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3月, 2015の投稿を表示しています

精神活動性低下とリハビリテーション

精神活動性低下とリハビリテーション 精神活動性低下は、全般的に精神機能の低下した状態を指します。 精神活動鈍化とも言います。 自発性低下及び意欲減退が前景にあり、一般的にうつ傾向で記憶障害を呈し、さらに認知症状態を伴うことがあります。 多様な症状を総括的に示す概念とも言えます。 自発性低下のみを示す場合やうつ状態を背景にした意欲減退のみを指すこともあり、また脳血管障害などにみるように知能障害と合併して自発性低下を示すこともあります。 いずれにしても精神活動性低下は、種々の神経性心疾患に広くみられるものではありますが、高齢になるにつれて頻度は高くなります。 これはその原因となる疾患が加齢とともに有病率が高くなるためだと思われます。 自発性低下は、意欲の減退によって起こるもので、精神活動低下にあたって、もっとも頻度の高いものといえます。 種々の状態像や疾患があります。 その分類は5つに分けることができます。 第1は、欲動の低下によって起こるものです。主要疾患として統合失調症があります。 情意鈍麻、意欲喪失状態を示すことがあり、高度の場合には一切の欲求や自発行動が欠如した無為の状態になります。 全く自発行動がゼロになったものを精神医学では昏迷と呼んでいます。 なお心因性精神疾患の中で、たとえばヒステリーでは著しい精神活動低下として昏迷状態を示すことが知られています。 第2は、うつ状態です。典型的なうつ病の場合には、うつ感情と気力の低下、欲動の減少(食欲や性欲の低下)があり、自発性は低下します。 第3は脳器質性疾患、ことに認知症状態で起こります。前頭葉器質性病変によって意欲の減退や自発性低下がある場合には、発動性欠乏と呼ぶことがあります。 臨床的に最も多いのは脳血管性障害の慢性期にみられるもので、リハビリテーションの重要な課題となります。 第4は意識障害です。軽度の意識障害時には、一見して認知症と似た認知障害を起こし、自発性低下を示すことがあります。 逆に多動、精神興奮を伴う事もあります。原因疾患として脳器質性疾患や薬物(殊に向精神薬)の過剰投与があります。 第5は、身体衰弱や寝たきり状態にみられます。これは各種慢性身体疾患(外傷や骨折を含む)では長期に持続する身体機能の低下に連動して起こりやすくなります。早...

外反母趾のタイプや症状、治療について

外反母趾のタイプや症状、治療について 外反母趾の生じる第一中足趾節関節では第一中足骨は筋の付着を持たず、筋腱からなる足底のゆりかごの上に載っていて、力学的には関節は不安定な構造にあります。 遺伝要素の強いjuvenile type(若年性)と30代後半頃より発症するidiopathic type(特発性)の2つが知られていますが、自然継過に不明な点があり、変形と症状が必ずしも一致していません。 しかし、足部外反変形との相関のあることは多くの報告でも確認されています。 外反足変形は関節弛緩性あるいは筋低緊張のもとにアキレス腱の短縮その他X脚や下肢外旋などの果汁が足部内側に集中する状況が関与しています。 遺伝性の関与では先祖帰り的な側面が見られ、踵の小さなこと、前足部の横径の増加、特に第一楔状中足関節のゆるみがみられます。 足部の廊下の関与では人の足は加齢とともに偏平足傾向を呈してくるものであり、外反母趾は裸足で生活する人種にもみられます。 女性に多いですが関節の柔らかさと関係があると考えられるし、ハイヒールではつま先に荷重が集中し、中足趾節関節が大きく背屈することになりますが、この位置では関節の安定性にあずかる側副靱帯が弛緩しているので、狭い靴内では母趾は容易に側方に転移します。 発症初期に関節部の腫脹発赤を伴って強い疼痛が見られます。 母趾背側皮神経が圧迫されて疼痛と知覚障害を呈することもあります。 強い変形でも症状の全く見られない例も多くあります。 変形が進行すると母趾が第二趾の下に潜り込み、第ニ趾の中足趾関節が背屈を強制されて、同部の足底に有痛性胼胝を形成して歩行に支障をきたします。 治療の基本は装具療法で、足底装具あるいは靴型装具が処方されます。 その要点は足部外反を矯正させる内側楔・土踏まずパッドと母趾及び外側趾中足骨頭への荷重を均等分散させる中足桟より構成されます。 靴であれば靴底と半月がしっかりとしていて、トーボックスが広く余裕があり、ヒールは高すぎないことが必要です。 手術は薬物と装具の効果が無い場合で、外反母趾角40度前後で歩行障害の続く場合に行われます。 *参考 整形外科学テキスト(南江堂)

