サルコグリカノパチー (sarcoglycanopathy)





サルコグリカノパチー(sarcoglycanopathy)

筋線維膜にはサルコグリカンという糖蛋白質が発現しています。
α、β、γ、δの4つのサルコグリカンからなるサルコグリカン複合体がジストロフィン軸を側方から支えるようにして存在しています。
これらのサルコグリカンはそれぞれ異なる遺伝子によってコードされていますが、何れのサルコグリカン欠損によっても基本的に全てのサルコグリカンが複合体ごと欠損してしまいます。
サルコグリカンが欠損すると、生化学的にジストロフィンとβ- ジストログリカンの結合が弱まることが知られているます。
ジストロフィンとβ- ジストログリカンの結合が弱まるというのは、ジストロフィン軸の筋線維膜を補強するという機能的な側面からは、ジストロフィンが欠損したのと同義となります。
サルコグリカノパチーは当初「常染色体劣性の重症小児筋ジストロフィー」として報告されました。これはすなわちDuchenne型に似ていますが常染色体劣性遺伝形式を取る筋ジストロフィーであることを意味しています。
実際には、Duchenne型よりは軽症の例が多く、むしろBecker 型やDuchenne型の症候性保因者などの鑑別に重要です。
サルコグリカノパチーは現在、肢帯型筋ジストロフィー(2C~2F型)に分類されています。