「15m」 移動しているか
・介助量
・車いす or 歩行

移動距離


なぜ50mか:社会生活を行う上で歩行する最低限の基準、1区画。この距離が歩ければ家から道まで歩けて車に乗って病院に行けるため。
なぜ15mか:家に帰って屋内で暮らせるであろう距離のため。

50m移動している場合


7点:介助者不要 装具や杖、車いす、補装具無し、安全で時間もほどほど。
6点:介助者不要 装具や杖、車いす、補装具が必要、安全性不十分、時間かかる。
5点:介助者必要 監視・準備・指示・助言・促しのみ。
4点:介助者必要 監視・準備・指示・助言・促し等に加え、直接的な介助が必要、但し患者が3/4以上行う。
3点:介助者必要 監視・準備・指示・助言・促し等に加え直接的な介助が必要、但し患者が3/4未満を行う。

50m移動していない場合


5点:15m自立 補装具の有無は問わない
2点:要介助 1/4以上を患者が行う
1点:要介助 1/4未満のみ患者が行う

車いすの介助量


4点:50mこげる。方向の微調整が必要、敷居を乗り越えるために介助が必要。
3点:50mこげる。曲がる度に介助が必要(まっすぐにしかこげない)
2点:15mこげる(50mこげない)。曲がるのに介助が必要。自立していれば5点。
1点:15mこげない。

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FIMの採点の基本概念はこちら↓
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FIM トイレ移乗の採点ポイント

FIM トイレ移乗の採点ポイント


概要


便器に移ること、便器から離れることの2点を採点します。

採点基準


7点:時間もかからない
6点:手すりなどの補助具が必要 3倍以上の時間がかかる(遅いと感じる時間) 
5点:指示が必要 見守りが必要 
4点:軽く手を触れている程度 ふらつくので手を添える 椅子などを抑えている
3点:軽く体を引き上げる程度
2点:体を引き上げて回してあげる
1点:2人がかりで移乗する リフターが必要 車いすを使用していない

トイレ移乗の採点ポイント

移って戻る対象が便器です。
手すりの有無に注意し備え付けでも使えば減点対象となります。
ポータブルトイレへの移乗も評価対象です。
ポータブルトイレは補助具のため自立でも6点となります。

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FIMの採点の基本概念はこちら↓
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FIM 移乗ベッド・椅子・車いすの採点ポイント

FIM 移乗ベッド・椅子・車いすの採点ポイント


採点基準


7点:時間もかからない

6点:手すりなどの補助具が必要 3倍以上の時間がかかる(遅いと感じる時間) 

5点:指示が必要 見守りが必要 

4点:軽く手を触れている程度 ふらつくので手を添える 椅子などを抑えている

3点:軽く体を引き上げる程度

2点:体を引き上げて回してあげる

1点:2人がかりで移乗する リフターが必要 車いすを使用していない

移乗は「往復」があるため、低いほうの点数をつけるようにします。
立ち上がり動作を含みます。
起き上がりも比重は少ないが評価対象となります。
乗り移れるように車イスの位置を整えるなどは評価動作ではなく、その前の準備となります。

ベッド・椅子・車いす移乗のポイント


安全への配慮を要す、装具が必要、滑り止めマットが必要ならば6点となります。
車イスの向きを変えたり、ブレーキを掛ける確認するなどの準備が必要、フットレストの上げ下げ、布団や毛布をどかす、安全ベルト等を外すなどが必要ならば5点となります。
椅子を抑えていてもらうなどの介助が必要ならば4点となります。

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FIM 排便管理の採点ポイント

FIM 排便管理の採点ポイント


排便の完全なコントロールおよび排便コントロールに必要な器具や薬剤の使用を採点します。
肛門括約筋を湯住めるべき時に緩めること。便を出したいときに出せる、出したくないときに出さないこと。

採点内容


「失敗」しないことと「介助量」を別々に採点し、低い点数を採用します。

 

排便の「失敗」とは


・衣服やシーツを濡らす、または汚すこと

「失敗」による採点基準


7点:失敗しない
5点:月1回未満
4点:週1回未満
3点:1日1回未満
2点:毎日

排便の「介助量」とは


座薬の挿入、浣腸、摘便、腹圧援助など、どの程度介助したかによって採点します。
(例:毎回摘便=1点)

