反響現象 前頭葉症状
両側前頭葉損傷の患者では、以下の反響現象が認められます。
1)反響行為
検者の行為を反射的に繰り返す。
2)反響言語
検者の話かけや質問に対して、それに適切に答えることなく、話しかけや質問をオウム返しにそのまま発話する現象。
3)反響書字
言語刺激に対してオウム返し的に書写する現象。
①視覚性反響書字
書かれた文字を見て書写する
②聴覚性反響書字
聞こえたものを書きとめる
の二型がある。
4)強制読字
眼にする文字を全て音読する。
反響現象 前頭葉症状
両側前頭葉損傷の患者では、以下の反響現象が認められます。
1)反響行為
検者の行為を反射的に繰り返す。
2)反響言語
検者の話かけや質問に対して、それに適切に答えることなく、話しかけや質問をオウム返しにそのまま発話する現象。
3)反響書字
言語刺激に対してオウム返し的に書写する現象。
①視覚性反響書字
書かれた文字を見て書写する
②聴覚性反響書字
聞こえたものを書きとめる
の二型がある。
4)強制読字
眼にする文字を全て音読する。
強迫的言語応答 前頭葉症状
物品や検者の動作が提示された時、強迫的にことばで応じてしまう症状のことを言います。物品の場合は呼称し、手を振る動作のときは「バイバイ」、チョキの時は「チョキ」、「Ⅴ」あるいは「に」などと言語化するものをいいます。
患者は異常に気付いていて、禁止された場合に止めようとし、また自ら止めたいという意思を示しますが抑制することは困難となります。
把握行動 前頭葉症状
患者の眼前に検者の手を置き患者の手に触れると患者が反射的に検者の手を握る行動です。重症例では、検者が手を動かすとそれに合わせ立ち上がって検者に近づいたりします。患者に手を握らないように指示しても患者の運動を止めることは出来ません。
利用行動 前頭葉症状
周りにある物品を患者が勝手に使ってしまうことを言います。患者は目前にあるコップで水を飲んだり聴診器を触ったりします。物品の使用を禁じてもしばらくすると同理由を尋ねられると「物品を差し出されたので使用しなければならないと考えた」と答えます。この行動は強迫的なものではなく、患者の意思にある程度左右されます。タバコのケースとライターがあるとすると、喫煙者はタバコを吸う行動をするが、非喫煙者はタバコを吸いません。
リドックらは利用行動動に関する実験的検討を行いました。
被験者の右または左にコーヒーカカップを取るこという実験です。
前頭葉損傷者はカップの取手が右にあるとその置かれた位置に関係なく右手でカップを取り、取手が左にあると左手でカップを取る誤りを示しました。カップを伏せて提示する条件、筒状の物体に取手を付けた刺激を提示する条件ではこの誤りは減少しました。
すなわち、利用行動は刺激の親近性、および課題と関連した刺激の布置に依存して出現します。 類似の現象として、物に触れるか物を見ることで本人の意思とは関係なくそれを使用してしまう行動を森らは「道具の強制使用」として報告しています。
利用行動について、レールミッテは患者の環境への依存性の亢進であると考えました。患者は環境からある行動をするよう命令されているように感じ、そのように行動してしまう。これは人間の行動自律性の障害であるとされています。欲求がないのに行動だけが生起してしまう症状です。 利用行動は通常両側性あるいは左右い用ずれかの前頭葉病変で生じます。皮質下損傷でも利行動が生じることが報告されています。特に前頭葉皮質下の変性疾患で多く認められます。
模倣行動 前頭葉症状
患者が指示なしに検者の行為を模倣する行動です。
頭をかく、指で鼻の頭を触る、足でリズムを取る、など様々な行為が模倣されます。
患者は自分で不適切と判断した行為は模倣しないが、「こんな事はしてはいけない」と言いながら不適切な行為(公共の場所での放尿など)を模倣する例もあります。
