カプグラ症候群





カプグラ症候群とは


カプグラ症候群とは、よく知っている人がそっくり別人にすり替わっているという変身の体験のことを言います。

患者さん自身は、外見上、本物とそっくりであるということは認めており(微妙な違いが指摘されることがあるにせよ)、しかし中身は偽物である替え玉だと信じています。

対象としてはよく知っている身近な人である場合が多いですが、自分以外の人物に対する誤認に加えて自分自身に対する誤認を示す場合もあります。

また、人物以外に動物や無生物が対象となる場合があります。

これは、1923年Capgrasらは、人物のすり替えと誤認を主題とした論文を発表しており、今日でいえば、妄想型の統合失調症の経過中に人物誤認を呈した症例です。

ただし、脳器質疾患においてもカプグラ症候群は出現し、疾患は多岐にわたり、レビー小体型認知症、アルツハイマー型認知症、頭部外傷、てんかん、脳血管障害、脳腫瘍、脳炎、AIDS、偽副甲状腺機能低下症、ビタミンB12欠乏症などで報告されています。

ただ、統合失調症に出現するカプグラ症候群と脳器質疾患に出現するカプグラ症候群では随伴する症状や背景に推測されるメカニズムが異なると言われています。