座薬の採点基準


7点:座薬を使っていない)
  自分で座薬を使う場合
   7点:月2回以下の頻度
   6点:週1回程度
  座薬を挿入して貰う
   5点:週2回以下の頻度
   4点:確実または毎日  
  ☆座薬は4点までしか下がらない

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FIM 排尿管理の採点ポイント

FIM 排尿管理の採点ポイント


採点基準

排尿の完全なコントロールおよび排尿コントロールに必要な器具や薬剤の使用を採点します。

尿道括約筋を緩めるべき時に緩めること、つまり尿を出したいときに出せる、出したくないときに出さないこと

失敗しないことと、介助量を別々に採点し、低い方の点数を採用する。
※失敗:汚した物を取り替える負担
※介助:括約筋を緩めて排泄する手助け

排尿管理の失敗とは、尿が漏れてしまい、衣服や布団をぬらして世話がかかることで、失敗=失禁ではありません。失禁しても周囲にこぼさないで処理出来れば失敗ではないと判断します。採点は「失敗」の頻度によります。

失敗による採点基準


7点:失敗しない
5点:月1回未満
4点:週1回未満
3点:1日1回未満
2点:毎日

介助量による採点基準


排尿管理の介助とは「尿器を押さえる」「差し込み便器の上に患者様が正しい位置になるよう手伝う」「カテーテルを挿入し、抜去する」「オムツを替える」など、どの程度介助したかによって採点します。

◆介助の実例:トイレ

に緩められているか
1点;全く偶然であり、介助者が完全に時間誘導している
7点:意図的に排尿している

◆介助の実例:尿器・オムツ

6点:自分で尿を捨てに行く(尿器使用)
5点:尿を捨てて貰っている(尿器準備)
4点:夜間のみ尿器を当てて貰うが、適切なタイミングで括約筋を緩められる
2点:濡れたオムツを替えるように頼める
1点:オムツ替えを頼めない

◆排尿介助の頻度

・毎日導尿しない
5点:週1回以下
4点:週2~6回

・毎日導尿する
4点:自尿+自己導尿>他人による導尿
3点:自尿+自己導尿=他人による導尿
2点:自尿+自己導尿<他人による導尿
1点:全て他人による導尿

FIM採点ポイントまとめはこちら↓
http://www.st-medica.com/2016/05/fim-saiten-matome.html

FIMの採点の基本概念はこちら↓
http://www.st-medica.com/2016/04/fim.html

FIM トイレ動作の採点ポイント

FIM トイレ動作の採点ポイント


概念

会陰部の清潔保持を評価します。

採点ポイント


・トイレまたはさしこみ便器使用の前後に衣服を整えること。
・「(服を)下げる」「(お尻などを)拭く」「(服を)上げる」各33%で換算します。
・何動作を自分で行っているか→1動作のみ:1/3=2点 2動作:2/3=3点
・排尿後と排便後の介助に差がある時→低い方を採点します。

※ポータブルトイレ、差し込み便器を手すり無しで使っている場合→7点
※ポータブルトイレ、差し込み便器を手すりを使用して排泄する場合→6点
※温水洗浄機能が必要な場合→7点

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FIM 更衣(下半身)採点ポイント

FIM 更衣(下半身)の採点ポイント


概念


腰より下の更衣及び、義肢または装具を装着している場合はその着脱も評価します。

採点範囲


採点範囲は「更衣動作:ズボンまたはスカート、パンツ、靴下、靴、装具の着脱」「準備:ズボンなどを取り出す、しまう」です。

入浴前後の着脱は「特殊な状態」なので含まれません。
装具の着脱は更衣動作に含まれますが、更衣の主動作ではないので、装具を着脱してもらっても5点までしか減点されません。浮腫防止用の弾性ストッキングも装具と同様として考えます。

採点ポイント


更衣上半身の採点ポイントは、全体で何割できているか、何動作に分けて(①ズボン②パンツ③靴下④靴)考えます。
病衣のみ着衣している場合は、社会的に受け入れられないため1点となります。