めまいの種類と治療の概要

めまいの種類と治療の概要  めまいの原因は、前庭神経核より中枢の病変による中枢性めまいと、前庭迷路系の障害による末梢性めまいに分けられます。その性状には、回転性めまい(くるくると回る感じ)と、非回転性めまい(浮揚感、立ちくらみなど)があります。高度の回転性めまいは末梢性に多く、非回転性めまいは中枢性に多い傾向があります。眼振の方向が末梢性では固定されているのに対し、中枢性では変化します。中枢性か末梢性の鑑別には、頭位変換による眼振の誘発検査、温度眼振検査、足踏み試験などが用いられます。  末梢性めまいにはメニエール症候群、前庭神経炎、良性頭位性めまい(BPPV)があります。メニエール症候群は前庭鳴、難聴を伴っためまいが続く発作を繰り返します。前庭神経炎では感冒様症状の後にめまいが数日間持続します。BPPVは耳鳴、難聴を伴わず、一定の頭位によってのみ誘発される短時間(数分以内)の回転性めまいを特徴とします。  中枢性めまいは椎骨・脳底動脈循環不全(VBI)と一過性脳虚血発作(TIA)、または脳幹、小脳の梗塞や出血などの血管障害が主体です。VBIやTIAでは短時間(数秒間)のめまいのほかに、複視、運動失調、運動・感覚障害を伴うことが多いですが、数時間持続する回転性めまいのみを反復する例もあります。頭部の捻転(上を向く、振り向くなど)により、椎骨動脈が圧迫されて生じる頸性めまいもVBIの一種になります。  小脳出血や外側延髄梗塞(ワレンベルグ)症候群では高度のめまいが持続します。他に小脳橋角部腫瘍、多発性硬化症、精髄小脳変性症なども中枢性めまいを生じます。頭部CTやMRIでこれらの中枢性病変をチェックする必要があります。他に薬物(抗痙攣薬、睡眠薬)や低血圧などもめまいの原因になります。  治療としては原因疾患を考慮して副腎皮質ステロイド、重曹、抗めまい薬、鎮吐剤、脳循環改善薬、ビタミン剤、精神安定薬などを使用する場合があります。頭位性めまいでは、頭位変換を繰り返すリハビリテーションにより改善する例もあります。 *参考 神経内科学テキスト(南江堂)

反射 (生物学)

反射 (生物学) 反射とは ある刺激による感覚神経系の入力に対して、脳幹ないし脊髄レベルで運動神経系の出力系にシナプスを介して情報が伝達され、何らかの筋の収縮による運動という効果を発現するメカニズムを反射といいます。 入力系・シナプス・出力系の一連の伝導路を反射弓といいます。 反射が成立するには、この反射弓が正常であることが第一条件です。 また、反射弓は工事の中枢神経からの抑制ないしは促進を受けていることがあります。 したがって、反射弓は正常でも、高次の中枢神経の異常で、反射は亢進したり減弱したりすることがあります。 腱反射 腱反射は、ハンマーによる腱の叩打によって与えられた刺激が、反射弓を介して、骨格筋の収縮によって主として関節運動が生じる現象を言います。 腱反射の低下・消失は、反射弓のどこかに異常が存在することを示します。 筋疾患、神経接合部の異常、下位運動ニューロンの障害、及び感覚神経の障害によって起こります。 反射の亢進は、攘夷運動ニューロンの障害を意味し、錘体路兆候ととらえることができます。 表在反射 皮膚や粘膜の機械的刺激によって筋が反応を示すもので、表在反射の消失は反射弓のいずれかの障害を示します。刺激には針や綿などを用います。 もっとも知られている表在反射は腹壁反射です。この反射は、仰臥位の患者の腹部の皮膚を上部、中部、下部、に分けて、先端を鈍くした針や鍵で引っかくように外側から中央に向かってこすって刺激します。 腹壁が刺激された方向に収縮するのが臍の動きで確認できます。 皮下脂肪の厚さなどにより、出現の程度は個人差がありますが、反射が一側性で減弱ないし消失している場合は、錘体路兆候と解釈します。 その他の反射 ①眼輪筋反射 開眼させたまま眼窩外側上方に検者の指を置き、その上を軽くハンマーで叩打します。反射によって眼輪筋が収縮し、閉眼します。 ②口輪筋反射 患者にわずかに開口させて、犬歯上方の上口唇の外側に指を置き、その上を叩打します。反射によって口輪筋が収縮し、口が閉じます。 ③咽頭反射 咽頭後壁を舌圧子で触れます。咽頭後壁が収縮、軟口蓋が拳上し、嘔吐反射が起こります。軟口蓋に振れても同様の反射が出ます。(この場合は軟口蓋反射といいます。) ④角膜反射 一般的には、意識障害を伴い、重度...

