脳卒中に対する長下肢装具





脳卒中に対する長下肢装具

長下肢装具は膝関節と足関節の二関節をコントロールし、麻痺による膝折れや反張膝、膝屈曲拘縮など、短下肢装具ではコントロールできない重度の下肢機能障害に対して用いられます。

片麻痺患者への長下肢装具処方の目的として、石神らは、①重度の弛緩性麻痺、②重度の深部感覚障害、③半側空間無視、④支持性の低下、⑤関節の変形・拘縮をあげ、代償機能のみでなく、促通効果や治療用装具としての重要性を述べています。

長下肢装具を必要とする症例は、装具の着脱や、立位・歩行時に介助を要する場合が多いため実用性は低いですが訓練用としての利用価値は大きいと思われます。

膝の安定性、支持性が増せば短下肢装具へ移行することを考慮しておきます。

近年は、発症後早期より長下肢装具を治療用装具として起立・歩行訓練に用いた報告も多くみられます。

膝角度は完全伸展位よりも軽度屈曲位(20°前後)にすると患肢のクリアーもよく、股関節に屈曲モーメントを与え、股伸展筋の促通にも効果的と言われています。

膝関節に屈曲拘縮がある症例に対しては、長下肢装具にターンバックルやダイヤルロックを付け、拘縮の矯正に用いる場合もあります。