ハント症候群の予後と治療と予防

ハント症候群の予後と治療と予防

ハント症候群は、ベル麻痺と比較して麻痺が重症であることが多く、治癒率も50~70%程度と不良となります。

そのため、できるだけ早期にVZVの増殖を抑制し、また神経浮腫による顔面神経管内での絞拒を解除することを目的として、抗ウイルス剤とステロイドの併用療法が推奨されています。

Murakamiらは、麻痺発症3日以内に治療を始めた群では完全治癒率が75%、発症4~7日目に治療を開始した群では48%、発症7日以降では30%と有意に低くなり、発症早期の併用療法が有用であることを報告しています。

しかし、ハント症候群の場合、早期に併用療法を開始しても、高度の神経障害が生じ、病的共同運動などの後遺症を呈する例が少なからず認められます。

ハント症候群の治療成績には限界が認められることから予防が重要となります。
2008年に米国CDCは60歳以上を対象に帯状庖疹ワクチン接種を勧奨しています。

また、小児期に水痘ワクチンを接種した後でも帯状庖疹が発症しますが、その頻度はワクチン未接種者に比べ低率であり、また軽症であることが報告されています。 小児への水痘ワクチン接種、高齢者への帯状庖疹ワクチン接種により、ワクチン接種率が高い国では全年齢層において帯状庖疹の発生率が低下し、さらに軽症化することが予測されます。 その結果、ハント症候群の発生率が低下し、顔面神経麻痺と第8脳神経症状が軽症化することが期待できます。

主な末梢性顔面神経麻痺の原因

主な末梢性顔面神経麻痺の原因

特発性
Bell麻痺

炎症
Ramsay Hunt症候群(水痘帯状庖疹ウイルス)、中耳炎(急性、慢性、真珠腫性、結核性)、Lyme病(Borrelia)

腫瘍
神経鞘腫(顔面神経,前庭神経)、耳下腺癌、側頭骨血管腫

外傷
医原性(耳下腺手術、中耳手術、脳神経外科手術)、側頭骨骨折、顔面外傷

全身疾患
糖尿病、Guillain-Barre症候群、Sarcoidosis

X線北大病期分類(大腿・脛骨関節)

X線北大病期分類(大腿・脛骨関節)

Ⅰ Bone spur only

Ⅱ Narrowing of joint space(less than 1/2 normai joint space)

Ⅲ Narrowing of joint space(more than 1/2 normal joint space)

Ⅳ Obliteration of joint space or minor bone attriation (under 1 cm)

Ⅴ Major bone attriation (over 1 cm),’subluxation, or secondary lateral arthrosis

装具適応時の評価項目と効果判定

装具適応時の評価項目と効果判定

装具処方時や変更時の評価として、運動麻痺の回復段階、筋緊張の状態、表在・深部感覚、関節可動域、健・患側肢の支持性、立位バランス、歩行評価、知的レベルや半側空間無視等の高次脳機能障害などがあります。

筋緊張の評価は、臥位や座位の静的状態だけでなく、起立・歩行の動的状態で行います。

可動域は痙縮か拘縮か、徒手矯正可能な柔軟性が残存しているか否かを評価します。

歩行については、歩調、歩幅、歩行スピード、持久力、荷重のシフト等について、処方時、仮合わせ時、完成時に行い、完成後は定期的な評価と、目的、病態の変化に合わせた装具の調整を行い、過度な支持・矯正には十分注意するようにします。

脳卒中の異常パターンに対する装具適応と対策

脳卒中の異常パターンに対する装具適応と対策

足趾の過度の屈曲に対しては、屈曲による痛みが生じる場合があるので靴のトゥボックスを拡げてたいおうします。

尖足・内反尖足に対しては、痙縮や変形が軽度の場合は、フットアップスリング等の軟性装具で対応できる場合もあります。

軽度から中等度の痙縮による変形に対してはプラスチック製または金属支柱付きの短下肢装具が適応となります。

徒手や体重支持でも矯正が出来ない場合は、尖足では程度に応じて踵部を補高し、内反足に対しては短下肢装具と外側Tストラップで矯正したり、徒手矯正可能な場合は外側に、不可能な固い例に対しては内側にウェッジを靴にインサートして対応します。
外反足に対しては内反足と逆の対応を行います。

