意の障害 前頭葉症状
前頭葉には運動中枢である運動野、前運動野が存在します。
一方、欲求と関係の深い大脳辺縁系と前頭葉の間には密接な相互線維連絡があります。
前頭葉は、個体に行動を起こしたいという欲求が生じた時、それを実際の行動に移す働き(欲求→行動変換過程)を前頭葉は担っています。
前頭葉損傷によって、欲求→行動変換過程に障害が生じます。
この変換過程で重要な役割を担っている神経伝達物質はドーパミンと言われています。ドーパミンの過剰あるいは不足によっても変換過程に障害が生じと言われています。
欲求が生じるとすぐ行動に変換されてしまう(脱抑制)、あるいは欲求によって引き起こされた行動がそのまま持続する(保続、無動)という症状が多いです。
中には逆の症状があります。特定の刺激に注意を集中すること出来ず、課題とは関係ない刺激に注意を向け反応してしまう。この現象は「転動性」と呼ばれています。
刺激が提示されるとすぐに反応してしまう現象も認められます。環境依存症候群です。
すなわち、前頭葉損傷に伴って生じる意の障害は「状況に応じた適切な反応をなしえない」ことではないでしょうか。
これは状況を正しく認識しえないことに原因がある場合もありますが、状況の認識が正しいにも拘われず不適切な行動が生じることが前頭葉損傷者の特徴です。
環境に適応するためには、状況に応じて行動を開始し、停止し、また状況が変化すればそれに併せて行動も変化させる必要があります。この機能は「遂行機能」と呼ばれています。前頭葉損傷者では顕著な遂行機能障害が認められます。
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