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FIM 更衣(上半身)の採点ポイント

FIM 更衣(上半身)の採点ポイント


概念

腰より上の更衣及び、義肢または装具を装着している場合はその着脱も評価します。

主に普段着用している衣類で評価をします。

採点範囲


「更衣動作:服・下着・装具の着脱」「準備:服を取り出す、しまう」です。

入浴前後の着脱は「特殊な状態」なので含まれません。

装具の着脱は更衣動作に含まれますが、更衣の主動作ではないので、装具を着脱してもらっていても5点までしか減点しません。

採点のポイント


更衣上半身の採点ポイントとしては、全体で何割できているか、何動作かに分解して考える方法があります。

かぶり服の場合


  1. 片腕を通す
  2. もう片腕を通す
  3. 頭からかぶる
  4. 引き下ろす


前開き服の場合


  1. 片腕を通す
  2. 背中から服を回す
  3. もう片腕を通す
  4. ボタンを留める


といった具合で分解して考える方法があります。

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FIM 清拭の採点ポイント

FIM 清拭の採点ポイント

身体を「洗う・拭く」動作を採点します。

洗う範囲は「首から下」で、「背中」は含まれません。

浴槽、シャワーまたはベッド上清拭のいずれでも良いです。

10カ所法:各部を10%と換算します。
・左上肢
・右上肢
・胸部
・腹部
・会陰部前面
・臀部を含む会陰部
・左大腿
・右大腿
・左下腿
・右下腿

※なぜ背部と洗髪は含まれないのか

・背部:障害者でなくても背中が洗えない場合があるため。
・洗髪:FIMは「最低限」の動作のみで構成されているため。

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FIM 整容の採点ポイント

FIM 整容の採点ポイント

全体の割合で考える場合

口腔ケア:5点(100%)
整髪  :3点(50%)
手洗い :4点(75%)
洗顔  :2点(25%)
髭剃り :1点(0%)
(100+50+75+25+0)÷5=50% といった具合に計算します。

口腔ケアの具体例

5点:歯磨き粉をつけてもらう
4点:自分で歯を磨くが、すすいでもらう
3点:麻痺側の奥歯を磨いてもらう
2点:自分では前歯のみ磨く
1点:すべて磨いてもらう

考え方の例

口腔ケア、整髪、手洗い、洗顔、髭剃りのうち、3項目に介助を要している。
→2/5=40%(25%以上、50%未満を自分で行っている)→3点

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FIM 食事の採点ポイント

FIM 食事の採点ポイント

採点範囲は「口に運ぶ」「咀嚼・嚥下」「食べ残しをかき集める」の3点です。 「配膳」「下膳」は評価対象外します。
「きざみ食」など、嚥下を助ける食形態は「配慮」で6点となります。
食卓で「肉(魚)を切る」「蓋を開ける」「エプロンをつける」は「準備」で5点となります。
「食事をかき集める」「残渣を確認する」は4点となります。
「食べ物をすくう介助」をするが、「自分で口に食べ物を運ぶ」は3点となります。
「食べ物をすくって」「口に運ぶ介助」をするは2点となります。
※義歯装着は整容に含まれます。
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FIMの採点の基本概念

FIMの採点の基本概念

点数: 7  完全自立
介助者:不要

点数: 6 修正自立
介助者:不要
介助量:通常の3倍以上の時間がかかる・福祉用具等の使用

点数: 5 監視
介助者:必要
介助量:監視・促し・準備のみ  

点数: 4 最少介助
介助者:必要
介助量:25%以下(3/4の動作が可能=75%自立 =4点)
※人が触れている必要があれば4点以下

点数: 3 中等度介助
介助者:必要
介助量:25-50%未満

点数: 2 最大介助
介助者:必要
介助量:50-75%未満

点数: 1 全介助
介助者:必要
介助量:75%以上 

障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)と認知症高齢者の日常生活自立度

障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)と認知症高齢者の日常生活自立度


障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)


生活自立

ランクJ

何らかの障害等を有するが、日常生活はほぼ自立しており独力で外出する
1.交通機関等を利用して外出する
2.隣近所へなら外出する

準寝たきり
ランクA

屋内での生活は概ね自立しているが、介助なしには外出しない
1.介助により外出し、日中はほとんどベッドから離れて生活する
2.外出の頻度が少なく、日中も寝たり起きたりの生活をしている