膝過伸展(反張膝)に対しては、継手付きの短下肢装具では、足継手を後方制動にして足関節を背屈位に保持し、膝関節が屈曲する方向に制御するようにします。

膝折れに対しては、足継手を前方制動にして足関節を底屈位に保持し膝が伸展する方向に制御します。

遊脚期でのつま先引きずり、分まわし、棒足歩行に対しては、健側靴の補高や足関節を背屈保持し、内反や尖足の予防・矯正を行ない、痙縮の程度により装具を選択します。

長下肢装具の使用例では膝を軽度屈曲位にすると患肢のクリアーが容易になり、踵接地時の不安定性も軽減されます。
足関節固定時には装具靴をロッカーボトム様にすると踏み返しが良くなります。

脳卒中と膝装具

脳卒中と膝装具

脳卒中に対して単独で適応する事は少なく、短下肢装具と組み合わせて使用する場合があります。

起立歩行時に膝過伸展(反張膝)がみられる場合や不安定膝、膝屈曲拘縮時に適応となります。

反張膝に対しては軽度屈曲位(10~15。)に保持し対応します。

屈曲拘縮に対しては膝装具にダイヤルロック、ファンロック、ターンバックルを用いて矯正する場合もあります。

膝装具には、スウェーデン式、TKS、SK式、HRC膝装具などがあります。

反張膝、屈曲拘縮は下肢三頭筋やハムストリングスの痙縮の影響により歩行時に増強する場合が多いので金属支柱付き短下肢装具か長下肢装具で対応したほうが良いです。

プラスチック短下肢装具

プラスチック短下肢装具

1970年代より熱可塑性の高密度ポリエチレン(オルソレン、サブオルソレン)やポリプロピレンの装具への導入や加工、真空成形法等の製作技術の進歩により急速に普及し、多種多様な装具が発表されています。

プラスチック短下肢装具を形態で大別すると、①後方支柱タイプ、②前方支柱タイプ、③側方支柱タイプ、④らせん状支柱タイプの4つに分類されます。

後方支柱タイプは最もポピュラーであり使用頻度も多く、shoe-horn typeやEngenのTIRR typeがあり、硬度は材質の厚みや後部支柱の幅のトリミングで調節されます。

前方支柱タイプには湯之児式やKU式があり前足部を挿入する形態になっており、背・底屈の可橈性は僅かですが、装具や靴の着脱が容易です。

側方支柱タイプにはたわみを利用したSaga typeがあり、たわみ部分が生理的足堅等軸に近く背・底屈の補助や抵抗に作用します。

らせん状支柱タイプは動作時に下腿への支柱の巻き付きや巻き戻りなど、装具自体のたわみで足部をコントロールします。
らせんタイプと半らせんタイプがあります。

脳卒中に対する短下肢装具

脳卒中に対する短下肢装具

脳卒中に対して最も多く処方される装具です。
金属支柱付き装具と、著しい発展を遂げているプラスチック装具があり、足継手なしと足継手付きがあります。

金属支柱付き短下肢装具は、弛緩性麻痺、中等度から重度の痙性麻痺や足部内反、外反のある例、重度の感覚障害がありプラスチック装具では対応出来ない症例に対して処方されます。 また、軽度から中等度の反張膝や膝折れ、膝屈曲拘縮を合併した症例にも適応となります。

