変形性膝関節症(OA)の初発症状は階段昇降時の痛みであるかもしれない





「変形性膝関節症(OA)の初発症状は階段昇降時の痛みであるかもしれない」

Arthritis Care & Researchに掲載された論文の結論です。

画像による確定診断がなされる前の段階でも変形性膝関節症(OA)患者は歩行中の膝の痛みを訴えており、これは変形性膝関節症(OA)の進行と強く関連したのです。

OA診断もしくはその高リスク者4,700名以上のデータが分析された結果、5活動パターン(階段昇降・歩行・立位・座位・ベッド横臥)のうち、階段昇降の際に生じる痛みがOAの初発症状である率が最も高かったと報告されています。(以下、歩行>立位>座位>ベッド中横臥の順)。

この結果は、より早期のOA診断を可能とし、症状進行防止介入を行なうことに役立つと言われています。


閉経後女性の骨密度(BMD)維持のためには、high-impact荷重運動+抵抗漸増トレーニングが有効





閉経後女性の骨密度(BMD)維持のためには、high-impact荷重運動+抵抗漸増トレーニングが有効

Osteoporosis International掲載論文の結論で、閉経後女性の骨密度(BMD)維持のための非薬剤アプローチは一定効果はあるが、それはhigh-impact荷重運動+抵抗漸増トレーニングの場合に限るとあります。

本研究では、フィジカルトレーニングのBMDへの効果を検討すべく、1,769名の閉経後女性を対象にした5つの対照試験と19のRCTの結果をメタ解析したところ、抵抗漸増トレーニング・high-impact運動・荷重運動はすべて単独ではBMDへの効果は見られませんでしたが、抵抗漸増トレーニングと後2者のいずれかを組み合わせると効果が見られたと報告しています。

これらの組み合わせトレーニングでは、腰骨・脊椎に各1.8%・2.4%のBMD増があったとのことです。

著者らは、高齢女性が行う激しい運動の安全性については、疑問を呈してはいるものの、本研究でのトレーニングはしっかりとした指導のもとで実施されたため、傷害事象はごくまれであったと報告しています。

この結果から、このような組み合わせ抵抗漸増トレーニングは、閉経後骨量減少を防ぐ有効な非薬剤アプローチとなりうる可能性があるようです。


運動不足の死亡への寄与は肥満の2倍!?





運動不足の死亡への寄与は肥満の2倍!?

12歳以上の334,000人を対象にヨーロッパで行われた研究によると、なんと、運動不足は肥満の2倍以上の死に寄与するそうです。

BMIに関わらず日常活動のわずかな変化が個人の平均余命に大きな影響を与えることを示唆します。

これはAmerican Journal of Clinical Nutrition掲載論文からです。

この論文では、欧州各国で死亡した30万人(男性116,980人・女性217,181人:心疾患・癌・脳卒中既往者を除外)についてBMI・胴囲(WC)・身体活動(PA)レベルを比較し、PAレベルによって①低(36 kJ/kg)②低~中(41 kJ/kg)③中~高(46 kJ/kg)④高(51 kJ/kg)の4群に分けました。

結果、どのBMI群でも比較的低PA群の全原因死亡率は、最低PAレベル群より20~30%低い結果でした。

PAレベルとWCにも類似した関係がみられたとのことです。

肥満群の中でも②の死亡率は低く、PAレベル②以上では肥満による影響は殆どありませんでした。

運動不足は高BMIより死亡率に大きな影響を与えることになり、運動不足の人はPAを少しでも上げれば死亡率を有意に低下させることができそうです。


FDA うつ病・統合失調症治療薬Rexultiを承認





FDA うつ病・統合失調症治療薬Rexultiを承認


FDAは、統合失調症治療・うつ病追加治療薬Rexulti(brexpiprazole)を承認しました。

FDAは統合失調症治療・うつ病追加治療の選択肢として新規D3/D2受容体部分作動薬Rexulti(brexpiprazole)を承認しました。

統合失調症におけるRexultiの効果は1,310名の患者に対するプラセボ対照2臨床試験により、また、うつ病患者に対する同薬の他剤への併用効果は1,046名の患者に対するプラセボ対照2臨床試験により評価されたとのことです。