全身弛緩法

全身弛緩法 はじめに 精神的・身体的過緊張が慢性化すると、頭痛、疼痛性筋痙縮、仕事能力の低下、消化不良、不眠、血圧の上昇および心拍数や血糖の増加がもたらされやすくなります。このような状態において全身弛緩法を実行すれば、筋の過緊張を感じ取れるとともに、その筋の弛緩に役立ちます。はじめは種々の筋群をどのように緊張させたり弛緩させたりするのかを学んで、全身的な弛緩状態の実現に結びつけます。 今回はその方法の一つである「対比法」について説明します。 対比法の方法 対比法は三段階からなり、第一段階はある関節を動かし、運動中の筋の緊張と弛緩を識別することです。第二段階は関節を動かさずに筋を収縮したり弛緩すること、第三段階は、筋を収縮させずに弛緩することです。すべての段階にはゆっくりした深呼吸を伴うことが大切です。 初心者は静かで薄暗い部屋で始め、リラックスをした臥位をとるために、クッション・枕・リクライニングチェアなどを利用するのも良いでしょう。 練習には一般に30~40分の時間を費やします。最初の10分は目を閉じたまま静かに横たわり、次の10~20分は筋の収縮と弛緩に費やします。最後の10分は目を閉じたまま休息します。 ①第一段階 一側の上肢、たとえば右腕の上部から始め、肘をゆっくりかつしっかりと曲げ、手首を掌方向に垂らします。その時に上腕部の筋緊張を感じ取ります。肘を徐々に伸ばしながら力を抜き、約1分間休みます。次に手首を下方に曲げ、ゆっくりかつしっかりと拳を握ります。前腕の筋緊張を感じ取ったならば、徐々に力を抜き、約1分間休みます。手首を反り、指を力いっぱい伸ばします。徐々に力を抜き、約1分間休みます。以上を左腕でも行います。 このように筋の緊張を感じながら四肢・体幹を動かし、筋収縮・弛緩を行います。練習が進むにつれ、筋が収縮しているときと弛緩しているときの感覚が区別できるようになります。 ②第二段階 筋の収縮・弛緩を制御できるようになったら、四肢を動かさずに筋を収縮させながら、同じ動きを繰り返します。力を抜いた後、さらに深い弛緩状態に入ろうと試みます。肘の関節を例にすると、肘を曲げることを想像する→上腕の筋をゆっくりかつしっかり収縮させる→筋の緊張を感じ取る(実際には肘は曲げない)という動作を行います。これを第一段階と同じように全身で行い...

