顔面神経の特異性

顔面神経の特異性

顔面神経には四肢神経にある神経束構造が欠落していて、1本1本の神経線維はたがいに密接しています。

このことは1本の神経線維損傷に注目したセドン分類をあてはめることができます。

脱髄によるニューラプラキシーや神経内膜が温存されている軸索断裂の神経線維では迷入再生は起こりません。 しかし、神経内膜が損傷されている神経断裂では迷入再生が生じます。 神経断裂線維は(40-ENoG)%と数量的に推定されます。

病的共同運動の原因となる迷入再生は、すでに発症時の膝神経節における神経変性とともにはじまっています。軸索断裂線維は3カ月ほどで表情筋に到達します。

このために軸索変性軽症例では、3カ月で表情筋がほぼ正常に改善されます。

神経断裂線維はすこし遅れて4カ月で、過誤支配が病的共同運動として顕在化します。

神経断裂線維の多少によって、病的共同運動が時間差をもって出現します。

そのため、ほぼ正常に改善した症例でも、4~5カ月以降に病的共同運動が顕在化することもあります。

神経の再生突起は、筋の随意運動や収縮した方向に進んでいくと考れています。
神経断裂がある症例では随意運動や低周波電気刺激を積極的に行うことによって神経再生は良好ですが、同時に迷入再生が生じて病的共同運動の原因になってしまいます。


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