看護の目的

看護とは
広義には、人々の生活の中で営まれるケア、すなわち家庭や近隣における乳幼児、傷病者、高齢者や虚弱者等への世話等を含むものをいう。
狭義には、保健師助産師看護師法に定められるところに則り、免許交付を受けた看護職による、保健医療福祉のさまざまな場で行われる実践をいう。

看護の目的
看護は、あらゆる年代の個人、家族、集団、地域社会を対象とし、対象が本来もつ自然治癒力を発揮しやすい環境を整え、健康の保持増進、疾病の予防、健康の回復、苦痛の緩和を行い、生涯を通して、その人らしく生を全うすることができるよう身体的・精神的・社会的に支援することを目的としている。
身体的支援:看護職が対象者に対して行う体位変換や移送、身体の保清等を意味するが、これらは看護職自身の五感を働かせて対象者やそれを取り巻く環境の異常を早期に発見したり、身体を道具として用いて視診、聴診、触診等のフィジカルアセスメント技術を駆使したりすることが前提となっている。またこれらを通して、直接対象者に「触れる」ことにより、看護職と対象者の間に親近感や親密さがもたらされる。
精神的支援:看護職は、時間的物理的に対象者の身近に存在することにより、対象者にとって親しみやすく話しかけやすい存在となる。そのため、対象者の権利の擁護者として機能することができるだけでなく、また看護職自身の人格を生かした支援を行うことができる。
社会的支援:看護は、あらゆる年代の個人、家族、集団、地域社会を対象としているため、その対象の状況や社会背景に応じた支援を行うことができる。

老研式活動能力指標

老研式活動能力指標

使用目的と特徴
老研式活動能力指標(TMIGIndexofCompetence)は、Lawtonの活動能力の体系に依拠して、ADLの測定ではとらえられない高次の生活能力を評価するために開発された13項目の多次元尺度である。
これらの尺度は、「手段的自立」「知的能動性(状況対応の語を内容に即して改変)」「社会的役割」の3つの活動能力を測定するもので、各質問項目の因子所属は、項目15が「手段的自立」、項目69が「知的能動性」、項目1013が「社会的役割」である。
またこの尺度は、「手段的自立」より上位の水準の活動能力を評価できる測度がほとんどないなかで、「社会的役割」の水準を含む貴重な測度であって、在宅老人の生活機能の評価に適したものと考えられる。

使用方法
老研式活動能力指標は、自記式の尺度として開発されたものであるから、知的機能の著しく低下した高齢者でなければ、調査票への記入が可能である。家族など日常をよく知っている者による評定も可能である。面接にて聴き取る場合には、回答者が本人であっても他の者による回答であっても、調査員が自分の判断で説明を加えたり、誘導したりすることのないよう十分に注意する必要がある。
なお質問には、「いますか」「ありますか」という問いのほかに「できますか」という問いが含まれている。これは、「できること」は「していること」と同義ではないという高次の活動の特性に配慮したものである。それゆえ「できますか」という問いの場合、できるのであれば、本人が現在しているかどうかにかかわりなく、回答は「はい」でなければならない

評価表はこちらからダウンロードして下さい

判定方法

それぞれの質問項目について、「はい」という回答に1点、「いいえ」という回答に0点を与え、単純に加算して合計得点を算出する。老研式活動能力指標を全国代表サンプルに使用したときの平均得点と標準偏差を性・年齢別に示したものが、次の表のとおりである。



