肩手症候群 評価
片麻痺を呈する脳卒中では、麻痺側肩の関節可動域制限・痙縮がほぼ全例に認められ、統計により12%には麻痺側前腕・手指部の疼痛・腫張をきたします。
この現象が肩手症候群(Shoulder hand syndrome)であり、主に脳卒中発症後の1~2か月のリハビリテーションが重要な時期にみられます。
この病態は、麻痺側の筋力低下、痙縮と関節可動域制限が、肩関節の下方亜脱臼をもたらし、麻痺側の知覚低下部では圧迫、過伸展などの損傷による反射性交感神経緊張性ジストロフィー(Complex regional painsyndrome(CRPS)type1,Reflex sympatheticdystrophy(RSD))が一因と考えられています。
この肩手症候群は、麻痺側の肩・手の疼痛・腫脹が慢性疼痛化し、日常生活活動(Activities of daily living:ADL)や生活の質(Quality of life:QOL)を損ない、回復期の運動療法などの理学療法や日常活動訓練、検査や治療にも大きな支障をもたらします。
肩手症候群では、診断・重症度基準として、Dieter F.BrausのShoulder hand syndrome(SHS)scoreが用いられ、疼痛、腫張、肩関節外転、肩関節外旋障害の程度をスコア化し合計します。
脳卒中では、脳内の出血・梗塞部位により脳幹・視床から体性知覚野に至る知覚関連経路の障害により様々なパターンを示します。痺痛よりしびれなどの異常感覚が主体などその性質も多様です。
脳卒中肩手症候群スコア(Dieter FBraus et al,1994)
Ⅰ.疼痛感覚
0:ない 1:軽度 2;中等度 3:強い4:かなり強い5:誘因なく自発痛
Ⅱ.浮腫(自律神経)
0=ない 1:軽度 2:強い 3:かなり強い
Ⅲ.肩外転可動域
0:120°以上 1:120°以下 2:90°以下 3:45°以下
Ⅳ.肩外旋可動域
0:30°以上 1:30°以下 2:20°以下 3:10°以下
4項目め合計点数で評価