姿勢保持の神経メカニズム
感覚器官(視覚・内耳平衡覚・深部知覚)から入力された情報は、中枢(主に脳幹・小脳)で処理され、運動器官(骨格筋など)を適切に動かすことで姿勢が調節・保持されます。
運動器官に問題がない場合は、平衡障害は感覚器官または中枢の異常が疑われます。
開眼時は視覚・内耳平衡覚・深部知覚の三つの感覚入力を利用できるため安定性を損ないにくいのですが、閉眼下では視覚入力がなくなるため内耳平衡覚・深部知覚のどちらかに異常があれば平衡障害を生じやすくなります。
中枢障害では開眼・閉眼での差はあまり目立たないと言われています。
姿勢保持や運動時の体の協調には錐体外路性運動系が重要といわれています。
小脳をはじめ、線条体、淡蒼球、中脳の赤核・黒質などが違いにネットワークを形成し、一部は脊髄へと投射せれています。
前庭脊髄路や網様体脊髄路は錐体外路性運動系の一部で、前庭神経核に入った内耳からの平衡覚情報が脊髄前索を介して脊髄の運動ニューロンへ投射しています。
これらは頸部を含む四肢近位部と体幹の筋を支配することで前庭脊髄反射を通して姿勢の保持に関与し ています。