回復期リハビリテーション 効果
急性期 回復期 維持期
遂行機能 定義
レザックは遂行機能を「相互に独立した目的的かつ自己完結的行動を連続的に行う能力」と定義しています。
スタスは「特定の目的を達成するために、目的を記憶に保持して監視し妨害を排除する技能」と定義しています。
アンダーソンらは「複数の情報や活動に注意を向け監視し統合する機能を果たす情報処理系」と定義しています。
ラビットによれば、遂行機能は次の特徴を持つといいます。
1)それまでに経験したことのない新しい状況で目標や計画を設定し、目標を達成するためにある行動を選択して実行し、目標が達成出来たかどうかを評価し、目標が達成されていなければ行動を変更する、などの活動を行う。
2)行動を効率よく実施するため、自己の環境や自分自身についての記憶を制御する。
3)新しい行動の系列を作成し、それと関係のない行動を抑制する。
4)相互に関係のない二つの行動を同時に行う。
5)ある目標を得るために行動している時、より望ましい目標が見つかれば、それを新たな目標とし、そのための行動を行う。
6)長期にわたって維持される。
7)必ずしも意識されない
前頭葉機能障害 前頭前野
前頭側頭型認知症の臨床診断特徴
回復期リハビリテーションの栄養状態の維持・増進・改善方針
嚥下障害 調理の工夫 魚類
障害が軽度であれば、小骨の少ない魚、はんぺんが適当です。
脂肪や水分の多い魚が加熱しても固くなりづらいです。
蒸し魚・焼き魚・煮魚にしてほぐしたり、フードカッターを使います。
身の柔らかい魚はそのまま食べられます。
中等度以上の障害があれば、蒸し魚・焼き魚・煮魚に調理した魚をミキサーにかけます。
油の無い魚は、サラダ油やしそオイル、時にはマヨネーズを加えます。
だし汁やスープに対しては、トロミ剤をいれるなどの工夫が必要です。
魚類に限らず、離水せず、やわらかく、まとまりやすい形態がベストです。
意味記憶障害の診断
失語症 意味的治療
失語症 意味的治療
意味的治療の対象者は次の3型をあげることができます。
呼称・書称等の意味表象を活性化したうえで単語を表出する際に困難を示す症例で、たとえばBroca失語があげられます。
次いで意味処理障害を含むことがある失語型で、純粋型を除くあらゆるタイプが含まれます。
さらに聴覚的理解・読解は可能、呼称が困難な症例です。
意味的治療の課題
意味理解課題では、絵・聴覚的提示単語と文字単語をマッチングさせ、この際に選択肢の関連性を増大させることによって難易度を上げることができます。 同一訓練語について,訓練語のカテゴリー,同カテゴリーの対象物,関連語に関するイエス・ノー質問とつなげる
文字単語の関連性マッチングもよく行われます。
カテゴリー特異的理解障害を示す症例に対しては、目標カテゴリーに関連する情報を提供し、その後絵・単語マッチングを行います。
意味特徴治療と呼ばれる方法では、意味的障害を意味表象の特殊な詳細を失っている、と見なします。
呼称できない単語の意味情報を与えます。
密接に関連した対象間で対比、絵の意味的詳細に関する判断、意味特徴の記述を行います。
Odd one out課題では、3語のうち同じカテゴリーに含まれない語を選びます。
反応に言語表出を必要とせず、直接的にカテゴリーや概念処理の能力を検討することができます。
関連語のマッチング、類義語の生成、定義文と単語のマッチング、絵の特徴記述に関する正誤判断、単語間の意味的類似性判断などの課題が利用できます。
同一訓練語について、訓練語のカテゴリー、同カテゴリーの対象物、関連語に関するイエス・ノー質問とつなげるなど、意味的質問の系列的階層が検討されています。
語義失語の診断
失語症 音韻的治療
失語症 音韻的治療
音韻的治療の目的は、音韻出力辞書からのアクセスと非語彙ルートからのアクセスにより音韻出力バッファーにおける音韻処理過程を促通することです。
音韻的訓練の対象は2種類に分かれます。
第一は発話表出辞書へのアクセス障害を有する例で、この場合には音韻的治療に意味的治療を併用します。
一方、音韻出力バッファーの障害を有する例では、目標語は正常に活性化されているため音韻操作訓練および仮名文字訓練を行います。
通常の音韻的治療の方法
復唱は発話を促通します。
復唱と文字を組み合わせて使用します。
モーラ数の少ない単語から系統的に行います。
また、非単語により語彙知識によらない刺激を使用することができます。