寝たきり
ランクB

屋内での生活は何らかの介助を要し、日中もベッド上での生活が主体であるが、座位を保つ
1.車いすに移乗し、食事、排泄はベッドから離れて行う
2.介助により車いすに移乗する

ランクC
1日中ベッド上で過ごし、排泄、食事、着替において介助を要する
1.自力で寝返りをうつ
2.自力では寝返りもうてない

認知症高齢者の日常生活自立度

 何らかの認知症を有するが、日常生活は家庭内及び社会的にほぼ自立している。

Ⅱa 家庭外で、日常生活に支障を来たすような症状・行動や意志疎通の困難さが多少見られても、誰かが注意していれば自立できる。

Ⅱb 家庭内でも上記Ⅱaの状態が見られる。

Ⅲa 日中を中心として、日常生活に支障をきたすような症状・行動や意志疎通の困難さが見られ、介護を必要とする。

Ⅲb 夜間を中心として、日常生活に支障をきたすような症状・行動や意志疎通の困難さが見られ、介護を必要とする。

 日常生活に支障をきたすような症状・行動や意志疎通の困難さが頻繁に見られ、常に介護を必要とする。

M 著しい精神症状や周辺症状あるいは重篤な身体疾患(意志疎通が全くできない寝たきり状態)が見られ、専門医療を必要とする。

失語症発症の原因

失語症発症の原因


失語症は脳の障害により発症します。

脳障害の原因はほとんど脳血管の異常です。

このような、脳血管障害は脳卒中、脳出血、脳梗塞、脳溢血などと呼ばれています。

医学用語ではCVA(Cerebral Vasculer Accident)と呼ばれています。

その他の原因としては、交通事故による脳傷害や脳腫瘍があります。

人間の脳は機能するために酸素とグルコースを必要とします。

脳血管障害やその他の原因で脳内血流が停止すると脳細胞はその場で死んでしまいます。

脳の中には様々な機能の部分がありますが、ほとんどの人の言語機能は脳の左側半分にあります。

この部分に障害が起こると失語症を発症することとなります。

摂食嚥下の5期と障害例

摂食嚥下の5期と障害例


摂食嚥下機能には、先行期(認知期)・準備期・口腔期・咽頭期・食道期という5期のステージがあります。

先行期(認知期)

食べ物を認識し食べるペースをつくる時期です。
(主な障害例:意識障害、高次脳機能障害、認知症、抑うつ状態、拒食、食事動作の障害、ペーシングの障害、姿勢保持機能の障害、心因性嚥下障害)

準備期

咀嚼して細かくして唾液と混ぜ、食塊形成する時期です。
(主な障害例:開口障害・閉口障害(顔面神経麻痺)、咀嚼機能障害、食塊形成障害、齲歯(虫歯)・歯周病、義歯不適合、口腔内乾燥、唾液分泌過多、口腔粘膜疾患(口内炎など)、口腔衛生不良、口臭)

口腔期

口から食べ物や飲み物を、のどに送り込む時期です。
(主な障害例:食物保持困難・舌口蓋閉鎖障害、食塊送り込み障害、口腔内残留、舌の萎縮・不随意運動・感覚障害・筋力低下・可動域制限・乾燥、舌苔)

咽頭期

のどから食道へ送り込む時期です。
(主な障害例:喉頭挙上障害、舌骨挙上障害、喉頭侵入、誤嚥(ムセのない誤嚥)、咽頭残留、鼻咽腔閉鎖不全、食道入口部開大不全)

食道期

食道から胃へと送り込む時期です。
(主な障害例:胃食道逆流、嘔吐、食道腫瘍、食道炎、食道潰瘍、食道狭窄、食道裂孔ヘルニア、強皮症)

誤嚥(ごえん)とは何か

誤嚥(ごえん)とは何か


誤嚥とは声門・声帯よりも下に食べ物や唾液、あるいは逆流したものなどが入ってしまう状態のことをいいます。

誤嚥した後に咳の反射が起こるものを顕性誤嚥といい、誤嚥してもムセが起こらないものを不顕性誤嚥といいます。

夜間就寝中などに唾液を誤嚥してしまうことをマイクロアスピレーション(micro aspiration)と呼びますが、これも不顕性誤嚥です。

不顕性誤嚥には、誤嚥してもムセが起こらないもの、夜間のうちに唾液を誤嚥してしまうものを含めて不顕性誤嚥と表現するので、注意が必要です。

ウィスコンシンカードソーティングテスト(Wisconsin Card Sorting Test:WCST)

