悪性症候群 概要
・発症頻度
最近の報告では発症頻度は0.07~2.2%といわれています。報告によって発症頻度にばらつきがありますが、これは医療機関ごとに対象となる疾患や患者さんの状態、治療のしかたが若干異なるからだと考えられます。
・発症の時期
発症は、薬剤を投与後1週間以内に発症することが多いですが、投与後だけでなく、それまで服用していた薬剤を減らしたり中止した直後に発症することもあります。
・発症のしくみ
脳内には、さまざまな種類の神経伝達経路がありますが、悪性症候群を引き起こす可能性のある薬剤は、共通してドパミン神経系に作用したり影響を与えることから、この神経系に加わる急激な変化が発症に関連していると考えられていますが、まだ詳しい発症の仕組みは分かっていません。また、精神神経用薬を服用する多くの患者さんのうち、この悪性症候群を発症する患者さんはそのごく一部であり、これまで、発症を促進する危険因子についてさまざまな報告があります。
・発症の危険因子
脱水、身体の著しい疲弊状態が危険因子となります。そのほか、脳神経疾患を合併している患者さんに発症しやすいともいわれていますが、発症の頻度がきわめて低いこともあり、十分な検討はなされていません。一方で、過去に悪性症候群を再発した患者さんは再びかかりやすいともいわれており、そういった一部の患者さんについては、遺伝的に規定される何らかの体質要因が発症の危険因子となっているのではないかと考えられています。