浮腫の病態と種類

浮腫の病態と種類 浮腫の病態 浮腫とは組織間液が異常に増加・貯留した状態を言います。 すなわち何かの病的な原因で、血漿成分が血管外に漏出あるいは滲出結果です。 通常組織間液が2~3ℓ以上に増加すると、臨床的に浮腫と認めまれます。 部位として眼周囲、手指、下腿、足背などに見られます。 浮腫が生じるためには毛細管から組織間隙への血漿成分の移行が、組織間隙から毛細管への吸収とリンパ系からの流出より多くなる必要があります。 毛細管の透過性は炎症などで亢進し、浮腫を起こします。 これは炎症物質であるブラディキニン、プロスタグランジンの作用によります。 毛細管内の静水圧の上昇も浮腫の原因となります。心不全や静脈閉塞などによる浮腫の機序はこれです。   浮腫の種類 1) 全身性浮腫 ①腎性浮腫  原因として急性糸球体腎炎、急性腎不全、慢性腎不全、ネフローゼ症候群などがあり、上記の検査としてASO(抗ストプトリジンO)、腎機能検査(クレアチニンクリアランスなど)、免疫学的検査(免疫グロブリンなど)を施行します。必要があれば腎生検を行います。 ②心性浮腫  原因として心臓弁膜症、心筋梗塞、心筋症、心膜炎などがあります。心音、肺音の長身が重要です。胸部X線写真、心電図、心エコー検査で診断を確定します。 ③肝性浮腫  原因として肝硬変であることが考えられます。肝機能検査(GOT、GPT)、肝炎ウイルス検査、α-フェト蛋白などの腫瘍マーカー、腹部エコー検査などを行います。腹水を伴うことが多いです。 ④内分泌性浮腫  甲状腺機能低下症による浮腫はnon-pitting edemaです。甲状腺機能検査により確定します。甲状腺機能亢進症でも浮腫をきたします。 ⑤栄養障害性浮腫  食事性ではビタミンB1欠乏症による脚気が多いです。アルコールの飲みすぎや炭水化物に偏った食生活が原因となります。悪性腫瘍や吸収不良症候群でもこの種の浮腫が見られることがあります。 ⑥薬剤性浮腫  薬剤服用歴を聞きます。インドメタシンなどの非ステロイド系抗炎症薬は整形外科領域で良く使われる薬剤であるので注意する必要があります。ニフェジピンなどのCa拮抗薬は、高血圧、冠動脈疾患によく使われる薬剤です。仁丹や漢方薬には甘草が多く含まれ、浮腫をきたすことがあります。 ...

関節拘縮とその分類

関節拘縮とその分類 拘縮とは 関節周囲軟部組織が原因で生じた関節可動域制限は拘縮(contracture)と呼ばれ、その定義は、皮膚や皮下組織、骨格筋。腱、靱帯、関節包などといった関節周囲に存在する軟部組織が器質的に変化したことに由来した関節可動域制限とされています。しかし、その英語表記であるcontractureは、「contract=収縮する」という動詞を抽象名詞化した言葉であり、元来は関節によって隣り合う2つの体部が、筋肉収縮の結果、互いに近づいた状態が継続していることと定義されています。 拘縮の分類 拘縮は大きく先天性内反足の様な先天性拘縮と、後天的な原因によって発生する後天性拘縮に分類され、後者に関しては病変部位やその原因によって分類でき、Hoffaの分類がよく用いられます。これによれば、拘縮は①皮膚性、②結合組織性、③筋性、④神経性、⑤関節性に分類されます。 1) 皮膚性拘縮    熱傷後や皮膚挫創後に皮膚が壊死を起こし、瘢痕治癒後に発生する瘢痕拘縮がそのほとんどを占めます。 2) 結合組織性拘縮    皮下組織や靱帯、腱、筋膜など、主に結合組織によって構成される組織に起因するものを言います。手掌腱膜が癒着、瘢痕化し、手指の拘縮をきたすDupuytren拘縮はこれに属します。また、元来含まれていないですが、組織の校正から考えると筋膜に起因する拘縮もこれに属すると考えられます。 3) 筋性拘縮    骨格筋の短縮や萎縮が原因とされ、関節が特定の肢位で長時間固定されたことで起こった拘縮はこれに属します。また注射後の不幸な後遺症である三角筋拘縮症や殿筋拘縮症、大腿四頭筋短縮症なども筋性拘縮の一つと考えられています。 4) 神経性拘縮    拘縮の原因が神経疾患に由来するものを言います。具体的には痛みが強く発生する場合には反射的に筋スパズムが起こり、痛みから逃れたい肢位をとるが、これが長時間続くと拘縮が起こります。(反射性拘縮)また、痙性麻痺を伴う中枢神経疾患では、筋緊張亢進の為に拘縮が発生することが多く見受けられます。一方、末梢神経障害に伴う骨格筋の弛緩性麻痺でも拘縮が発生することがあります。これは拮抗筋と主動作筋の両方が完全な弛緩性麻痺を呈している場合には発生することは少なく、回復過程...