しかし、認知症関連精神病患者への使用は承認されていません。

うつ病患者に対しては自殺リスク上昇を考慮する必要があると言われています。

高頻度の副作用には、体重増加や不安感増加があるそうです。


兵頭スコア 嚥下内視鏡所見のスコア評価基準





兵頭スコア 嚥下内視鏡所見のスコア評価基準


スコア合計:    点

① 喉頭蓋谷や梨状陥凹の唾液貯留

 0:唾液貯留がない
 1:軽度唾液貯留あり
 2:中等度の唾液貯留があるが、喉頭腔への流入はない
 3:唾液貯留が高度で、吸気時に喉頭腔へ流入する

② 声門閉鎖反射や咳反射の惹起性

 0:喉頭蓋や披裂部に少し触れるだけで容易に反射が惹起される
 1:反射は惹起されるが弱い
 2:反射が惹起されないことがある
 3:反射の惹起が極めて不良

③ 嚥下反射の惹起性

 0:着色水の咽頭流入がわずかに観察できるのみ
 1:着色水が喉頭蓋谷に達するのが観察できる
 2:着色水が梨状陥凹に達するのが観察できる
 3:着色水が梨状陥凹に達してもしばらくは嚥下反射がおきない

④ 着色水嚥下による咽頭クリアランス

 0:嚥下後に着色水残留なし
 1:着色水残留が軽度あるが、2~3回の空嚥下でwash outされる
 2:着色水残留があり、複数回嚥下を行ってもwash outされない
 3:着色水残留が高度で、喉頭腔に流入する

誤嚥:なし・軽度・高度

随伴所見:鼻咽腔閉鎖不全・早期咽頭流入・声帯麻痺



遠城寺式乳幼児分析的発達検査





遠城寺式乳幼児分析的発達検査とは


遠城寺式乳幼児分析的発達検査は、乳幼児向けの発達検査法です。

適応年齢


【0歳~4歳7か月】

検査項目は、移動運動、手の運動、基本的習慣、対人関係、発語、言語理解の6領域となります。発達をいくつかの領域に分けてテストして、それぞれの領域について評価を出して分析的に乳幼児の発達状況をとらえようとする検査です。精神面のみでなく身体的発達も含めて全人的に発達状況を分析的にとらえようとしています。

検査の特徴


すべての問題について年齢ごとの通過率を示されています。移動運動、手の運動、言語の発達、基本的習慣、対人関係、発語、言語理解の発達の状況を分析的に評価でき、検査しやすい問題が選ばれていて、簡便で時間がかからりません。
そのため、スクリーニング・テストとして最適といわれています。
発達段階をグラフとして示され、これまでの発達過程を図示できるため、親が発達過程を理解しやすい特徴があります。

検査の進め方と記入方法


準備で行うこと


母親と子供を検査室に入れ、リラックスさせるようにします。母親との応答、子供の観察し検査用紙に必要事項を記入します。

検査で行うこと


できたら○印、出来なかったら×印をつけます。発達相当の箇所から問題を始め、できるだけ実際に行動させたり、問いかけたりして判定します。母親からの口頭による答えから聞き取るようにします。

合格が3つ続けば、それ以下はしなくとも良いです。また、不合格が3つ続けばそれ以上はしなくともよいです。※ただし、子供によっては、それ以上の項目でできることもあるし、またできないこともあるので、他の項目についても問いかけてみることが必要です。

4歳8か月の問題ができるときには、4歳8か月以上と診断します。

合格の1番上の検査問題に相当するところに点を打つ。

とび越しがある場合、「だるま落とし」の様に、合格、不合格の入れ換えをします。

各点を結ぶと発達のプロフィール(折れ線グラフ)が示されます。

言語理解での空欄の扱いがあります。8か月以下の検査問題の欄が空白のところがあります。

検査結果の処理で行うこと


プロフィールからみた診断
描かれた発達グラフの形、歴年齢との相対関係を見ながら分析します。

描いた線が直線に近ければ、バランスのとれた発達を示していると解釈します。

凸凹がつよければ不均衡な発達を示していると解釈します。

脳性まひの子供は、運動面、発語が遅れていることが多い特徴があります。

精神発達に遅れのある子供は、移動運動は遅れがみられませんが、手の運動や発語、言語理解に遅れがみられることが多い特徴があります。

情緒に障害のある子供は、社会性、特に対人関係に遅れがみられることが多い特徴があります。

発達の縦断的診断


同一の検査用紙に発達検査を何回も記入でき、前の検査結果と比較して発達の状況を継続的にみていくことができます。
乳児では4か月ごと、幼児では6~8か月おきに行うのが適当と言われています。