仮名音読で、復唱的に音を提示することで音読を促進することができます。
文字により音の配列・選択をフィードバックします。
1文字、単語と進め、また斉唱や復唱的音読も行います。
漢字の仮名ふりでは、モーラ数、心像性、親密度、頻度、読みの一貫性を操作することができます。
音韻表象を再構築するための課題
合成課題は、複数の構成要素を合成する(花+時計)。
削除課題では、単語から特定の音を削除する(しまうま-ま)。
反転・逆転課題では、音の配列順を逆にする(すいか→かいす)。
置換課題では単語の語頭・語中・語尾など1文字を変えて、別の単語を作る(テント→テンキ→エンキ→エノキ)。
また、モーラ分解・抽出課題があり、これによりモーラ数を把握する。
仮名文字と結びつけることや音読が重要である。
音節の分節化課題では、単語の語頭・語尾の音節を仮名文字から選択する。
選択肢には音韻的・視覚的特徴の類似した文字を含める。
押韻判定課題は、2語の最終音節の同一性を判断する。
といった訓練があります。
嚥下障害 食具・食器 の選定
嚥下障害 食具・食器 の選定
食べこぼし、むせ、誤嚥等の症状がある場合には食具・食器をその機能に合わせて症状の改善をはかります。
スプーン
ボール部が小さく浅めスプーンを用いる(弱い口唇の力でも食物を捕食したすい。ボール部の幅の目安は口唇の幅の2/3程度のものを選択。握力の低下した者には食具の柄(握り)の部分を太くしたり、腕の可動域に制限がある場合には口唇の中央部まで届くように、柄の部分を変形させた曲がりスプーン。フォークなども利用)
コップ
水分を摂取する際には、頭部を後ろに傾け過ぎると誤嚥の危険性が増すので、鼻の部分が当たらないようにカットされたコップを使用する。
皿
認知低下により注意機能低下がある場合、平皿の仕様で自力摂取量が増える場合もある。
意味記憶障害にみられる症状
語義失語 (semantic aphasia)
語義失語 (semantic aphasia)
失語の『意味型』とよばれる語義失語では、文を構成する最小単位である語(特に具体語)の意味(語義)が理解できなくなります。
語義失語は、脳血管障害や変性疾患頭部外傷などさまざまな原因で生じます。
自発話は流暢で、興味ある事柄にはむしろ多弁ですが、語彙が乏しく、しばしば迂言となります。提示した線画や実物品を呼称する際には適切な言葉が出ず、語性錯語や「わからない」という反応が認められます。
失語症の病巣と症状
日常生活機能評価
痴呆症から認知症へ
右半球損傷患者 特徴
右半球症状 運動速度の調節の障害
左半側空間無視の症状
• 日常生活で左側への不注意を示す
• 左側を向こうとしない
• 食事場面で,左側に置かれたものを食べ残す
• 車椅子操作時,左側の壁にぶつかる
• 車椅子からの移乗時,左足をフットレストに乗せたまま立ち上がろうとする
• 車椅子の左側のブレーキをかけ忘れる
• 着衣時,左側の裾が乱れる
• 歩行時,左側のものを見落とす
• 左側からの刺激に気がつかない
失語症患者との会話で必要な技術
失語症の重症度
軽度
日常会話であれば、概ね自分の言いたいことを伝えられる。
専門的な話、職業の話になると、十分にやり取りできない
中等度
日常会話において、一部自力で伝えられるが、不十分で、聞き手の誘導や推測が必要となる。
重度
自分から話したり書いたりすることは困難で,やり取りすることができない。
失語症の発話の障害について
失語症の発話の障害について
流暢か非流暢か
流暢な失語
- スラスラ話す(プロソディ障害なし)
- 文が長い
- たくさん話す(発話量が多い)
- 発語失行がない
- 後方病変例が多い
非流暢な失語
- トツトツと話す(プロソディ障害あり)
- 文が短い
- あまり話さない(発話量が少ない)
- 発語失行がある
- 前方病変例が多い
発話症状
喚語困難
迂回反応
用途などを説明する。
例:「えんぴつ」→「字を書くもの」
音韻性錯語
語中音が他の音になる。
例:「えんぴつ」→「えんぽつ」
意味性錯語
他の語に置き換わる。
例:「えんぴつ」→「消しゴム」
新造語
語の意味が推測できない。
例:「えんぴつ」→「さねとり」
文の発話の障害
失文法(非流暢失語に出現)
錯文法
助詞の使用の誤り
ジャルゴン:意味をなさない発話(流暢失語に出現)
①未分化ジャルゴン
語の区切りがはっきりしない
②新造語ジャルゴン
内容語の多くが新造語に成る
③意味性ジャルゴン
発話が語性錯語から成る