ALSの有病率・発症率と典型的な臨床的症状
ALSの発症率
ALSの発症率は人口10万人あたりおよそ1.6~2.4人ですが、加齢とともに増加すると考えられます。たとえば、オンタリオ州南西部の調査によれば、80代での人口10万人あたりの発症率は7.4人に増加し、診断時の平均年齢は62歳でした。ALS患者の半数は50~70歳の間です。診断されてからの平均生存期間はおよそ2.5年であり、高齢での発症ではより期待でいる生存期間は短くなっています。男女比は1.2:1から1.6:1までばらつきがあります。
ALSの症状
ALSの臨床上典型的な訴えは筋力低下です。初診時に最も一般的な所見には、筋委縮、筋力低下、痙性(上位運動ニューロン症候)と繊維束攣縮が含まれます。さらに、主に下位運動ニューロンが侵されている部位では、筋の伸張反射が低下している場合があり、あるいは筋委縮が非常に進行しているため上位運動ニューロン症候が見いだせない場合もあります。時折、患者が純粋な上位運動ニューロン症候を示唆するような、軽度の痙性のみを呈する場合もあります(たとえば、下位運動ニューロン症候が無く痙性構音障害あるいは顔面筋の痙性あるいはその両方がみられる場合)。筋痙攣もまたよくある訴えの一つです。
一般的に言って、ALSのもっとも顕著な特徴は、局在制でしばしば非対称性の筋力低下の発症であり、それから身体周辺の領域へ進展していくことです。痙性は障害となり歩行を困難にする可能性があります。非活動や栄養不良に関連した便秘を除き、この疾患では膀胱直腸機能は保たれます。感覚は一般的には保たれますが、錯感覚と深部感覚の低下は25%までの患者に認められることがあります。
*参考 リハビリテーションシークレット(メディカル・サイエンス・インターナショナル)