足継手にはクレンザックやダブルクレンザックを用いて、足関節部の可動域の制限とバネを用いて底背屈の補助を行ないます。

痙縮や拘縮、内反尖足が強い症例に対してはロッドに替えて底屈方向への動きを制限する後方制動を行ないます。

また、内・外反が強い例に対しては外側・内側のT又はYストラップにより制限します。

初期の足関節不安定時は足部固定にした方がよいと言われています。

反張膝に対しては軽度(0~10°)底屈制限・後方制動を行ない、膝折れや軽度の屈曲拘縮には背屈制限・前方制動に足継手を調整し、膝のコントロールを図るようにします。

金属支柱付き短下肢装具は固定性、制動性が良く病態が変化しつつある時期に装具の持つ機能調整が行なえ、多様な対応が可能であり、装着効果も良いです。

下肢装具の膝・足継手と適応

下肢装具の膝・足継手と適応

○膝継手
伸展制限付:膝関節側方不安定、反張膝膝折れ、膝関節の安静、固定

伸展制限付(オフセット):膝伸筋筋力低下、膝折れ防止

ダイヤルロック付:膝関節の屈曲拘縮、伸展拘縮


○足継手
遊動式:足の側方不安定

底屈制御付:下垂足、底屈筋痙縮、反張膝

背屈制御付:底屈筋力低下、背屈筋痙縮、膝折れ

底・背屈制御(含固定):足関節周囲筋の高度筋力低下足関節不安定、足関節の安静・固定

底・背屈補助付:足関節周囲筋の筋力低下、底・背屈筋、膝伸筋力の変化時期

脳卒中に対する長下肢装具

脳卒中に対する長下肢装具

長下肢装具は膝関節と足関節の二関節をコントロールし、麻痺による膝折れや反張膝、膝屈曲拘縮など、短下肢装具ではコントロールできない重度の下肢機能障害に対して用いられます。

片麻痺患者への長下肢装具処方の目的として、石神らは、①重度の弛緩性麻痺、②重度の深部感覚障害、③半側空間無視、④支持性の低下、⑤関節の変形・拘縮をあげ、代償機能のみでなく、促通効果や治療用装具としての重要性を述べています。

長下肢装具を必要とする症例は、装具の着脱や、立位・歩行時に介助を要する場合が多いため実用性は低いですが訓練用としての利用価値は大きいと思われます。

膝の安定性、支持性が増せば短下肢装具へ移行することを考慮しておきます。

近年は、発症後早期より長下肢装具を治療用装具として起立・歩行訓練に用いた報告も多くみられます。

膝角度は完全伸展位よりも軽度屈曲位(20°前後)にすると患肢のクリアーもよく、股関節に屈曲モーメントを与え、股伸展筋の促通にも効果的と言われています。

膝関節に屈曲拘縮がある症例に対しては、長下肢装具にターンバックルやダイヤルロックを付け、拘縮の矯正に用いる場合もあります。

脳卒中に対する下肢装具の目的

脳卒中に対する下肢装具の目的

脳卒中では、発症から経過、時期によって病態が大きく変化します。 発症初期の弛緩期から筋緊張が亢進し痙性麻痺に変化していく例が多いです。

また、慢性期には拘縮や変形などの二次的合併症を伴う例もあり、装具の目的も発症からの時期により異なってきます。

急性期で弛緩性麻痺のために、起立や歩行が困難な症例に対しては下肢に支持性、安定性を与えることが主目的であり、慢性期で痙縮や拘縮が起立や歩行を阻害する場合には痙縮のコントロールや変形の予防・矯正等の目的も加わってきます。

一般的には、体重の支持、変形の予防、変形の矯正、不随意運動のコントロールが挙げられているが、脳卒中患者に対する処方目的としては、立脚期の安定を得やすくし、歩行時に床からのつま先離れを容易にして正常歩行パターンに近づけるなど、より具体的になっています。 脳卒中片麻痺患者の起立、歩行能力に影響を与える要因として、脳の損傷部位とその広がり、高次脳機能、感覚機能、平衡機能、年齢等が挙げられますが、運動麻痺の程度や回復段階、下肢の支持性など、個々の症例により様々な病態を持つため、機能に合った装具、目的に沿った装具を十分検討し、症状に合致しない装具や過度の装具(over bracing)にならないよう注意する必要があります。

脳卒中片麻痺と肩装具

脳卒中片麻痺と肩装具

脳卒中片麻痺においては、弛緩麻痺の場合は特に肩関節の亜脱臼を生じやすいと言われています。
また、麻痺により良肢位保持が困難なためにADLに支障が生じることがあります。
そこで一般的に用いられるのが三角巾です。
しかしこの三角巾ですが、実際に使用してみると意外に装着が難しく、装着の仕方にバラつきが生じ、装着する人により肢位が異なってしまう場合もあります。
そのような際には市販のアームスリングを用いると対応が統一でき良いです。
アームスリングの中にはワンタッチで固定でき、一度肢位を設定すればその後は常に同一肢位で上肢を保持することができるものがあります。