発達指数(DQ Developmental Quotient)の測定


例として、「両足でぴょんぴょん跳ぶ」は2歳から2歳3か月までの問題です。
この問題が出来れば平均2歳1.5か月の発達年齢ということになります。
2歳0月児がここまでできたとすれば、2歳1.5か月/2歳=25.5÷24×100=106となります。
3歳3か月児がこの問題まで出来たときは、2歳1.5か月/3歳3か月=25.5÷39×100=65全体のDQは、6領域のDQの平均をとります。
(平均DQは、100になりません。)

保護者への伝え方

検査から分析した発達の様子について分かりやすく伝えることが大切です。
まず、配慮する点としては、親とのコミュニケーションを大切にします。
特に乳幼児の場合変動する可能性が大いにあるので、1回の検査結果から「発達状態を決定」するようなことはしないようにします。
発達の状態をプロフィールを示して、説明し、問題となるような点について説明します。
経過観察や次回の検査、適切な援助機関の紹介等の手立てを示し、合格した問題の次の問題が子供の課題となる発達の節目として、保護者との生活の中で実現可能な方針を助言するようにします。

検査用紙のダウンロードはこちら↓

http://www.gotoushounika.com/dqhyou.pdf

検査用紙と手引はサクセスベルから購入できます↓

http://www.saccess55.co.jp/kobetu/detail/enjoji.html

参考文献
「遠城寺式乳幼児分析的発達検査法」:遠城寺宗徳他,1977,慶応通信.
「重度・重複障害児のコミュニケーション活動に関する研究」:筑波大学養護・訓練研究, 9,23ー29,1996
http://www.geocities.jp/tokusyukyouiku/enjou.html



摂食・嚥下障害の原因疾患





摂食・嚥下障害の原因疾患


摂食・嚥下障害の原因の原因としては、機能的原因、器質的原因、心因的原因3種類の原因に分けられます。

機能的原因

下記の疾患等により、口腔・構音器官に麻痺や筋力低下等が起こり、摂食嚥下障害が起こります。

・脳血管障害、脳腫瘍、頭部外傷
・パーキンソン病、線条体黒質変性症、進行性核上性麻痺など
・脊髄小脳変性症
・筋萎縮性側索硬化症、進行性球脊髄性筋萎縮症
・多発性硬化症
・ギラン・バレー症候群、糖尿病性末梢神経炎など
・筋ジストロフィー、多発性筋炎など
・重症筋無力症
・加齢に伴う変化など

器質的原因

器質的障害とは「器官(構造)のうえに、なんらかの損傷を受けたために生じた行動の障害」です。下記の疾患により口腔・構音器官に損傷を受けたため摂食嚥下障害が起こります。

・舌炎、口内炎、歯槽膿漏
・扁桃炎、扁桃周囲膿瘍
・咽頭炎、喉頭炎
・頭頸部腫瘍(口腔・舌癌、上顎癌、咽頭癌)
・食道炎、潰瘍
・食道の蛇行、変形、狭窄
・腫瘍
・食道裂孔ヘルニアなど

心因的原因

精神的な原因で摂食嚥下障害が起こります。

・神経性食欲不振症、異食症
・咽頭異常感症
・心気神経症
・ヒステリー、うつ病
・心身症(ストレス性胃潰瘍、神経性胃炎)など

摂食・嚥下障害が疑わしい場合は専門機関に受診しましょう。


ディシュンヌ型筋ジストロフィーの初期症状





ディシュンヌ型筋ジストロフィーの初期症状


初期症状

初期症状の多くは3~5歳頃に転びやすい、ジャンプができない等で運動発達の遅れに気づかれます。その後、遺伝子診断や筋生検で診断されるようです。
5~6歳で運動機能がピークに達した後は徐々に筋力低下が進行して、無治療の場合、多くは10歳前後に歩行機能を失ってしまうとのことです。

平均寿命

以前の平均寿命は20歳前後だったそうです。
今では、包括的な医療・ケアの進歩により、平均寿命は30歳を超えて、生活の質(QOL)も向上していると言われています。

※ディシュンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne musculardystrophy:DMD)は、基本的に男児に発症するX染色体劣性遺伝性疾患です。
筋ジストロフィーの中で最も頻度が高いのが、ディシュンヌ型筋ジストロフィーで、男児出生3,000~4,000人に1人の割合で発症すると言われています。



