音韻性失名詞
失名詞は、喚語や呼称の障害で、これを主徴とする流暢な失語は失名詞失語に分類されます。
一般的な失名詞失語は発話が流暢で、名詞の喚語困難が目立ち、心的辞書で語彙の適切な選択ができず、その本質は語彙選択上にあるとされています。
音韻性失名詞も、失名詞失語同様に理解は保たれますが、呼称が障害されます。
その誤り方は、音韻性錯語や接近行為様の発話など音韻性が主体で、意味性の誤りは基本的に認められないと言われています。
伝導失語では表出面全般にわたり音韻性の誤りが観察されますが、音韻性失名詞は、復唱が良好で、こうした誤りは認められないと言われています。
呼称という目標語を探索する場合にのみ誤りが出現し、語彙目標は適切に選択できているものの、その語の音韻表象が十分に活性化を得ていない状態と言われています。