痙縮治療 ボツリヌス毒素製剤
運動障害を扱うリハビリテーション医療において関与する機会の多いのが、上肢および下肢の痙縮治療です。
現在、わが国で使用されているのは、A型ボツリヌス毒素製剤です。
ボツリヌス毒素は神経筋接合部に作用します。
神経筋接合部では神経終末から放出されたアセチルコリンに反応して筋肉が収縮します。
ボツリヌス毒素製剤の作用機序は以下のとおりです。
① 筋肉内に注射されたボツリヌス毒素は、 まず運動神経終末の受容体(レセプター)に結合します。
②
受容体に結合したボツリヌス毒素は細胞膜の陥入によって神経の内部に取り込まれ、
毒素の軽鎖がエンドソームから細胞質内に放出されます。
③
この軽鎖は酵素として働き、 アセチルコリンの放出に関与するSNAP-25という蛋白を切断し、 神経からのアセチルコリンの放出を阻害します。
以上の作用により、上肢および下肢の痙縮治療に使用されています。
また、早期のROM訓練が、効果を高めるとの報告がされています。