肩こりの原因と対応





肩こりの原因と対応

肩こりは、ありふれた訴えですが、症状が激しくないことから軽視される傾向があります。しかし、時に重大に疾患が隠されていることもあり、慎重な対応が必要です。
原因疾患の有無によって症候性と原発性に分けられます。症候性肩こりの原因としては以下のものが挙げられます。

①頸椎およびその周辺の整形外科疾患
②高血圧症、風邪などの全身性疾患
③冠動脈、肺・肋骨、胆・肝などの内臓疾患
④眼、耳鼻、歯などの顔面の疾患
⑤仮面うつ病などの心因性疾患

また、肩こりの誘因としては、不良姿勢、特に頸椎屈曲位での作業、寒冷、精神の不安、緊張があります。

肩こりをきたすメカニズムとしては、人類が直立したことにより、頸椎を支え、上肢を吊り下げている僧帽筋をはじめとする肩甲周囲筋群の疲労が要因となり、筋肉のうっ血→乳酸などの疲労物質の蓄積→筋緊張の過程が悪循環を呈してくると考えられています。

それゆえに、肩こりの予防法としては、以下のことが挙げられます。
①正しい姿勢
②適当な運動
③ストレスに対する気分転換
④快適な日常生活

肩こりを訴える人の多くは、キーパンチャーやレジ作業者など職業性頸肩腕障害の患者、胸郭出口症候群を起こしやすい”なで肩”の女性、中高年者では頸椎に退行性変化を認める人などです。それゆえ肩こりが、筋肉の疲労原因だと考える場合にも、頸椎のX線撮影は行うべきでしょう。

*参考 リハビリテーションマニュアル(日本医師会)