SDS 自己評価式抑うつ性尺度

SDS(Self-rating Depression Scale)自己評価式抑うつ性尺度は、1965年にDuke(デューク)大学のZung(ツァング)によって考案されたうつ症状の自己評価尺度である。日本語版は東北大学の福田と筑波大学の小林により翻訳・再構成されて三京房から発行されている。
SDS はうつ病患者のうつ症状の程度を評価することを目的に開発された。

現在では、うつ病の治療経過を追うための指標として用いたり、うつ病のスクリーニングにも活用されるようになった。SDS を用いることでプライマリケア医のうつ病診断率が2.525倍向上するといわれている。SDS はうつ症状を簡便にかつ定量的に評価することをねらいとしている。したがって10分以内で回答できるよう質問項目を絞って質問内容も簡単にしている。SDS は自己評価尺度とされているが、ここで言う「自己評価」とは「自己回答」の意味で、採点や結果の判断は検査者が行うのが原則である。SDS はあくまで診断の補助ツールであり、うつ病の最終診断はトレーニングされた医師が行わなくてはならない。

SDS 20の質問項目で構成される。各項目は「ないかたまに=1点」、「ときどき=2点」、「かなりの間=3点」、「ほとんどいつも=4点」の4段階で評定され、総得点でうつの程度を示す。ただし全項目の半分にあたる10項目は逆転項目になっている。逆転項目とは例えば「まよわず決断できる」というように質問の仕方を陽性に変えたもので、4 3 2 1点と逆に採点するようになっている。これら逆転項目の順番は入り交じっているため、回答者がパターンをわからないように工夫されている。総得点の最低得点は20点、最高得点は80点となり、点数が高い程うつの程度が高いことを意味する。

福田一彦・小林重雄の使用手引によると、総合得点を百分率に換算(1.25を乗じた数)したSDS指数(SDS index)と呼ぶ考えもあるが、あえて換算する理由はないので、粗点をもとに考えて構わないとしている。
日本版(粗点)において、正常者の平均(±標準偏差)は35±8、神経症者49±10、うつ病者60±7であり、うつ病においては殆ど性別差を見ない。下記のような点数分布もよく利用される。

評価用紙例はこちら↓
http://www.nmckk.jp/pdf.php?mode=puball&category=JJCD&vol=24&no=7&d1=2&d2=1&d3=3


SDS粗点
粗点
評価
~49点
正常
50点~59点
軽度のうつ状態
60点~69点
中等度~高度のうつ状態
70点~
極度のうつ状態