理学療法的評価の意義と目的
評価の意義
評価とは、患者の持つ症状や障害を把握して、それらの情報を分析し、治療方針を立案して、その治療結果を確認し、患者の将来を予測する過程です。これは、医師が行う疾病の診断と対応するものであり、病歴や臨床検査所見の収集を行い、それを分析して治療方針を決めるのとほぼ同じことと言えます。
理学療法における評価は特定の時間を設けて実施するだけでなく、治療中の全過程において、患者の動作や反応を観察して評価します。したがって、治療即評価であると言えます。
評価はだれが行っても同一の結果が得られるような方法であり、信頼性、妥当性、確実性のある標準化された評価であることが要求されます。
評価の目的
評価は従来、治療を求める患者に対して医師が行った「診断法」とは異なり、患者の状況を幅広く把握することにあり、患者の持つ身体的機能面から全生活場面まで、どのような障害があるのかをみて、その回復の方策を探すことを目的とするものです。
Ridley,M.A.は評価の目的として次の4つを挙げています。
①患者の全体像を把握する。
②治療計画の参考にする。
③目標設定に役立てる。
④将来の為の基本線の設定を行う。
以上のうち、①は狭義の評価過程であり、一般的には患者の持つ障害を把握し、問題点を明らかにするものです。②から④までは広義の評価過程として位置づけられるもので、患者の持つ問題点から回復の目安を予測(目標-goleの設定)して、その目標に向けて問題解決の方策(治療計画)を立案する過程になります。
*参考理学療法評価 金原出版(株)