注意障害の種類





注意障害の種類


注意障害を大まかに分けると4種類に分けることができます。

①選択性注意障害

対象物に対し注意のスポットライトをあてられなくなる。

②持続性注意障害

あてた注意を一定時間持続できなくなる。

③配分性注意障害

多方向に注意を向けることができなくなる。
2 つのことを同時に行えなくなる。

④転換性注意障害

注意を向ける対象を切り替えることができなくなる。
向けてはいけないほうに向けないようにすることができなくなる。

注意の選択・持続はより基礎的な機能であり、注意の配分、転換はより高次の機能だと考えられています。



嚥下障害を疑う患者様に対しての摂食場面の観察ポイント





嚥下障害を疑う患者様に対しての摂食場面の観察ポイント

観察項目、症状

観察ポイント

考え得る主な病態・障害

食物の誤識
ボーとしている。キョロキョロしている。
食物への認知障害、注意散漫
食器の使用
口に到達する前にこぼす。
麻痺、失調、失行、失認
食事内容
特定の物を避けている。
口腔期、咽頭期、味覚、唾液分泌低下、 口腔内疾患
口からのこぼれ
こぼれてきちんと口に入っていない。
取り込み障害
口唇・頬の麻痺
咀囑
下顎の上下運動だけで、回旋運動がない。 硬い物が噛めない。
咀嚼筋の障害
齲歯、義歯不適合、歯周病など
嚥下反射が 起こるまで
長時間口にため込む、努力して嚥下をしている。 上を向いて嚥下している。
口腔期、咽頭期、送り込み障害
ムセ
特定の物(汁物など)でむせる。
食事のはじめにむせる。
食事の後半にむせる
誤嚥、咽頭残留頭、誤嚥


不注意、誤嚥、咽頭残留


疲労、筋力低下、胃食道逆流
食事中、食・事後に咳が集中する
誤嚥、咽頭残留、胃食道逆流
食事中。食後に声が変化する。
誤嚥、咽頭残留
食事時間
1食に30~45分以上かかる。
認知、取り込み、送り込みなど
食欲
途中から食欲がなくなる。
認知、誤嚥、咽頭残留、体力
疲労
食事の途中から元気がない、疲れる。
誤嚥、咽頭残留、体力




パーキンソン病の摂食嚥下障害の病態





パーキンソン病の摂食嚥下障害の病態


パーキンソン病は、嚥下運動のプロセスである随意運動、反射運動、自律運動(先行期から食道期)のすべてが障害されます。

摂食嚥下障害はパーキンソン病患者の半数以上に見られます。

病初期から存在することがあり、Hoehn-Yahr重症度など身体的運動障害とは必ずしも関連しないと言われています。

パーキンソン病患者は摂食嚥下障害の自覚に乏しく、不顕性誤嚥が多く、抗パーキンソン病薬の副作用としてジスキネジア、口腔乾燥、off症状が摂食嚥下機能に影響してきます。

各期における主な病態


先行期:うつ症状・認知障害による摂食障害、上肢の振戦・強剛、斜め徴候

口腔期:舌運動や咀噌運動の障害、顎の強剛、流挺、口渇

咽頭期:嚥下反射の遅延、誤嚥、咽頭蠕動の減弱、喉頭挙上の減弱、喉頭蓋谷や梨状窩への食物貯留

食道期:上部食道括約筋の機能不全、食道蠕動の減弱、胃食道逆流症

その他:頸下がり・頸部筋の強剛による口腔・咽頭の移送障害

嚥下造影(video fluorography:VF)所見の特徴


口腔期:口腔内残留、すすりのみ、ポンプ様舌運動、嚥下前の咽頭流入、嚥下のためらい、舌の振戦・ジスキネジア

咽頭期:咽頭蠕動障害、喉頭挙上不良、喉頭侵入、誤嚥、喉頭蓋谷残留、梨状窩残留、咽頭運動の異常運動、喉頭蓋の運動障害

食道期:蠕動運動消失、咽頭への逆流

自律神経障害による食事性低血圧があり、失神時に食物を窒息するリスクがあるため注意が必要です。