反射の定義 反射弓 種類

反射の定義 反射弓 種類


反射とは

反射は感覚受容器から求心性神経によって伝えられた刺激が、意思とは無関係に中枢神経のある部分で切り替えられて、遠心性神経に伝達され、効果期に反応を表す現象です。反射は基本的な身体の防衛機構として存在し、神経学的障害を診るのに大切な検査です。

反射弓

反射活動が起こるのは次の5つの要素が必要です。
受容器→求心性ニューロン→介在ニューロン→遠心性ニューロン→効果器

受容器

皮膚末端器官あるいは筋紡錘、腱紡錘の特殊知覚器官であり、これらの器官が刺激されることにより、求心性インパルスが起こる。

求心性ニューロン(知覚性)

インパルスを中枢神経(介在ニューロン)に伝える。

介在ニューロン(反射中枢)

インパルスを遠心性ニューロンに転送する働きがある。いわゆる腱反射などにおいては介在ニューロンを欠き、求心性ニューロンから直接遠心性ニューロンにインパルスをつたえるので、これを単シナプス反射(1つの連絡シナプス)と呼んでいる。これに対し屈筋反射(逃避反射)は介在ニューロンを介すので多シナプス反射(数個のと呼んでいる。

遠心性ニューロン(運動性)

インパルスを末梢の効果器に伝える。

効果器

遠心性インパルスにより腺や筋が刺激され、分泌や運動が起こる。

以上のような過程を反射弓といい、これらのいずれかの部位が障害されると反射の異常が現れます。


*参考 理学療法評価学(金原出版株式会社)

慢性持続性疼痛に関与する脊髄後角における神経生理学的な過程

慢性持続性疼痛に関与する脊髄後角における神経生理学的な過程

 最近の研究では慢性持続性疼痛の発生に後角細胞が関与すると考えられてきています。多モード(polymodal)広作動域ニューロン(wide dynamic range neuron:WDR)は細胞表面に需要体を多く有しており、それにはN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体とニューロキニン(NK)受容体が含まれますAδ繊維のような感覚神経線維から放出される興奮性アミノ酸は、NMDA受容体に作用します。一方サブスタンスPは求心性のC繊維から放出されるが、NMDANK受容体の両方に作用します。サブスタンスPNK受容体への作用はNMDA受容体のマグネシウム依存性遮断を減少させ、そのことがさらにWDR神経細胞へのカルシウム流入を引き起こすことになります。このことにより、NMDA受容体の脱分極が増加する結果になるので

 疼痛繊維がC繊維を経由して伝達されたサブスタンスPによりWDR神経細胞の抑制機構が消失し、そのため絶え間ない病的な持続的疼痛がもたらされるのです。WDR神経細胞の過分極というこの病的状態はサブスタンスPを放出するC繊維を麻薬または神経ブロックで遮断すれば予防可能です。急性疼痛、術後疼痛の積極的な管理と先行麻酔(手術直前の麻酔)によって中枢性感作と慢性持続性疼痛に陥る“wind up”のプロセスの予防ができることが現在では認められています。

*参考 リハビリテーションシークレット(メディカル・サイエンス・インターナショナル)

エマージェンシー・コーマ・スケール(Emergency Coma Scale:ECS)

エマージェンシー・コーマ・スケール(Emergency Coma Scale;ECS)



〔1 桁〕 覚醒している (自発的な開眼、発語、または合目的な動作をみる)
1
見当識あり
2
見当識あり
〔2 桁〕 覚醒できる (刺激による開眼、発語または従命をみる)
10
呼びかけにより
20
痛み刺激により

〔3 桁〕 覚醒しない (痛み刺激でも開眼・発語および従命なく 運動反射のみをみる)
100L
痛みの部位に四肢を持っていく、払いのける
100W
引っ込める(脇を開けて)または顔をしかめる
200F
屈曲する(脇を閉めて)
200E
伸展する
300
動きがまったくない
意識レベルの把握を行うために、JCS と GCS の 2 つのスケール がありますが、どちらも利点と欠点があります。
JCS の利点は、意識障害の全体像が迅速に把握できることです。
しかしその反面、評価者による覚醒の捉え方が違うと、結果にばらつきが 生じる欠点を持っています。