改訂PGCモラールスケール

改訂PGCモラールスケール

使用目的と特徴
PGCモラール・スケール(PhiladelphiaGeriatricCenterMoraleScale)は、Lawtonによって開発されたモラールの測定尺度である。
モラールの概念は、本来、戦場における兵員の士気や職場における従業員の士気を表わす概念であったが、Kutnerらによって老化・高齢者問題の研究に導入された。その際に、Kutnerらはこの語の意味を大きくかえ、「満足感、楽天的思考、および開かれた生活展望の有無を反映した生活や生活上の諸問題に対する反応の連続体」であるとした。Kutnerらによれば、それは適応と同一の現象を表わす概念であるが、適応が主として行動に関わる概念であるのに対して、モラールは精神状態ないし一連の性向に関わる概念である。
Lawtonは、Kutnerら以来、社会老年学の領域でモラールの概念に付されてきたさまざまな意味を検討し、「モラールが高い」ということは、「自分自身についての基本的な満足感を持っていること」「環境の中に自分の居場所があるという感じをもっていること」「動かしえないような事実については、それを受容できていること」という3つの意味が含まれているとした。そして、このような「モラール」を測定するためには、モラールを多次元のものとして定義したうえで、それを一次元の得点として表わす尺度が必要であるとして、そのような尺度の開発を目指した。
こうして開発され、後に改訂されたのが、改訂PGCモラール・スケールである。改訂PGCモラール・スケールによって測定されるモラールは、「心理的動揺」「孤独感・不満足感」「老いに対する態度」と命名され、主観的QOLの評価を目的としている。

使用方法
PGCモラール・スケールは自記式の尺度として開発されたものであるので、知的機能の著しく低下した高齢者でなければ、調査票への記入が可能であると考えられる。面接で聴き取る場合には、調査員が自分の判断で説明を加えたり、誘導したりすることがないように注意する必要がある。
PGCモラール・スケールについても何通りかの日本語訳があるが、定訳といえるほどのものはない。ここには、古谷の訳文を示した。

判定方法
質問項目のそれぞれについて、肯定的な選択肢(質問用紙の中で下線を付した選択肢)が選ばれた場合に1点、その他の選択肢が選ばれた場合には0点を与え、単純に加算して合計得点を出す。最高得点は17点である。質問用紙の中の[]内は所属因子を表わす。因子の名称は、Ⅰが「心理的動揺」、Ⅱが「老いに対する態度」、Ⅲが「孤独感・不満足感」である。


改訂PGCモラール・スケールの得点は、幸福な老いの程度あるいは「主観的QOL」の指標であり、被検者の相対的な位置を示すものであるにすぎない。“幸福な人”や“不幸な人”の弁別を行なうものではない。

評価表はこちらを参照下さい↓

メタ認知 metacognition

メタ認知 metacognition

メタ認知は、自分の考えやその道筋を自分で分析する能力のことである。自分の認知行動をあたかももう一人の自分が認知するようなこの現象は、「(私が)知っているということを(私が)知っている(knowing about knowing)」とも表現される。このメタ認知の能力は私たちが様々な学習を行う際に、重要な側面であることがわかっており、教育の場面では、この能力をいかに開発するかはひとつのテーマとなっている。
メタ認知には二つの側面がある。それはモニタリングとコントロールである。モニタリングはすでに述べているような「自分の認知に注意を向け、それを分析する」活動である。これに対し、コントロールは「認識したことから目標を設定し、その実行において修正を加える」活動となる。到達すべき目標に向けて、一連の知的活動を管理統制することがメタ認知の中心ということができる。

プライミング 透析

プライミング 透析


プライミングとは、 生食や透析液などの電解質液を用いて、 ダイアライザ・血液回路内を洗浄し充填することである。 日本透析医学会の用語集では、 プライミングを「回路充填」としている。 しかし透析医療現場でのプライミングとは、 「洗浄と充填」という一連の操作を表す言葉として用いることが多い。 洗浄の目的は、 血液回路およびダイアライザの製造・滅菌時に使用するエチレンオキサイドガス、 グリセリンなどの溶出物、 異物、 残留薬剤を洗浄・除去することである。 洗浄量や時間などは、 明確に指示されたものはない。

改良Frankel分類

改良Frankel分類



A.motor, sensory complete 完全麻痺



仙髄の知覚(肛門周辺)脱失と運動(肛門括約筋)完全麻癖



B.Motor complete, sensory only 運動完全(下肢自動運動なし)、感覚不全


B 1.触覚残存(仙髄領域のみ)
B 2.触覚残存(仙髄だけでなく下肢にも残存)
B 3.痛覚残存(仙髄あるいは下肢)


C.Motor useless 運動不全で有用でない(歩行できない)



C 1.下肢筋力1, 2 (仰臥位で膝立てができない)
C 2.下肢筋力3程度 (仰臥位で膝立てができる)


D.Motor useful 運動不全で有用である(歩行できる)



