チューブ発声法 Muscle Tension Dysphonia(MTD)





チューブ発声法はMuscle Tension Dysphonia(MTD)に対して効果が認められたとの報告がされている。

Muscle Tension Dysphonia(MTD)とは、Koufman and Blalockによると、発声時に、声帯および仮声帯、披裂喉頭蓋部の緊張過剰によって喉頭内腔が押しつぶされることを特徴とする発声障害である。MTDの発症原因は、声帯の弓状弛緩を代償するため、声帯の不十分な閉鎖を代償するため、鼻咽腔閉鎖機能不全による口腔内圧の低下を代償するため等と述べられている。

MTDに対する訓練として、チューブ発声法が有効であったと報告がされている。
チューブ発声法の原法は、鼻咽腔閉鎖機能不全のブローイング訓練として使用されてきた。たまたま声を出しながらブローイングを行ったところ、 鼻咽腔閉鎖機能だけでなく嗄声も改善したことから、 フィンランドを中心に音声治療の方法としても考えられるようになったと言われている。 チューブ発声により声門閉鎖の度合いが低下したとの報告もあり、 声帯の過緊張発声の改善が期待される。 チューブ発声法は特別な訓練や技術を要さずに自宅で簡便に出来る音声訓練であり、 頻回の通院が困難な患者でも簡単に音声訓練が出来ることから注目すべき訓練法である。 声帯結節の改善に有用であるとも言われている。

治療頻度は、週1回~月1回の6ヵ月間(計10回)。
使用したチューブは長さ22.6 cm、内径6mmのストローを使用。
自主練習として、チューブ発声練習を毎日5分×3回とし、実施するよう指導。
治療は毎回20~40分で行い効果があったとされている。

毎回チューブ発声法を行った後、使いこなし訓練として、チューブを外してチューブ発声時と同様に/fu:/と発声させるなども促すようにする。
このとき努力性嗅声が出現すると、その都度ただちにチューブ発声に戻り、チューブ発声時の感覚を意識させる。
徐々に系列語や挨拶文など、日常使用する言葉も訓練に取り入れていくようにする。