一方、GCS は、評価者によるばらつきはないことが利点なのです が、欠点として全体像が把握しづらく、慣れるまで時間がかかって しまうことがあります。

そこで、これらの問題を改善しようと、ECS(Emergency Coma Scale)が作成されました。ECS 2 桁は刺激反応を評価しています が、JCS では刺激のレベルに応じて開眼するかしないかを評価して いました。ECS では開眼のほかに、発語、従命動作が判断材料とし て増え、どれか一つでも該当しないかを評価し、判断します。

多発性筋炎のための運動プログラム

多発性筋炎のための運動プログラム

 かつては、多発性筋炎に対する運動というのは筋肉の炎症を引き起こす恐れから推奨されませんでした。現在では、非活動性もしくは活動性の安定している多発性筋炎の患者に対する1か月の等尺性の筋力増強は、CKの持続的な上昇を生じずに筋力を増加させることが示されています。著名な筋肉の委縮や重度の筋力低下のある筋には、1か月のプログラムには反応しないようです。

 慢性のもしくは活動性があっても安定している多発性筋炎の患者に対し、週に3回または毎日、20秒の回復時間をおいて6秒間の等尺性筋収縮を610回施行することは妥当なことだと考えられます。訓練の中心となる筋肉は、三角筋、上腕二頭筋、股関節外転・伸展筋群、大腿四頭筋です。末梢の筋力低下がある患者(2040)では、手関節、手内筋、そして足関節背屈/底屈筋群を増強することも望まれます。封入体筋炎のかなりの割合の患者では、近位、遠位とも筋力低下を呈します。筋炎に対する抵抗運動の効果を示す報告はほとんどありません。

 筋炎の成人及び小児は、有酸素容量も低下します。成人に対する有酸素運動は、疾病の再燃を生じることなく有酸素容量を増大させることが示されています。慢性のもしくは活動性があっても安定している状態では、週3回の450gの重りを使用した等張性筋力増強、自転車もしくはプールでの低負荷の有酸素運動を行うことが出来ます。運動プログラムは、CKの著明な上昇に一致して筋力低下の増悪と疼痛が出現した際には、見直されなくてはなりません。激しい活動性もしくは活動性の不安定な筋炎の場合には、週3回の数回の等尺性収縮のみ行われるべきです。もし患者がプールへ通えるようであれば、運動するには最適の場です。

 関節可動域を保つためのストレッチは、慢性で安定している状態、活動性、急性期含めすべての患者に行われるべきです。成人患者では、しばしば著明な肩関節の関節可動域制限が生じ、小児では肩関節、肘関節、股関節、そして膝関節ですぐに関節可動域制限が生じ、しばしば手関節、足関節でも生じます。特に小児期の皮膚筋炎において関節周囲の軟部組織へのカルシウム沈着は、関節可動域の制限を生じさせやすくなります。

*参考 リハビリテーションシークレット(メディカル・サイエンス・インターナショナル)

脳損傷後に起こる神経科学的変化

脳損傷後に起こる神経科学的変化


 研究によると細胞は壊死(細胞のホメオスタシスと生存能力の比較的急速で、無秩序な消失)とアポトーシス(エネルギー依存性で遺伝的に制御されている、より遷延し秩序だった細胞破壊の過程)によって死滅することが示唆されています。

 脳損傷の急性期の壊死においては、大量の神経伝達物質、特にグルタミン酸のような興奮性の神経伝達物質が放出されます。これらの神経伝達物質は神経細胞膜の受容体と結合し、シナプス後のイオンチャネルを活性化させます。特にイオン化した過剰な量のカルシウムがこのようにして、さらに細胞膜の電位により活性化されたチャネル通って、細胞内に入ることができ、細胞内のホスホリパーゼを活性化させます。このため、もし細胞内の酵素が除去可能な量を超えれば細胞膜を傷害あるいは破壊する可能性があるアラキドン酸の代謝とフリーラジカルの賛成が増加する結果となります。興奮性アミノ酸とフリーラジカルを含む細胞内の内容物の放出は隣接した細胞の傷害を惹起する炎症の誘因となる可能性があります。これらの過程は脳損傷後の後数分から数時間にわたって起こるでしょう。