D0.急性期歩行テスト不能例
下肢筋力4,5あり歩行できそうだが,急性期のため正確な判定困難。

D1.車椅子併用例
屋内の平地であれば10m以上歩ける(歩行器,装具,杖を利用してよい)が、屋外、階段は困難で日常的には車椅子を併用する。
* 10m以下の歩行であればC2と判定

D2.杖独歩例あるいは中心性損傷例
杖独歩例:杖、下肢装具など必要であるが屋外歩行も安定し車椅子不要。
中心性損傷例:杖、下肢装具など不要で歩行は安定しているが、上肢機能が悪いため、入浴や衣服着脱などに部分介助を必要とする。

D3.独歩自立例
筋力低下、感覚低下はあるが独歩で上肢機能も含めて日常生活に介助不要。


E.Normal 正常



神経学的脱落所見なし.(自覚的しびれ感,反射亢進はあってよい)


【備考】



膀胱機能は包含せず.(通常D以上では自排尿である)
左右差のある場合には,左右各々を評価する.(左B2,右C1など)
判定に迷う時には悪い方に入れる。

D0群は実際はD1,D2,D3のいずれかであるので、予想できればD0(D1)やD0(D2)と記載する。

改良Frankel分類による頸髄損傷の予後予測の文献はこちら↓

簡易上肢機能検査 STEF(ステフ)

簡易上肢機能検査 STEF(ステフ)

目的:上肢の動作能力を客観的に短時間で把握する

評価者:作業療法士

対象:上肢機能が低下している者すべて(例:脳血管疾患、頚髄症、関節リウマチなど)

特徴
・大きさ・形・重さ・素材の異なる 10 種類の物品をそれぞれ移動させ、移動に要する時間を測定することで、上肢動作を客観的に評価できる
・作業スピードが重視される

メリット
同世代の健常者との比較や、同一被検者間の変化を短時間で評価できる
幼児から高齢者まで対象が広い
被検者の上肢の動き・速さの制限が、どこに障害があるためかを分析できる

デメリット
上肢に重度の麻痺があると検査不可能

同一被検者間を比較する場合、爪の長さによって誤差が生じることがある

下記等参照下さい。


間質性肺炎(interstitial pneumonia:IP)

間質性肺炎interstitial pneumoniaIP)は、原因の明らかなものと原因不明のもの(特発性)に分けられる。
前者には膠原病に伴うIP、薬剤性や放射線によるIP、吸入物質(抗原)によるじん肺や過敏性肺炎などが含まれるが、ステロイドを中心とした治療によりマネージメントが比較的容易であることから、臨床上問題となるのは原因不明の特発性間質性肺炎(idiopathic interstitial pneumoniasIIPs)であることが多い。

間質性肺炎の分類
1。原因不明のもの
・特発性間質性肺炎

2。原因の明らかなもの
・膠原病
・職業性・環境要因による暴露
・塵肺症
・過敏性肺炎
・ガス
・薬剤性肺炎
・放射線肺炎
・感染症

間質性肺炎とは
肺の問質には、肺胞隔壁、小葉間隔壁、胸膜を形成する小葉辺縁部の結合織、気管支血管周囲などの領域が含まれる。間質性肺炎は、このような肺の間質にリンパ球を主体とした細胞浸潤を伴う炎症が生じた病態でである。病理組織学的には肺胞性肺炎とは異なり、細胞外基質(コラーゲンなど)の沈着による間質の肥厚から構造改変をきたし、肺線維症(pulmonary fibrosisPF)と呼ばれる変化を生じる。
一般的には早期に間質性肺炎、病状が進行すると肺線維症が生じると考えられる一方、炎症初期であっても線維化の変化は生じていると理解される。
したがって間質性肺炎と肺線維症は連続した一連の病態をあらわす用語であり、臨床的にはいずれの病態が前面に出ているかによって名称が使い分けられている。

一般的にリモデリングをきたした肺線維症病変は治療抵抗性と考えられており、早期診断と早期治療が重要であるといえる。

発性間質性肺炎の臨床病理学的疾患名
特発性肺線維症(IPF)
非特異性間質性肺炎(NSIP)
特発性器質化肺炎(COP)
急性問質性肺炎(AIP)
剥離性間質性肺炎(DIP)
呼吸細気管支炎を伴う間質性肺疾患(RB-ILD)
リンパ球性間質性肺炎(LIP)

