意味記憶障害の診断
意味記憶障害を呈するSDの責任病巣は、中・下側頭回、側頭極、扁頭体、海馬、海馬傍回などを含む側頭葉前方部であり、側頭葉萎縮はピック病の特徴である“ナイフの刃状”と呼ばれる高度な萎縮のため、CTやMRIなどの画像診断が有用となります。
通常、萎縮には左右差があり、臨床的には左優位例が多数を占めます。
また、言語以外の意味記憶障害では、有名人や親戚友人などよく知っているはずの人の顔、あるいは有名建造物がわからないという症状がある。これは右側頭葉優位めSD例に特徴的な症状として記載されています。
意味記憶障害がさらに進展した場合には、たとえば、風鈴そのものを見ても(視覚表象)、音を聴いても(聴覚表象)、触っても(触覚表象)、名前を聴いても(言語表象)、感覚様式を超えた同定障害が生じ、目の前の対象物がまったく理解できないという症状が現れます。
失語・失行・失認の機序は、いずれも感覚様式特異的な障害としてとらえることが原則となります。
一方、意味記憶障害の特徴はいわば超感覚様式的な概念知識の崩壊につながっています。