 対称的に、アポトーシスを経た神経細胞の変成は通常、周囲の細胞の傷害を引き起こしません。壊死は一般的に虚血領域の中心に起こるのに対し、アポトーシスはペナンブラ(penumbra)においてより多く見られる傾向があります。しかし、虚血障害の領域におけるこれらの過程には重複があります。壊死に陥った神経細胞からの中毒性化学物質の放出により他の細胞がアポトーシスになる場合があります。急性期以後の神経学的な変化は様々な神経伝達物質とその受容体の量と代謝の変化に関係しています。

*参考 リハビリテーションシークレット(メディカル・サイエンス・インターナショナル)

ALSの有病率・発症率と典型的な臨床的症状

ALSの有病率・発症率と典型的な臨床的症状

ALSの発症率

 ALSの発症率は人口10万人あたりおよそ1.6~2.4人ですが、加齢とともに増加すると考えられます。たとえば、オンタリオ州南西部の調査によれば、80代での人口10万人あたりの発症率は7.4人に増加し、診断時の平均年齢は62歳でした。ALS患者の半数は50~70歳の間です。診断されてからの平均生存期間はおよそ2.5年であり、高齢での発症ではより期待でいる生存期間は短くなっています。男女比は1.21から1.61までばらつきがあります。

ALSの症状

 ALSの臨床上典型的な訴えは筋力低下です。初診時に最も一般的な所見には、筋委縮、筋力低下、痙性(上位運動ニューロン症候)と繊維束攣縮が含まれます。さらに、主に下位運動ニューロンが侵されている部位では、筋の伸張反射が低下している場合があり、あるいは筋委縮が非常に進行しているため上位運動ニューロン症候が見いだせない場合もあります。時折、患者が純粋な上位運動ニューロン症候を示唆するような、軽度の痙性のみを呈する場合もあります(たとえば、下位運動ニューロン症候が無く痙性構音障害あるいは顔面筋の痙性あるいはその両方がみられる場合)。筋痙攣もまたよくある訴えの一つです。

 一般的に言って、ALSのもっとも顕著な特徴は、局在制でしばしば非対称性の筋力低下の発症であり、それから身体周辺の領域へ進展していくことです。痙性は障害となり歩行を困難にする可能性があります。非活動や栄養不良に関連した便秘を除き、この疾患では膀胱直腸機能は保たれます。感覚は一般的には保たれますが、錯感覚と深部感覚の低下は25%までの患者に認められることがあります。

*参考 リハビリテーションシークレット(メディカル・サイエンス・インターナショナル)

視覚障害者への移乗介助

視覚障害者への移乗介助


 まず、視覚障害者はスタッフの顔を認識することが出来ないため、病院のスタッフは彼らに対して自己紹介をすべきです。彼らと話をするときには、特に大声は必要なく、普通の声で話すべきです。そして、必ず最初にどのような解除の必要があるかを尋ね、介助の必要があるときには基本的な視覚ガイド技術を利用して、待合室や診察室においても介助をすべきです。

 移動介助が必要な場合は、以下のような技術を用います。

まずあなたの手の甲で、手に触ることを視覚障碍者に知らせ、それからあなたの腕のひじの上をつかんでもらうように言います。相手はあなたの腕の内側か外側につかまります。あなたは相手の役半歩前を歩くとよいでしょう(相手の肩はあなたの後ろにくる)。

さらにサポートが必要なら、あなたの肘を直角に曲げ、相手に前腕をつかんでもらうようにします。この方法なら、相手はあなたの後ろではなく、横を歩くことになります。

人がたくさんいる部屋を通ったり、狭い場所を抜けるときには、あなたの腕を背中の真ん中にもっていくことで、相手を自分の後ろに誘導できます。腕の長さをいっぱいに使えるように、ガイドに使っている相手の腕を伸ばしてもらうように頼みます。これで足を踏まれることもなくなります。もし、この方法で相手が非常に不安定になるなら、相手をあなたの後ろに立たせて、片手をあなたの腰の位置に置いてもらいます。このとき必要なら、握る腕を変えます。

ドアを通り抜けるとき、介助する相手の位置があなたの横のなるべくドアの蝶番に近くなるように立ってもらいます。あなたが通り過ぎるまでドアを開いたまま押さえておくように相手に頼み、それから相手を通すようにガイドします。相手がドアを開けたままにしておく力がなければ自分で開けて、先に相手を通すか、十分に広ければ一緒に通るようにガイドします。

