Foix-Chavany-Marie症候群(FCMS) 嚥下障害
Foix、 Chavany、 Marieらは、1926年に顔面―咽頭―舌一咀嚼筋の随意運動が障害されているにもかかわらず情動性、自動性、反射性の運動が保たれ、自動運動と随意運動が解離している症例を報告しました。原著論文の著者の名を冠してFoix-Chavany-Marie症候群(FCMS)と称されましたが、その病変局在から、前弁蓋部症候群(anterior operculum syndrome)ともよばれています。症候学的には、構音障害、舌・咀嚼・咽頭筋麻痺、嚥下障害、両側性の下半分の顔面麻痺を特徴とします。FCMS患者で最も問題になるのが、構音障害、発声障害によるコミュニケーション障害と嚥下障害であり、リハビリテーション医療の対象となる問題点を数多く有します。
FCMSの嚥下障害に関連する症候、所見としては、顔面麻痺による口唇閉鎖障害、咀嚼筋麻痺による食塊形成障害、舌の運動障害による送り込み障害、咽頭反射の減弱ないし消失等がみられる反面、声帯麻痺、味覚障害はなく、嚥下反射は保たれています。