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前負荷 (preload)(≒循環血液量)

前負荷 (preload) (≒循環血液量)

前負荷は、心室の心筋に静止張力を生じさせる負荷です。
具体的には心室の拡張終期圧が相当します。
代表的な評価は、右心系には中心静脈圧(central venous pressure:CVP)、左心系
には肺動脈討入圧(pulmonary arterial wedge pressure:PAWP)があります。
前負荷の大きさは循環血液量により決まり、前負荷と心拍出量との関係では一般にFlank-Starlingの法則が適応されます。
そのため、前負荷は、循環血液量の評価として活用できます。
中心静脈圧は右心房圧であるため、その後右心室から送り出される肺(小)循環に対する前負荷の評価となります。
肺動脈肉入圧は左心房圧であるため、その後左心室から送り出される体(大)循環に対する前負荷の評価となります。
中心静脈圧の測定は、カテーテルを無菌的に胸腔内大静脈(右心房近傍)へ挿入し、静脈圧を測定します。

その基準値は2~6mmHgです。

肺動脈襖入圧の測定は、スワンガンツカテーテルで、バルーンを肺動脈内にふくらませたときに得られる圧です。

基準値は4~12mmHgです。

Flank-Starlingの法則により、拡張期に心室に入る血液が多いほど心拍出量は増加します。各々の血管の圧は、血液が内側から血管壁を押す圧力です。
同じ太さの血管であれば、流れる血液量が多くなると血管の圧は上昇します。
中心静脈圧や肺動脈模入圧は、心房に戻ってくる手前の圧です。従って、心房に戻ってくる循環血液量を反映します。
中心静脈圧や肺動脈襖入圧が高ければ、多くの循環血液量が戻ってきており、Flank-Starlingの法則により心拍出量は増加します。

急性期患者は侵襲に対する身体防御反応により循環血液量が減少することが多いです。
前負荷の評価は、急性期理学療法を実施するための循環動態評価の重要項目となります。

尿量を把握することは重要です。
腎は、循環血液量を調整する機能があります。
循環血液量が減少すると、尿量を減少させ循環血液量の喪失を防止し、腎での水分の再
吸収が促進されます。
尿量の最低限の基準として、0.5~1.0ml/kg/Hrは必要です。
例として、体重60kgの患者の1時間当たりの尿量は、最低限で
も30mlが必要です。
もし、この患者の1時間当たりの尿量が20mlであれば、循環血液量は減少し
ていると捉えることができます。
腎機能が正常である前提のもと、尿量が減少している場合は、循環
血液量は減少している可能性があります。

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