COPDは長期間のタバコ喫煙によって生じる進行性の慢性呼吸器疾患であり、世界中で有病率ならびに死亡率が増加しています。
COPDという疾患名に対する認知度は低く、大多数の患者が未診断、未治療のままの状態に置かれています。
COPDの特徴は正常に復すことのない気流制限です。
診断基準に「気道可逆性試験後の1秒率が70%未満であること」が含まれるため、COPDが疑われる症例では気道可逆性試験を行う良いですが、気道可逆性試験後の1秒率が70%未満であっても必ずしもCOPDと断定できないため注意する必要があります。
慢性喘息や高齢者喘息では固定化した気道狭窄によって、安定期や気管支拡張薬吸入後でも1秒率が70%に至らない症例があるためです。
喘息とCOPDはしばしば合併しうるため両者を完全に鑑別することは難しいです。
気管支喘息の特徴の一つに可逆性の気道狭窄があります。可逆性とは、喘息発作時には気道平滑筋収縮によって気道狭窄が引き起こされるが、適切な治療効果の影響もしくは非発作時は気道狭窄を認めないことをいいます。
気道可逆性検査では、β2アドレナリン受容体刺激薬(β2刺激薬)もしくは抗コリン薬を吸入させ、その前後でスパイロメトリーを行い、1秒量の改善量、改善率を比較します。
β2刺激薬をスペーサーに2噴霧して吸入することが推奨されています。
吸入液をネブライザー吸入する方法も広く行われている。β2ケ年薬は吸入してから15~30分後、抗コリン薬であれば30~60分後にスパイロメトリーを再検して評価します。
1秒量の改善率が12%以一上かつ量の変化が200mL以上増加したとき気道可逆性陽性と判断されます。
しかしながら、気道可逆性試験が陰性だからといって気管支喘息が否定される訳ではありません。
安定期の気管支喘息では可逆性試験が陰性であることが多いのです。
気管支拡張薬などの喘息治療薬は可逆性試験の結果に影響します。
このため、試験前に一定の弾薬期間を設けることが推奨されています。