サルコペニアへの対応

サルコペニアへの対応


筋力増強


サルコペニアは適切な運動により回復することがわかってきています。
そのなかでも、筋力増強訓練が最も重要と言われています。

筋力増強訓練には好気的運動と抵抗運動があります。

好気的運動

好気的運動はリズミカルに反復する運動で強い負荷は掛けない運動です。
筋組織では好気的代謝が行われており、酸素を消費しエネルギー産生を行っている筋量を増やす効果はあまりないですが、心・呼吸系、肥満、耐糖能の改善などの効果があると言われています。

抵抗運動

抵抗運動は、重りや徒手的な抵抗を加えた運動です。
関節の動きを伴わない場合、等尺性運動と言います。
この運動は筋量を増やす効果に優れていて、筋力も増加します。
筋細胞レベルでは嫌気的代謝が行われており、ブドウ糖から乳酸が産生され、エネルギーを得ています。

他動的伸長刺激を1日15分でも続けて訓練を行うと、筋の維持増強効果をもち、短時間の訓練でも筋力増強効果が期待できることを示唆しているとの報告があります。


身体活動量


筋力増強訓練のほか身体活動量の増加も重要です。
サルコペニアに陥った高齢者は自宅であまり動かない生活など日常の身体活動量が不足していることが多いと言われています。
そのため、日常生活で身体活動を増やすような習慣の指導、外出、趣味の開拓、通所サービスなども効果的と言われています。

栄養指導


また、食事でのタンパク質摂取不足など栄養面からのサルコペニアも多くみられ、栄養指導も必要です。

原疾患のコントロール


もちろん、二次性サルコペニアでは原疾患のコントロールも重要です。
高齢者では、変形性関節症、変形性脊椎症、心疾患、呼吸器疾患など様々な合併症をもっていることが多いです。
そのため、運動処方、生活指導を行う場合、負荷量、運動の方法などに留意し、合併症の悪化を来すことのないようにすることも重要と言われています。