Duchenne型筋ジストロフィーでは、約半数の例で処女歩行が遅れるとされています。典型的には、3~5歳頃に腰帯筋筋力低下による転びやすいなどの症状で気付かれることが多いとされています。
この時期の筋力低下の検出には、腰帯筋筋力低下を鋭敏に捉えるGowers徴候が有用です。
歩行可能時期には、多くの例で腓腹筋の肥大を認めます。
やがて骨格筋障害が進行して動揺性歩行を示すようになり、更には10歳前後で歩行不能となります。
横隔膜を中心とする呼吸筋も障害されるために拘束性換気障害を来たします。
以前は呼吸不全により20歳までに死亡するとされていましたが、近年は呼吸管理法の発達により平均寿命は大幅に延長し、30歳を超えて生存することが普通になってきています。
20歳代になると拡張型心筋症が出現してきます。
現在では心不全が死亡原因の多くを占めるようになってきており、心不全症状をより適切にコントロールできれば、更に寿命を延長できるのではないかと考えられています。
検査所見では、血清クレアチンキナーゼ(CK)が高値を示します。数千IU/lのことが多いが、発症早期では1万IU/lを越えることも希ではありません。
近年では、無症状の時期にたまたまCKが測定されて、そこから診断に至る例も増えてきています。