ウィスコンシンカードソーティングテスト(Wisconsin Card Sorting Test:WCST)


WCSTとは


WCST原法は概念やセットの転換障害についての検査であり、一般的には前頭葉機能検査法として知られています。

本国では原法の量的、評価上の問題点を修 正した鹿島らによる新修正法である慶應版が開発され 所要時間が短縮されています。

さらに近年では小林らによるパソコンを利用した評価法の改良(WCST-KFS)に よって飛躍的に容易かつ標準的に施行可能となりました。

無償で提供されており、下記からダウンロードできます↓


WCST 健常者基礎統計値


各年代・性別における平均CA数(平均値±標準値差)








セッションごとに見たルールの推測状況と平均CA数、平均保続性エラー数、平均エラー総数





http://www.nivr.jeed.or.jp/download/kyouzai/kyouzai21-n2.pdfより参照

嚥下スクリーニングテスト実施基準と食事のステップアップと中止基準

嚥下スクリーニングテスト実施基準と食事のステップアップと中止基準


スクリーニングテスト実施基準



  • 意識レベルがJCSⅡ-10以下
  • 口腔内の汚染がない(適切な口腔ケアの実施後)
  • 気道クリアランスが概ね良好(吸引併用可能)
  • 姿勢の安定(枕などを利用しリクライニング30°程度)
  • バイタルサインの安定(37.5℃以下)
  • 重篤な症状がない(肺炎が改善傾向)


食事のステップアップ基準



  • 2日以上37.5℃以上の発熱がない
  • 気道分泌物が減少している(吸入酸素の減量)
  • 意識レベルが改善している
  • 摂取量が8割以上である
  • 検査データで炎症反応が改善している

食事の中止基準



  • 38℃を超す発熱
  • 痰絡みが増え、むせが強い
  • 呼吸状態の悪化(吸入酸素の増量)
  • 検査データで炎症反応が増悪している



臨床栄養 Vol.124 No.7 2014.6 より参照

東邦大式SRQ-D 軽症うつ病スクリーニングテスト

東邦大式SRQ-D 軽症うつ病スクリーニングテスト


東邦大式SRQ-Dは、軽症のうつ病発見の手がかりの一つとして行う簡易スクリーニングテストです。

採点方法

「いいえ」は0点、「ときどき」は1点、「しばしば」は2点、「常に」は3点として採点します。
ただし、質問の2,4,6,8,10,12は、どんな答えでも0点とします。
従って、最低で0点、最高で36点となる。
あまり深く考えずに答えるように伝えます。

質問

1 体がだるく疲れやすいですか
2 騒音が気になりますか
3 最近気が沈んだり気が重くなることがありますか
4 音楽を聞いて楽しいですか
5 朝のうち特に無気力ですか
6 議論に熱中できますか
7 くびすじや肩がこって仕方がないですか
8 頭痛持ちですか
9 眠れないで朝早く目ざめることがありますか
10 事故やけがをしやすいしですか
11 食事がすすまず味がないですか
12 テレビをみて楽しいですか
13 息がつまって胸苦しくなることがありますか
14 のどの奥に物がつかえている感じがしますか
15 自分の人生がつまらなく感じますか
16 仕事の能率があがらず何をするのもおっくうですか
17 以前にも現在と似た症状がありましたか
18 本来は仕事熱心で几帳面ですか

判定

10点以下・・・・・抑うつ傾向なし
11~15点・・・・境界領域
16点以上・・・・・抑うつ傾向あり

下記PDFサイトより質問用紙を印刷できます↓
http://laclear.net/checksheet/stress%20check1.pdf

左半側空間無視のリハビリテーションアプローチ

左半側空間無視のリハビリテーションアプローチ


左半側空間無視へのリハビリテーションアプローチは、トップダウンアプローチとボトムアップアプローチに分けられます。

トップダウンアプローチとは

トップダウンアプローチは、治療者が声かけや、目印等の視覚的聴覚的手がかり等を与えてフィードバックを行い、徐々に当事者が自発的に麻痺側に注意を向けられるようにする意識的なアプローチです。