何故模倣するのか訊ねられると、「先生がしているから」とか「真似しないといけないと思った」などと答えます。
患者は行為が不適切であることは認識しており、模倣するよう求めると却って模倣を拒否する場合もあります。
前頭葉損傷と関連することは明らかですが、責任病巣の詳細については、①両側前頭葉前下方領野、②前頭葉背外側部、③前頭前野内側および外側部、など諸説あり、一致は見られてません。
行動反復 前頭葉症状
前頭葉損傷者における環境依存性亢進は単一の動作や行動のみならず、複雑な目的的行動にまで及ぶ場合があります。
森は次の例を記載しています。
患者は、手洗いを見つけると中に入り、水道の栓をひねり、石鹸で手を洗い、タオルで手を拭く、という一連の行動を反射的に行った。
この症例では、水道の栓が再びトリガーとなり一連の行為が同様に繰り返されました。
患者は異常に気付いていて、止めたいという意思を示す場合が多いが、注意の転導性が高いために外的刺激に不必要に注意が向いてしまい、また抑制を維持することも困難で、同じ一連の動作を何度も繰り返すことになります。
ピック病では、短絡的、固定的的、脱抑制的とみえる行動が実行されます。
池田は次の例を記載しています。
患者は決まった時間になると決まった道順で必ず散歩に行く。あるいは孫宅を訪ねる時、必ず決まった店で決まった数量だけ決まった巻き寿司を買い土産とする。この行動を常に繰り返す。
池田は、おそらく最初は目的適合的であった行動がその目的が達成された後でも繰り返されてしまうのであろう、と考察しています。
強制収集 高次脳機能障害
環境依存性亢進の結果として、必要のない物品を多数収集して保管する行動が出現します。
コーエンらは前大脳動脈・動脈瘤破裂後10年間にわたって自動車を盗み続け、自宅に保管していた症例を報告しています。
患者は多数の自動車を盗んでも売却することなく保有していました。窃盗罪で何度か懲役刑に処せられたが自動車窃盗を止めることはなかったそうです。
ヴォッラらの症例は両側性の眼窩部および前頭極病変例で様々の家電製品を多数自宅に保管していました。
彼の自宅の全ての部屋は家電製品で埋まっていました。
これらの患者はむやみやたらに何でも収集する訳ではありません。
特定の対象だけを収集します。
前頭葉背外側部が損傷されていない ため行動計画能力は保たれていることによると考えられます。
環境依存症候群の機序
レールミッテによれば、環境依存症候群は通常の検者―患者関係よりも複雑な状況で生じやすいといわれています。
彼の自宅を訪問した患者は絵が壁から外れているのを見て釘とハンマーで絵を壁に固定した。
寝室を見せると、衣服を脱いでベッドに寝てしまった。まるで自宅にいるかのごとく振る舞った。
患者は、①自分の置かれている状況が理解出来ず(状況無視)、②環境刺激からの影響を排除出来ない(環境固着)。この事実は環境依存症候群が診察室でのみ見られる特殊な現象ではなく、日常生活でも出現する現象であることを意味します。
ピロンとデゥボアは次のように考察しています。環境依存症候群は前頭葉損傷者で生じる。それは行動の自律性の喪失である。患者の行動は環境刺激によって容易に誘発され、患者はそれを抑制出来ない。前頭葉は刺激―反応の結合を抑制して目的適合的な行動へ変容する働きをする。この時、自己の内的状態(大脳辺縁系および眼窩野で処理される)と環境からの情報(頭頂葉の感覚連合野および前頭葉背外側部で処理される)の両者に配慮する必要がある。すなわち前頭葉と頭頂葉の間の力動的な相互作用が必要である。前頭葉損傷者ではこの相互作用が失われて頭頂葉からの情報のみによって自動的な行動が触発される。環境依存症候群は前頭葉―頭頂葉間の相互抑制過程の障害による接近―回避不均衡に起因する症状であるとされています。
看護業務の定義
