遠城寺式乳幼児分析的発達検査とは
遠城寺式乳幼児分析的発達検査は、乳幼児向けの発達検査法です。
適応年齢
【0歳~4歳7か月】
検査項目は、移動運動、手の運動、基本的習慣、対人関係、発語、言語理解の6領域となります。発達をいくつかの領域に分けてテストして、それぞれの領域について評価を出して分析的に乳幼児の発達状況をとらえようとする検査です。精神面のみでなく身体的発達も含めて全人的に発達状況を分析的にとらえようとしています。
検査の特徴
すべての問題について年齢ごとの通過率を示されています。移動運動、手の運動、言語の発達、基本的習慣、対人関係、発語、言語理解の発達の状況を分析的に評価でき、検査しやすい問題が選ばれていて、簡便で時間がかからりません。
そのため、スクリーニング・テストとして最適といわれています。
発達段階をグラフとして示され、これまでの発達過程を図示できるため、親が発達過程を理解しやすい特徴があります。
検査の進め方と記入方法
準備で行うこと
母親と子供を検査室に入れ、リラックスさせるようにします。母親との応答、子供の観察し検査用紙に必要事項を記入します。
検査で行うこと
できたら○印、出来なかったら×印をつけます。発達相当の箇所から問題を始め、できるだけ実際に行動させたり、問いかけたりして判定します。母親からの口頭による答えから聞き取るようにします。
合格が3つ続けば、それ以下はしなくとも良いです。また、不合格が3つ続けばそれ以上はしなくともよいです。※ただし、子供によっては、それ以上の項目でできることもあるし、またできないこともあるので、他の項目についても問いかけてみることが必要です。
4歳8か月の問題ができるときには、4歳8か月以上と診断します。
合格の1番上の検査問題に相当するところに点を打つ。
とび越しがある場合、「だるま落とし」の様に、合格、不合格の入れ換えをします。
各点を結ぶと発達のプロフィール(折れ線グラフ)が示されます。
言語理解での空欄の扱いがあります。8か月以下の検査問題の欄が空白のところがあります。
検査結果の処理で行うこと
プロフィールからみた診断
描かれた発達グラフの形、歴年齢との相対関係を見ながら分析します。
描いた線が直線に近ければ、バランスのとれた発達を示していると解釈します。
凸凹がつよければ不均衡な発達を示していると解釈します。
脳性まひの子供は、運動面、発語が遅れていることが多い特徴があります。
精神発達に遅れのある子供は、移動運動は遅れがみられませんが、手の運動や発語、言語理解に遅れがみられることが多い特徴があります。
情緒に障害のある子供は、社会性、特に対人関係に遅れがみられることが多い特徴があります。
発達の縦断的診断
同一の検査用紙に発達検査を何回も記入でき、前の検査結果と比較して発達の状況を継続的にみていくことができます。
乳児では4か月ごと、幼児では6~8か月おきに行うのが適当と言われています。
発達指数(DQ Developmental Quotient)の測定
例として、「両足でぴょんぴょん跳ぶ」は2歳から2歳3か月までの問題です。
この問題が出来れば平均2歳1.5か月の発達年齢ということになります。
2歳0月児がここまでできたとすれば、2歳1.5か月/2歳=25.5÷24×100=106となります。
3歳3か月児がこの問題まで出来たときは、2歳1.5か月/3歳3か月=25.5÷39×100=65全体のDQは、6領域のDQの平均をとります。
(平均DQは、100になりません。)
保護者への伝え方
検査から分析した発達の様子について分かりやすく伝えることが大切です。
まず、配慮する点としては、親とのコミュニケーションを大切にします。
特に乳幼児の場合変動する可能性が大いにあるので、1回の検査結果から「発達状態を決定」するようなことはしないようにします。
発達の状態をプロフィールを示して、説明し、問題となるような点について説明します。
経過観察や次回の検査、適切な援助機関の紹介等の手立てを示し、合格した問題の次の問題が子供の課題となる発達の節目として、保護者との生活の中で実現可能な方針を助言するようにします。
検査用紙のダウンロードはこちら↓
http://www.gotoushounika.com/dqhyou.pdf
検査用紙と手引はサクセスベルから購入できます↓
http://www.saccess55.co.jp/kobetu/detail/enjoji.html
参考文献
「遠城寺式乳幼児分析的発達検査法」:遠城寺宗徳他,1977,慶応通信.
「重度・重複障害児のコミュニケーション活動に関する研究」:筑波大学養護・訓練研究, 9,23ー29,1996
http://www.geocities.jp/tokusyukyouiku/enjou.html