肝細胞がんについて

肝細胞がんについて

○肝臓とは
肝臓は、成人では1215kgの重量がある。
主な働きに、
(1)栄養を蓄える
(2)毒素を分解する
(3)胆汁を作るがあり、生命維持に不可欠。

○肝細胞がんとは
肝臓にできるがんは大きく分けて、肝臓から発生したがん(原発性肝がん)と、他の臓器のがん細胞が血管やリンパ管を通って肝臓へ移動してできたがん(転移性肝がん)に分類される。
原発性肝がんにはいくつか種類がありますが、肝細胞がんはその大部分を占める。
肝細胞がんの大きな特徴として、何らかの障害を持つ肝臓に発生する。
肝障害の原因の多くはC型肝炎ウイルス感染とB型肝炎ウイルス感染で、その他にはアルコール性肝障害、脂肪肝などがある。

肝細胞がんそのものは無症状なことが多いため、検査と診断血液検査、造影剤を使用たCTまたはMRI、超音波検査を行ない確定診断をする。

フランケル分類 Frankel分類

フランケル分類 Frankel分類

A.Complete〔完全麻痺〕、損傷高位以下の運動知覚完全麻痺。

B.Sensory only〔知覚のみ〕、運動完全麻痺で、知覚のみある程度保存。

C.Motor useless〔運動不全〕、損傷高位以下の筋力は少しあるが、実用性がない。

D.Motor useful〔運動あり〕、損傷高位以下の筋力の実用性がある。
補助具の要否に関わらず歩行可能。

E.Recovery〔回復〕、筋力弱化なく、知覚障害なく、括約筋障害なし、

反射の異常はあってもよい。

緑内障 glaucoma

緑内障 glaucoma

緑内障は、視神経が視神経乳頭で障害されることで特徴的な視野障害をきたす疾患で、眼圧下降が確立された治療である。現在の治療ではいったん障害された視神経を回復させる方法がないため、早期発見・早期治療が重要で、眼圧測定、視野検査を含めた定期的な診察は不可欠となる。さらに、40歳以上の日本人では20人中1人に緑内障がみられたとの報告がなされており、外来で遭遇する頻度の高い疾患である。一般的には緑内障は年単位でゆっくり進行するが、患者によって進行の速度はさまざまである。

診断の難しい緑内障の診断には視神経乳頭の形状と視野検査が重要だと考えられているが、視神経乳頭の形状は個人差が大きく、診断が困難な症例は珍しくない。また、視野検査も患者の協力が必要な自覚的検査であるため、慣れないうちは結果にばらつきが生じ、信頼できる結果が得られないことがよくあるという欠点がある。

機能性ディスペプシア functional dyspepsia (FD)

機能性ディスペプシア functional dyspepsia (FD)

機能性ディスペプシアfunctional dyspepsia (FD)は「胃・十二指腸領域に由来すると考えられる症状があり、 症状を説明しうる器質的な疾患、 あるいは全身性、 代謝性の疾患がない症候群」と定義されています。
すなわち、 FDは慢性の上腹部愁訴(痛み、 もたれ感など)があるにもかかわらず、 その症状を説明できる器質的疾患がみられない症候群です。

ROME IIIによると、 症状は、 辛いと感じる食後のもたれ感、 早期飽満感、 心窩部痛あるいは心窩部灼熱感の四つの症状のうち1つ以上が6ヵ月以上前からあり、 最近3ヵ月は持続することが必要とされています。 さらに、因子解析、システム研究から、食後愁訴症候群postprandial distress syndrome (PDS)と心窩部痛症候群epigastric pain syndrome (EPS)の二つのカテゴリーが作業仮説として提唱されています。

全身性エリテマトーデス SLE

全身性エリテマトーデス SLE

全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythe matosus : SLE)は代表的臓器非特異的自己免疫疾患です。
さまざまな自己抗体と多彩な臓器障害を呈する慢性炎症性疾患で、膠原病の代表的疾患です。
若い女性に好発し、紅班、全身倦怠感、多発性関節痛などによって特徴づけられ、腎、中枢神経、感覚器、肺、肝、膵、消化管、漿膜などの多臓器を傷害し、抗DNA抗体など細胞の諸構成成分に対する多彩な自己抗体の出現を特徴とします。
わが国において、SLEは難病指定されている疾患のひとつです。
SLE1540歳の妊娠可能な年齢の女性に多く発症し、その発症には性ホルモンが深く関与しているといわれています。
また、家族内発生が高く、遺伝要因の関与も大きいとも考えられています。