廃用症候群 (Disuse syndrome)

廃用症候群 (Disuse syndrome)  病気の時、人は「安静にする」という行動をとることが多いものです。もちろん安静を必要とする状況は多々ありますが、その程度により様々な障害を起こすのも事実です。その一つが「廃用症候群」です。  廃用症候群の出現は老年期において顕著、かつ重度ですが、過度の安静は若年者においても同様の作用を及ぼします。したがって急性期からの安静の指示に対しては、廃用症候群の予防も考慮する必要があります。廃用症候群としての機能低下は、局所性のみではなく、全身にも出現し、それらは能力低下を伴い日時用生活における行動学的障害につながります。 全ての筋骨格系は不使用、あるいは絶対安静により負の影響を受けます。変化の多くは可逆性ですが、全身性には体力の低下を伴い、その回復には時間と注意深い努力を必要とします。 ①骨格筋の障害  骨格筋はある程度以上の強度での運動に使用されないでいると筋肉の体積は減少します。微細な変化としては、筋繊維を構成するサルコメアの増減があります。短縮位で長期間保持されると、サルコメアは減少し、伸展位で固定されるとサルコメアは増加します。それにより筋の短縮・伸長が起こります。 ②関節の障害  筋と関節包の拘縮は運動の制限に生じるが、関節可動域制限は繊維性脂肪組織の増殖の結果でもあります。関節周囲組織としては腱、関節包、筋腱膜及びそれに結合する靱帯が含まれ、それぞれに不動の影響が生じます。これらの変化は細胞レベルで生じるもの、基質とコラーゲンに生じるもの、組織レベルでの反応に分けられます。臨床的にみられる変化は動物実験のような完全不動によってのみ生じるわけではなく、関節が関節全可動域にわたって関節周囲組織と筋肉を最大限伸展するよう動かさなければ生じます。 ③骨の障害  不使用の影響は骨にも表れます。骨は適度な刺激により、骨再生と骨吸収を均衡させ、骨組織を維持しています。しかし身体の不使用があると通常の刺激を著しく減少させ、骨吸収率は骨産生率を上回り、骨萎縮を起こします。この骨吸収優位状態が骨粗鬆症です。 ④体力の低下  不動状態が続くことにより、筋肉量の低下がみられます。中枢的に神経活動が減少し、使用される筋肉量が少なくなるからです。また交感神経性の活動も減少し、心拍数の低下に作用します。さらに運...

表在性痛覚

表在性痛覚 人間の感覚には様々なものがあります。その中でも邪魔にもなり、また非常に有益な情報となる、表在性痛覚について説明します。 ①皮膚の痛み 針で皮膚を突き刺すと、瞬間的に鋭い痛みを感じます。 これは局在制が明確な痛みで、刺激がやむと急速に消失する特徴があります。 刺激が強い場合、この速い痛みの後に、潜時が0.5~1秒の遅い痛みが続くことがあります。 これは鈍い焼けつくような痛みで空間的な広がりを持ち、ゆっくりと消失する特徴があります。 このように、皮膚の痛みには質の異なった2種類の痛みがあります。 皮膚の痛覚を起こす侵害受容器には、機械的侵害刺激のみに反応する高閾値機械受容器と、機械的、温度、化学的刺激など異なる多種類の侵害刺激に応じるポリモーダル侵害受容器があります。 皮膚の高閾値機械受容器の情報は主として細い有髄のAδ繊維によって伝達されて刺すような速い痛みを、ポリモーダル侵害受容器の情報は、主として非常に細い無髄のC繊維によって伝達され、うずくような遅い痛みを伝えると考えられています。 侵害受容器(痛みの刺激を感知する部位)は、自由神経終末です。 ②発痛物質 日焼けや熱、極度の低温、X線、剥離によって皮膚が侵害を受けると、痛覚過敏が起こります。 これは、損傷された組織の細胞から局所的にプロスタグランジン、セロトニン、ヒスタミン、Kイオン、Hイオンなどの化学物質が放出されることによって起こると考えられています。 これらの物質は、侵害受容器に対して興奮性の作用や感受性を高める作用を持つので、発痛物質と呼ばれます。 これらの物質は、炎症、関節痛、骨腫瘍、慢性虚血時の痛みの原因になっていると考えられています。 ③中枢内伝導路 侵害性の感覚情報は、一次求心性神経によって後根から脊髄後角に入り、そこで後角のニューロンにシナプス連絡する。 一次求心性ニューロンを通って脊髄後角内に入力された侵害刺激情報は、後角内でシナプスを介して二次ニューロンに伝わり、主として脊髄腹外側部を通ってさらに高位中枢に伝えられます。 痛覚の上行路には一般的には脳幹の外側部を通る系統発生学的に新しい経路、すなわち外側系と、脳幹の内側部を通る系統発生学的に古い経路、すなわち内側系の2つの主要経路が認められています。 外側...