看護業務とは地区の看護の必要性をみたすところの総合的な保健組織の一部である。
看護業務の主なる目的は、疾病予防と健康増進に必要なナーシング・ケアーであり、患者の要求するナーシング・ケアーとは、患者の精神的、肉体的慰安や患者を苦しめているその原因に関心をもつこと等である。看護は患者の総合的ケアーの一部にすぎない。看護活動は医師や医療社会事業家その他の働く人と協調をしなければならない。ある場合看護師は、時には通常他の者によってなされる仕事をしなければならないときがある。又ある時は看護師の仕事のある部分を、より軽度の教育をうけた他の看護要員にわたさなければならないときもある。更に補助者が看護師の行うべきことをしなければならないこともある。すべてこれらの場合患者を中心として患者の必要性と事業のなしうる限界の範囲において看護の機能の委任と遂行が決定される。
看護管理者の階層
看護管理者には、上級管理者、中間管理者、第一線監督者の3つの階層がある。
それぞれの階層には、当該組織によって定められた職位名があるが、看護サービス提供組織は、第一線でサービスを提供する者への権限委譲が必要とされるため、階層制を少なくし、分権化することが求められる。
そのため、中間管理職、第一線監督者等を統合した階層の少ない組織の構築も行われるようになっている。
看護管理者の機能
看護管理者の機能は、看護職のもつ能力が有効に発揮され、直接の業務が円滑に遂行され、24時間最良の看護が提供されるよう、組織の系統、権限及び責任を明らかにし、人事・設備・備品・労務環境を整えることである。
「看護管理」を専門とした職務を担う者が看護管理者と称されるため、看護管理は管理者の職位にある者の仕事であるという認識があるが、看護管理の視点は、管理者に限定せず、また一般スタッフやスペシャリスト等の職種を問わず、あらゆる看護職に必要なものである。
近年、対象者のQOL向上及び経営管理の視点から、効果性の高い看護管理、チーム医療の推進等が求められるようになったことに伴い、看護の質向上に寄与する看護管理の視点はますます重要になっている。
看護管理者に求められる能力は以下の3つである。
専門的能力:当該組織の目的達成のために必要な実践上の知識と技術(管理レベルが上昇するにつれ必要度が低くなる)
対人的能力:他人と協調して効果的に仕事ができチームワークをとる能力。
(どの管理レベルにも必須な能力)
概念化能力:物事の関係性を幅広く考え長期的計画を立てる能力)管理レベルが上昇するにつれ求められるレベルが高まる)
障がい者
障がい者とは、身体的、知的、精神的な機能や形態の不全により、長期にわたり日常生活または社会生活に相当な制限を受けるため、医療機関、福祉施設、在宅等において医療・看護サービスを受ける者をいう。
患者家族
患者家族とは、患者もしくは利用者の家族をいう。なお、ここでいう家族とは、患者と婚姻・姻戚関係をもつ者だけではなく、患者が信頼を寄せる友人等、患者を支え回復を支援する立場にある者をいう。看護は、対象が本来もつ自然治癒力を発揮しやすい環境を整え、健康の保持増進、疾病の予防、健康の回復、苦痛の緩和を行い、生涯を通して、その人らしく生を全うすることができるよう支援することを目的としているため、その意味において、患者家族も看護の対象となり得る。
患者 住民 人々
患者とは、病気や外傷等、何らかの健康障害のために病院や診療所等の医療機関を受診し、医師、歯科医師あるいは看護師等の医療従事者から、診断や治療・ケアまたは助言等の医療サービスを受ける者をいう。なお、個人を指す場合だけでなく、糖尿病患者やがん患者等のように、特定疾患をもつ患者集団を表す場合もある。住民とは、疾病予防や健康教育等の地域保健活動の対象となる、特定の地域社会で生活する者をいう。人々とは、健康状態あるいは年齢や性別等を限定しない看護の対象者を広くいう。