しかし、遺伝要因のみでSLEを発症するのではなく、遺伝的に感受性が高い者に対して、環境要因が作用することにより発症するものと推察されています。

TMT 注意障害の検査

TMT 注意障害の検査

Trail Making TestTMT)は注意障害の検査として有名で、検査用紙と筆記用具、ストップウォッチがあれば実施可能な簡便性もあり、現在多くの施設で使用されるようになりました。

数字を 1 から 25 まで順に結ぶ(Part A)、数字とひらがなを「1→あ→2→い・・・」のように交互に結ぶ(Part B)という二つの課題からなり、Part Aでは、注意の持続と選択、Part Bでは、さらに、注意の転換や配分を調べることができます。

注意障害は高次脳機能のなかでも基本的な能力の障害であるとともに、臨床的には最も高頻度で出現する障害のひとつである。

検査用紙
英語版
英語版を日本語改変版にするには、英語版Bの英語をひらがなに変えていただくと良いと思います。

鹿島先生らの日本語版はこちら↓










注意の分類

ハノイの塔検査

ハノイの塔検査 tower of hanoi
3本の棒があり、左の一本に3つの大、中、小のリングが大きさの順にはめられています。被検者の課題はリングを右の棒に最短の移動回数で移すことです。この時、中央の棒を利用することは許されますが、大きなリングを小さなリングの上にはめることは許されません。この課題は試行錯誤的には解決困難であり、一定の計画に基づいてリングを移動させる必要ことが要求されます。

保続の定義と分類(タイプ)

保続の定義と分類(タイプ)


保続の定義


保続とは、「ある刺激に対して出現した行為の全体または一部が、後続の刺激に対して繰り返し出現すること。」である。


保続の分類(タイプ) Liepmam(1905)の分類


意図性保続  intentona1 perseveraton

新しい行為を起こそうと意図する時に以前にやった行為が繰り返される現象。

間代性保続  c1onic perseveraton


ある行為を一旦始めるとこの行為が繰り返し続く。すなわち運動が繰り返される。

緊張性保続  tonic perseveraton


現在で言う強制把握  graspref1ex。

【ワレンベルグ症候群】球麻痺によっておこる代表的な嚥下障害

【ワレンベルグ症候群】球麻痺によっておこる代表的な嚥下障害

球麻痺の代表的なワレンベルグ症候群は延髄外側症候群とも呼ばれ、後下小脳動脈や椎骨動脈の閉塞によって起こります。その原因疾患は脳梗塞だけではなく解離性椎骨動脈瘤などがあり、急性期の訓練は慎重に行うべきと言われています。
ワレンベルグ症候群の発症時の症状としては、発症時は急激なめまいと嘔気、嘔吐を訴え、嚥下障害、発声障害、小脳症状、同側顔面および反対側の四肢体幹の温痛覚消失(触覚が保たれるので感覚解離と呼ばれる)などの症状がみられます。
嚥下障害は2、3週間で急激に回復する例と何ヵ月も回復しない場合があります。 遷延例ではバルーン法による訓練が有効です。
ワレンベルグ症候群では嚥下機能に左右差が出ます。
一般に食塊は健側を通過することが多いですが、患側を通過する場合や急性期と慢性期で変化する場合のあることが判ってきました。
さらに口腔から下咽頭へ送り込まれる際に咽頭収縮の左右差(健側のみ収縮する)により患側へ送り込まれることがあり、これが病態をより複雑にしています。
これらの知見は訓練を計画する際に重要な情報となります。
嚥下造影(videofluoroscopic examination of swallowing:VF)や嚥下内視鏡(videoenndoscopic examination of swallowing :VE)検査で病態を把握して訓練を進める必要があります。
リハで回復しない場合は、手術が必要となります。