起立性低血圧

起立性低血圧

起立性低血圧は臥位または座位から立位直後(数分以内)に血圧が低下して失神する病態です。

圧受容器反射系の機能異常(低下)もしくは循環血液量の過度の低下に起因します。

診断基準として起立3分(5分)以内に収縮期血圧の20mmHg以上の低下(もしくは収縮期血圧90mmHg未満)、拡張期血圧の10mmHg以上の低下とされています。

起立性低血圧の原因として、①特発性自律神経障害(純粋自律神経失調、Shy-Drager症候群、Parkinson病など)、②二次性自律神経障害(加齢、自己免疫疾患、腫瘍性ニューロパチー、多発性硬化症、糖尿病、アミロイドーシス、アルコール中毒、腎不全、神経性感染症、代謝性疾患などによる)、③薬剤性および脱水症性(利尿薬、α遮断薬、Ca拮抗薬、ACE阻害薬、硝酸薬、抗うつ薬、節遮断薬、精神神経作動薬、アルコールなど)がありますが、薬剤性および脱水に起因するものが最も多いと言われています。

通常は起立による血圧低下に伴って代償性に頻脈となりますが、神経疾患による純粋な自律神経失調では低血圧に伴う心拍数の上昇が欠如しています。

SEIQoL-DWの概要

SEIQoL-DWの概要

SEIQoL-DWは、半構造化された面接によって行われます。

手順は、①検者はまず、個人のQOLを決定する最も重要な5つの生活の領域(キュー)を回答者から引き出す、②さらにそれぞれの領域の満足の程度(レベル)を引き出す、③その出された5つの領域の重みづけを引き出します。

③ではディスク(円盤)を利用して、面接者にそれぞれの領域の相対的な重要性を決定してもらいます。

さらにそれぞれの領域(キュー)の、満足度(レベル)と重みを掛け合わせ積を求め、総計することも可能です。 <SEIQoLインデックス=Σ(レベル×重み)〉

この評価スケールを用いQOLを量ることにより、QOL向上を目的とするリハビリテーションプログラムの立案と評価の一助となります。

ALSに対する運動療法

ALSに対する運動療法


ALSの特に運動療法を考える上で、重要な3つの事項があります。

①筋力および動作訓練


機能訓練の効果は正常者での効果ほど著明ではなく、またその処方は安全な範囲でなされ、disuseあるいはoverworkによる機能低下に注意しなければならないとされています。
Bello-Hass VDらによりALSの筋力トレーニングは有用性が示されていますが、そこでもMMT3以上と考察されています。しかし、運動が積極的に行えない状況下においても、運動を行っていないわけではありません。
目的が筋力強化・向上だけでなく、機能維持や心理的な効果も期待できるためです。
exerciseを低強度で行い自信や満足感を得ることも運動療法の1つとの考えもあります。

②合併症の予防


TPPV施行のALS症例の予後は大きく改善し、現在では80%以上の10年生存率が期待できるようになっています。安心した長期の療養生活を送るためには合併症の対策をしなければいけません。

人工呼吸器装着ALS患者の肺合併症として、箕田は、①気管支の閉塞・換気障害、②人工呼吸器関連肺炎(VAP)、③無気肺・胸水を挙げています。

この中でもVAPはTPPV施行ALS症例の直接死因の一位(33.3%)となっています。

肺理学療法(呼吸リハビリテーション)の目的は、

  1. 呼吸筋力の強化と維持
  2. 胸郭の柔軟性の維持・肺の弾性維持
  3. 排疾・(窒息・肺炎・無気肺などの)合併症の予防
  4. 心地よさ
  5. 代償的手段の使用による運動量の維持(ADLの維持・向上)
  6. 定期的な呼吸機能評価や呼吸理学療法によって、患者自身が呼吸状態を把握し、治療選択や、感染、誤嚥・窒息などのリスクに対して判断対処する

といった肺合併症の予防を含めた6項目が挙げられています。
記載されているTPPV管理下で行える呼吸リハビリテーション手技は大きく2つに分かれます。

1つ目に胸郭可動性・肺弾性維持のための手技と、2つ目に排疾法としての手技です。
これらを行うことで合併症を予防し安全で充実した生活を行うことが必要と考えられます。