空間性注意への直接的なアプローチ方法で、“気づきと代償行動の獲得により有効”で、エビデンスレベルAの報告が多いです。

ADL訓練は機能的アプローチとしてトップダウンアプローチに含まれています。

ボトムアップアプローチとは

ボトムアップアプローチは、空間性注意の基盤が感覚入力、運動出力であることから、感覚系、感覚・運動の協調を通して無意識下で働きかけるアプローチのことを言います。

プリズム眼鏡を用いたプリズム順応、経頭蓋磁気刺激、後頸部筋振動刺激、視運動性刺激、前庭刺激等が該当します。

エビデンスレベルはトップダウンアプローチに比べ高くはありませんが、プリズム眼鏡を用いたプリズム順応をはじめ、効果や対象についての研究が続いています。

左半側空間無視の軽度例の特徴

左半側空間無視の軽度例の特徴


左半側空間無視の軽度例は、下記の特徴があります。

・姿勢・行動観察では無視症状が目立たず、ADLの自立度は高い。

・慣れていない環境や行動では見落とし等の症状が出現する。

・対座法(Visual Extinction Test)を行うと視覚消去現象は陽性となる。

・自身の症状に関する気づきは比較的良好。

・頸部や眼球を麻痺側へ意識的に向けたり、上肢を使用しての麻痺側の情報を確認する代償行動をとることができる。

・BITはカットオフ点以下の下位検査がなく正常域だが、日常場面でときに麻痺側を見落とす。または、BITでカットオフ点以下の下位検査だが、日常場面では見落としは見られない。

左半側空間無視の中等度例の特徴

半側空間無視の中等度例の特徴


左半側空間無視の中等度例は以下のような特徴があります。

・行動観察で明らかに麻痺側の見落とし、気づきにくさがある。

・車椅子や歩行にてある程度自力で移動可能なレベルだが、麻痺側の物にぶつかったり、麻痺側のトイレや居室に気づかず通り過ぎたり等、麻痺側の見落としがある。

・声掛けや誘導等の介入があれば、麻痺側へ注意を向けることが部分的に可能。

・眼球運動でも声かけや誘導により追視が正中線を超えることができる。

・周囲から何度も指摘されるため、左側を見落としてしまうといった発言はあるが、自発的に麻痺側に注意を向けることは少ない。

・BITがすべて実施でき、かつカットオフ点以下の下位検査がある。カットオフ点以下の下位検査数だけでは重症度の判断が難しく、カットオフ点以下の下位検査が1~2個でも行動面で見落とし症状が顕著な場合がある。

行動性無視検査 日本版 (Behavioural inattention test : BIT) 概要と結果の解釈

行動性無視検査 日本版 (Behavioural inattention test : BIT) 概要と結果の解釈



BITは半側空間無視検査です。


BIT行動性無視検査日本版は、日本人高齢者に適応可能なように作製され、また、本邦の健常人ならびに脳損傷患者のデータをもとに、正常値と妥当性が確立されています。


検査内容

 通常検査

  1. 線分抹消試験
  2. 文字抹消試験
  3. 星印抹消試験
  4. 模写試験
  5. 線分二等分試験
  6. 描画試験

 行動検査

  1. 写真課題
  2. 電話課題
  3. メニュー課題
  4. 音読課題
  5. 時計課題
  6. 硬貨課題
  7. 書写課題
  8. 地図課題
  9. トランプ課題


・通常検査 最高得点141点 カットオフ 131点
・行動検査 最高得点81点 カットオフ 68点


結果の解釈

BIT通常検査合計得点が131点以下の場合には、半側空間無視があり、 ADL、訓練場面においても無視による障害が現れます。

下位検査の1つ以上でカットオフ点以下があるが、通常検査合計得点が 132点以上の時には、半側空間無視の可能性を考え、検査結果やADL、 訓練場面を注意深く観察する必要があります。
●通常検査では、カットオフ点以下の下位検査数で、重症度を表現する方法が用いられており、多数例についていえばBITの重症度とADL上でみられる無視による問題点は大体平行していると言われています。

●代償的方略によって検査成績が良い例と、反対に検査上の無視は、はっきりしているが、慣れた生活範囲への適応が可能な例もあるので、 検査成績にこだわりすぎず、ADL場面を観察する事が重要です。