椅子に腰かけることを助ける場合は、相手を椅子までガイドしてその位置を知らせます。相手が椅子のほうを向いているときは、相手の片手を背もたれか肘掛けに置いて、もう片方の手でシートに触ってもらいます。それから相手に反対向きになって座ってもらいます。

参考 
リハビリテーションシークレット(メディカルサイエンスインターナショナル)

アテトーゼ・舞踏病・バリズムの違い

アテトーゼ・舞踏病・バリズムの違い

アテトーゼ

アテトーゼは、緩徐で、捻転を伴う、反復した動きを伴う不随意運動です。舞踏病より緩徐であり、ジストニアほど持続的ではありません。アテトーゼは単独あるいは他の運動異常とともにみられることがあり、アテトーゼそのものは異様で特徴的な姿勢をとります。身体のどの部分も侵される可能性がありますが、通常顔面と上肢遠位部にみられます。発症は突発性のこともありますが、この異常はしばしば脳卒中、脳腫瘍、Wilson病の様な他の神経疾患に2次的に起こります。

舞踏病

舞踏病は、型にははまっていない、予測できない、突発的な運動を伴い、目的を持った動作を妨害します。動きは速く、不規則で、複雑であり、身体のあらゆるところにみられる可能性がありますが、通常、口腔内を侵します(異常な発語と呼吸パターンを引き起こす)。中枢神経系のほとんどあらゆる疾患により起こる可能性があります。Parkinson病の患者にみられた場には、舞踏病は通常抗Parkinson薬により2次的に発現したものです。薬物による治療アプローチはドパミン利用の減少あるいは抗コリン作用の増加を目的とします。もっともよく知られている全身型の病型はHuntington病です。

バリズム

片側バリズムは身体の一側の上肢あるいは下肢が非常に乱暴に投げ出される動きからなります。通常、反対側の視床下核の出血あるいは梗塞により2次的に起こります。また腫瘍が原因であることもありえます。動きがあまりにも乱暴なので、制御しなければ、患者が疲労困憊したり、けがをしたりすることがあります。神経遮断薬がいくらか有効とされており、注意深く四肢に重錘を負荷することが有効な事もあります。

*参考 リハビリテーションシークレット(メディカルサイエンスインターナショナル)

狭心症とは

狭心症とは


 心筋における酸素の需要と供給の不均衡によって、可逆性の心筋虚血を生じ、一過性の胸痛発作をきたすものを狭心症といいます。
 心筋に血液を供給する冠状動脈に動脈硬化性の高度狭窄が生じると、冠血流は減少します。そのような状態のとき、心筋の酸素需要が増加すると、たとえば階段や坂道歩行、急ぎ足で歩く、入浴、排便・排尿など、労作時には心筋虚血が生じ、胸痛をきたします(労作性狭心症)。と同時に、心電図ではST低下がみられます。これは労作を中止することによって心筋の酸素需給のバランスが改善され、胸痛・ST変化は消失します。
 一方、安静時や夜間睡眠中など、心筋における酸素需要の増加が無くても、冠状動脈の攣縮(スパズム)が生じ、完全~亜完全閉塞の状態になると、心筋への血流が減少して心筋虚血をきたし、胸痛を生じます(安静時狭心症)。このときしばしば心電図上でST上昇がみられます。このような狭心症は異型狭心症とも言います。
 そして労作時にも安静時にも、胸痛発作が認められる場合には、冠状動脈の器質的狭窄と攣縮の両者が重なって心筋虚血を生じている病態が考えられます。
 また、心筋梗塞へ進展しやすい狭心症とされている不安定狭心症や切迫梗塞の中には、心筋虚血に冠血栓が関与していると考えられる場合もあります。緊急冠状動脈造影や冠血管内視鏡により、このような患者さんで冠血栓の存在が確認されています。
 このような冠血栓を溶解することにより心筋梗塞の発病を防止し、臨床症状を改善できたとする報告があります。
 このように狭心症の発生機序がある程度明らかになってきましたので、発作の機序が、そのいずれかであるのかを明らかにして最も適した対応を行うことが大切です。

*参考  わかりやすい内科学 (文光堂)
手に取るようにわかる心電図入門(ベクトル・コア)