記憶障害 認知リハのガイドライン
1)外的補助手段を使いこなす訓練は勧められる(グレードA)
記憶障害を補う方法としてメモやスケジュール管理などの外的補助手段の利用は毎日の記憶の問題を軽減し、生活の質を高めるとするエビデンスの高い研究報告がある(Ia)。 ただし、これらの補助手段を使いこなすためには、記憶障害に関する病識、補助手段を使いこなすための知能、病前あるいは受傷前にメモなどを利用していたという経験が必要であると考えられる。
2)失敗を経験しにくい配慮をした学習方法は勧められる(グレードB)。
リハにおいて新規の学習を行う場合、失敗経験をなるべくしないように配慮して学習(errorless learning:EL)した方が、試行錯誤を通して学習するよりも習得が早い。ELを行う上での工夫は、 (i)目標とする作業を細分化し各ステップを明確にする (ii)作業を行う前に、十分にモデル(見本)を提供する (iii)作業を行うにあたって、なるべく推測(思考)をしないように指導する (iv)誤りがあったら即座に修正する (v)徐々に手がかりを減らす ことである。
記憶障害が重度の場合は、ELが、日常の記憶障害に関する問題を軽減する上で効果がある。しかし、遂行機能障害が重度の場合は、ELの効果は少ない。