ADLについて

ADLについて 1.概要  日常生活活動は通常ADL(Activities of Daily Living)と呼ばれ、昨今リハビリテーション業界内のみならず、一般にも聞く機会が増えたように感じます。  ADLは麻痺、拘縮などの「機能障害」と、家庭や社会における役割変化などの「社会的不利」との間に位置し、「能力低下」の中に分類されます。 機能障害への加療(麻痺の回復など)が困難な場合でもADLは改善可能であり、リハビリテーションでは重要な評価事項です。  ADLが低いという事は額の視点から見ると介護の負担が大きいことを意味しています。 2.評価法  評価法には疾患を限定しないで用いられるADL評価表が多いですが、疾患に合わせたものもあります。 汎用ADL評価表としては、従来Barthal indexなどが用いられてきましたが、ADLの変化を十分に捉えきれず、現在はFIMやSIASなど、より患者の変化が明確に捉えられる方法へと変化してきました。 ADLとして測られる範囲は、通常セルフケア、排せつ、移乗、移動などが挙げられます。 時にコミュニケーション、社会的認知なども含みます。 さらに複雑な課題として家事、投薬管理、交通機関の利用などを含めることもありますが、これらは日常生活関連活動、すなわち手段的ADL(Instumental ADL:IADL)と称されていて、ADLそのものとはやや異なった扱いを受けることが多くなります。 ADLと一口で言っても、「できる」ADLと「している」ADLがあります。 最高の努力をして「できる」ADLと、日常実際に「している」ADLには差があります。 これにはその動作が本当に身についているか、安全性の問題、本人の依存心、環境の違い(椅子の高さなど)が影響しています。 両者ともに有用ですが、いずれのADLを捉えているのか常に念頭に置く必要があります。 日本の現状としては、各病院独自のADL評価表を使っていることが多いですが、他施設との対話を考えると、統一された評価表を用いることが望ましいと思います。 3.ADL訓練  ADL訓練は病棟においても訓練室においても行われます。従来は作業療法士が技術面で指導を行うことが多かったのですが、現在では看護師及び他のリハビリテー...

ドパミントランスポーター(DA-T)イメージング

ドパミントランスポーター(DA-T)イメージング レビー小体型認知症(DLB)の診断における一つとして、DA-Tイメージングがあります。 DA-Tイメージングは、このDA-Tに結合する造影剤を用いることにより、SPECTを用いてDA-Tの脳内分布を可視化する画像検査です。 欧米では以前より使用され...

リハビリテーションとは

リハビリテーションとは 「毎日リハビリで大変だよ」「リハビリに行ってくるね」「これもリハビリ」と、日常のあちらこちらで聞かれる「リハビリ」の声。 リハビリテーションは「リハビリ」という言葉で私たちの生活に浸透しているように思います。 本来リハビリテーションは「身体的、精神的、社会的に最も適した生活水準の達成を可能とすることによって、各人が自らの人生を変革していくことを目指し、且つ時間を限定した過程である」とWHOで定義されています。 理学療法士などのセラピストの中でも、この定義に関して様々な意見があります。 「時間を限定した過程」という事から、ある一定のGoalに向かっての過程であって、限定的なものであるという意見。 また、リハビリテーションという行為自体が、その方の今後の人生にとって生きがいとなることがあっても良いのではないかという意見。 後者の意見の理由としては、最初の目的が「歩けるようになりたい」という目的で始めたリハビリテーションが、歩けるようになっても「ずっと歩けるように」と、能力維持の為にリハビリテーションを続け、いつの間にか「歩く練習」がライフワークとなるパターンもあるからです。 行為自体がその方の人生にとってどのような役割をなしているのか。 それを考えることが重要だと思います。

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