皮質性血管性認知症の食支援
中大脳動脈などの主幹動脈が閉塞することによって、主に大脳皮質に梗塞巣が多発して生じる認知症を指します。
脳梗塞などの病巣に対応する皮質部位の障害と血管性認知症に共通してみられる遂行機能の障害を呈します。
皮質の言語野の障害のために失語を呈している場合や運動野の障害のために四肢麻痺を生じている場合には、臨床的に認知機能障害を重度に判定してしまうことがあり注意が必要です。
その場合でも、記憶障害が軽度であり人格も保たれている症例は多いです。そのため、遂行機能障害のために食事に時間がかかったとしても、ぞんざいな態度をとってはいけません。
さらに、食事の嗜好の主張がはっきりしていたり、食事の介助者によって反応が異なったりするといった症状にもつながります。
両側に病巣が存在する場合は、偽性球麻痺を示すことがあり脳卒中の嚥下リハに共通したアプローチが必要となります。
ただし、認知症のために意思疎通が困難であることが多いことから、患者自身が行う訓練や嚥下代償法は適応できないことが多いです。
マッサージや他動的な関節可動域(ROM)訓練食事時のポジショニングなど、介助者が主体となって行える支援を選択します。