失文法 agrammatism

失文法 agrammatism

失文法(agrammatism)は、失語症状の一つです。
文法的に正しい文を産生できない状態のことをいいます。
症状は発話と書字に現れ、文を構造化すること(統語構造の生成)および格助詞、前置詞、助動詞といった文法的形態素を適切に使用すること(文法的形態素の処理)が障害されます。
文法的形態素を産生することが極端に困難な場合は、電文体発話(telegraphic speech)となります。
日本語の失文法の特徴としては、以下のものがあげられます。








失文法を呈するのは、Broca失語重度失語症から回復してきたBroca失語交叉性失語などです。

失文法の責任病巣としては、20世紀初頭から左下前頭回が注目されてきましたが顕著な失文法症状は、病巣が左下・中前頭回から下頭頂小葉に及ぶ者や、左下前頭回から中前頭回に渡る病巣をもつ者が多いです。Broca野のみの病変で典型的なBroca失語は生じないことが知られていますが、失文法についてもBroca野のみの病変によって重度の失文法が発現することはほとんどありません。

Kleistが失語症の文法障害を2分別して以来、失文法に対立するものとして錯文法(paragrammatism)が記載されてきました。
Kleistは、錯文法は感覚失語に生じ、文法に写った単語系列を形成するが表現形式の選択を誤り、責任病巣は左上側頭回であると述べています。
日本語の錯文法の特徴として助詞、助動詞、接続語の誤用をあげられます。
しかしながら、その後の研究において失文法でも文法的形態素の誤用が生じることが示され現在では文法的形態素(日本語では助詞など)を脱落するか、誤用するかといった点から失文法と錯文法を区別することには意義がないと考えられています。

錯文法の特徴は、文法的形態素は誤るが、豊富な文型が発話されることにあり、このことから錯文法では統語構造の生成は比較的に保たれるが文法的形態素の処理が障害されるといえます。
錯文法はWernicke失語の回復期に生じるといわれていますが、Wernicke失語で典型的な錯文法症状を呈する症例はきわめて少ないそうです。

嚥下障害 言葉の印象からわかること

嚥下障害 言葉の印象からわかること

○口唇でつくる音(パ行・バ行・マ行)がはっきりしない
口唇を閉じる力が弱く(口唇閉鎖不全)、食べ物を口からこぼしやすくなる。

○舌の先でつくる音(ラ行・タ行・ダ行)がはっきりしない
舌の先が上顎の前歯の裏や口蓋に付きにくく(舌尖挙上不良)、食べ物の送り込みが難しくなる。

○奥舌でつくる音(カ行・ガ行)がはっきりしない
奥舌が軟口蓋と接触しにくく(奥舌挙上不良)、食べ物の口腔内での保持が難しくなり、咽頭へ流れ込み(咽頭流入)やすくなる。

○普段の会話からはわかりにくい
「パンダノタカラモノ」(パンダの宝物)、「ルリモハリモテラセバヒカル」(瑠璃も波璃も照らせば光る)と復唱をうながすことで、上記の評価が行いやすくなる。

嚥下障害 声の印象からわかること

嚥下障害 声の印象からわかること


声の質


痰が絡んだような声(湿性嗄声)からは、声門周辺に嚥下した食べ物や唾液などがたまっており、飲み込む力や声門を閉じる力が弱いことが分かる。
またかすれた声(気息性嗄声)からは、声帯の動きが弱く、声門が十分に閉じていないことが推測される。
双方とも誤嚥要注意のサインとなる。

声の長さ・大きさ


一息で長く話せなかったり、声が小さい場合は、呼吸機能に加えて声門を閉じる機能が低下していることが推測される。
そのため、痰を十分に出せなかったり、誤嚥要注意のサインとなる。
一息でできるだけ長く「あー」と声を出した時間(最長発声持続時間〔MPT〕)は、男性平均は 30 秒、女性平均は 20秒程度といわれており、9 秒以下は呼吸機能や声門閉鎖になんらかの異常があるとされている。

声の高さ


高い声・低い声を意図的に出しにくい場合は、舌根部や喉頭蓋、喉頭の知覚低下などによって嚥下反射が遅れていることが推測され、食べ物が咽頭に残留し、誤嚥しやすいサインとなる