③緩和ケア(QOLの向上を目的として)について


緩和ケアとはWHOの定義(2002年)によれば、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題を早期に発見し、的確なアセスメントと対処(治療・処置)を行うことによって、苦しみを予防し、和らげることで、クオリティ・オブ・ライフ(Quality Of Life:QOL)を改善するアプローチとされています。
これでは消極的な印象を持つ方もいるかもしれませんが、WHOは1998年と2002年にそれぞれ緩和ケアの定義を出しており、2002年の新しい定義ではく予防という言葉が入り、言わば、攻めの姿勢も必要としています。 つまり、リハビリテーションであれば、人工呼吸器装着による肺合併症やROM制限また高頻度に出現するといわれる疼痛などを積極的に予防しながら、精神的・社会的に働きかけ、QOLの向上を図るというものであると考えられます。
個人別QOLの評価としては、SEIQoL-DW(SEIQoL-direct weighating)等があります。

失神患者の高リスク基準

失神患者の高リスク基準

1.重度の器質的心疾患あるいは冠動脈疾患:心不全、左室駆出分画低下、心筋梗塞歴

2.臨床上あるいは心電図の特徴から不整脈性失神が示唆されるもの
 ①労作中あるいは仰臥時の失神
 ②失神時の動悸
 ③心臓突然死の家族歴
 ④非持続性心室頻脈
 ⑤二束ブロック(左脚ブロック、右脚ブロック+左脚前枝or左脚後枝ブロック)、 QRS≧120msのその他の心室内伝導異常
 ⑥陰性変時性作用薬や身体トレーニングのない不適切な洞徐脈(<50/分)、洞房ブロック
 ⑦早期興奮症候群
  ・QT延長or短縮
  ・Brugadaパターン
  ・不整脈原性右室心筋症を示唆する右前胸部誘導の陰性T波、イプシロン波、心室遅延電位

3.その他:重度の貧血、電解質異常等


循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011年度合同研究班報告)失神の診断・治療ガイドライン(2012年改訂版)より。

失神の定義

失神の定義

失神は急性および可逆性の全般的な脳血流低下に起因する一過性意識消失と定義されます。
一過性意識消失は失神と非失神に分かれ、前者には心原性失神、起立性低血圧、反射性失神が含まれ、後者にはてんかん、代謝性疾患、過換気症候群、心因性等によるものが含まれます。
しかしながら、両者の鑑別は必ずしも容易でなく診断が困難な場合もあります。

小脳半球症状と小脳虫部症状

小脳半球症状と小脳虫部症状

小脳半球症状
代表的なものは運動失調と呼ばれ、大脳の障害時のような手足の筋力低下や、感覚障害がないにもかかわらず、スピードや力加減がうまくいかないためにスムーズな動きをすることができず、日常生活動作が不器用になってしまう(測定異常、共同運動障害、反復拮抗運動不能、筋緊張低下、無力、企図振戦)。
これらは大脳の場合と異なり、例えば右の小脳半球の障害によって右の上下肢に障害が現れ、起立時や歩行時に障害側に倒れやすくなってします症状が現れる。
さらに発声筋の協調運動障害も起こるため、緩慢でリズムが悪く、とぎれとぎれで抑揚の不自然な発語になる(構音障害)。
その他、障害側を向いたときに顕著になる水平性眼振も特徴的である。

小脳虫部症状
体幹失調と呼ばれ、立位や座位などの姿勢保持が困難になり、歩くときに両足を開いて酔っ払いのようによろめきながら歩行する(開脚歩行)のが特徴となる。
その他、構音障害や頭部の振戦がみられる症状がある。

脳出血と高血圧

脳出血と高血圧

脳出血は脳の血管が破綻して、脳の中に出血を起こすことにより、半身の麻痺や言葉の障害などを起こす病気である。

脳出血の8割以上は高血圧が原因で、血圧が高いことにより脳の中の細い血管がもろくなり、脳出血が起こりやすくなる。

脳出血の発症を予防するためには、定期的に健康診断などを受けてもらい、高血圧がないかをチェックすることが大切である。

高血圧がある場合には、塩分制限・カロリー制限を中心とした食事療法や、有酸素運動を中心とした運動療法により、至適血圧を目指す必要がある。

最初から収縮期血圧が160~180mmHgを超える場合、多くの危険因子を合併している場合や、食事療法や運動療法で血圧管が不十分な場合には、降圧薬の内服を開始して至適血圧を目指すことになる。 至適血圧に管理することで、多くの脳出血を未然に防ぐことが可能となる。

至適血圧は下記を参照下さい