声の響き


鼻にかかったような声(開鼻声)の場合、咽頭から鼻腔へ抜ける通り道(鼻咽腔)が塞がりにくいこと(鼻咽腔閉鎖不全)が推測され、食べ物が鼻腔へ逆流しやすいサインとなる。食べたり飲んだりすると鼻汁が出やすい人もその可能性がある。

TBI-31 脳傷者の認知-行動障害尺度

TBI-31 脳外傷者の認知-行動障害尺度

評価の目的
脳外傷者の不適応行動の程度をカテゴリー別に測定し、リハビリテーションの計画やその効果を検討することを目的としている。質問項目を生活上みられることに限定し、専門的知識がなくとも評価できるように工夫している。

使用方法
できるだけ、ご本人の日常の様子をよく知っている人が回答する。
1)TBI-31質問票」の質問項目の頻度について、最もよくあてはまる数字に○をつける。
その際、質問に相当することを行った経験がなかったり、観察の機会がないなど不明な場合は「N.該当しない」に○をつける。
2)「自動集計」を開き、各因子ごとに「因子合計得点」と「該当項目数」を入力を行う。
「因子合計得点」とは、質問項目への評定値を加算した値(Nは計算に入らない)。
「該当項目数」とは、質問項目の数からNの数を引いた値。
平均評定値とz値が自動計算され、z値のレーダーチャートが表示される。


評価表は、こちらをクリックしてエクセル形式のファイルをダウンロードしてください。

標準意欲評価法 CAS:Clinical Assessment for Spontaneity

標準意欲評価法 CASClinical Assessment for Spontaneity

標準意欲評価法(CAS)は、他覚的、自覚的(主観的)、行動観察的な視点からの評価を統合して、意欲の低下や自発性欠乏のレベルの評価を可能な限り定量的に行うことを試みている検査です。

①面接による意欲評価スケール
②質問紙法による意欲評価スケール
③日常生活行動の意欲評価スケール
④自由時間の日常行動観察
⑤臨床的総合評価

の5項目からなる検査です。

①面接による意欲評価スケール
対象との面接を通して観察を行い、それに基づいて意欲状態が評価されます。チェック項目は、表情、視線(アイコンタクト)、仕草、身だしなみ、会話、話題に対する関心、反応の仕方、気力、みずからの状況についての理解、周囲のできごとに対する関心、将来に対する希望などです。

②質問紙法による意欲評価スケール
対象例がみずから意欲に関する質問紙をチェックすることにより行わる「主観的」な意欲評価テスト(質問紙法、基本的に自記式)です。興味の喪失(認知面)、情緒障害や感情平板化などの情動の喪失(情動面)、エネルギーの喪失(行動面)などに関連する33質問項目が採用されています。回答は、「よくある」、「少しある」、「あまりない」、「ない」で答えられます。

③日常生活行動の意欲評価スケール
評価者は、対象例の意欲状態を日常生活の行動項目別に観察して評価する。このスケールは、対象例の日常生活行動を、共通した行動項目において、可及的に体系的に観察・評価し、また可能な限り定量化を試みようとするものです。評価される行動項目は、食事をする、排泄の一連の動作をする、洗面・歯磨きをする、衣服の着脱をする、入浴を行う、服薬をする、訓練を行う、テレビを見る、新聞または雑誌を読む、 他者と挨拶をする、 他者と話をする、 電話をする、手紙を書く、 行事に参加する、趣味を行うなどの16項目です。

④自由時間の日常行動観察
自由時間の日常行動を観察することにより、被検者の意欲の水準が記録されます。すなわち、リハビリテーションなどのスケジュールのない時間(たとえば午後3時半ごろなど)における被検者の行為が具体的に記録されます。評価事項は、a。行為する場所、b。行為内容、c。行為の質の評価、d。談話の質の評価などである。行為の質の評価では、1 :意欲的・能動的・生産的行為、自発的問題解決行為、2 :自発的行為、習慣的行為、3 :依存的生活、4:無動、が区別されます。

⑤臨床的総合評価では、臨床場面における総合的印象に基づき、
0:通常の意欲がある
1:軽度の意欲低下
2:中程度の意欲低下
3:著しい意欲低下
4:ほとんど意欲がない、

5段階が評価されます。