嚥下障害 対症療法 脳卒中一般の管理


嚥下障害 対症療法 脳卒中一般の管理

推奨
1.嚥下障害が疑われる患者では嚥下造影検査(VF検査)の施行が望ましいが、ベッドサイドでの簡便なスクリーニング検査としては、水飲みテストが有用である(グレードB)。

2.検査の結果、誤嚥の危険が高いと判断されれば、適切な栄養摂取方法および予防を考慮することが推奨される(グレードB)。

エビデンス
脳幹部、多発性梗塞、広範囲の梗塞などは、嚥下障害の高危険群である。嚥下の障害
は誤嚥性肺炎を引き起こし、予後を不良にするので、食事を開始するにあたっては適切な
評価が重要である。嚥下造影検査(VF検査:videofluoroscopicswallowexamination)は誤嚥の評価方法として確立されているが、X線透視下で行わなければならないなど手技が繁雑な点もある。水飲みテストは、嚥下造影検査と比べても、比較的感度が高くベッドサイドで簡便にできる検査として有用である。その他唾液の嚥下、半固形食、水と段階的に嚥下機能を評価していく方法も考案されている。検査の結果、誤嚥の危険が高いと判断されれば、適切な食物形態または摂取方法を考慮することが必要である。
L-酒石酸吸入により不随意の反射性咳嗽が減弱もしくは消失している脳卒中症例に対しては、経口摂取以外の栄養管理法を選択することにより、本法による判定を行わない場合
に比して、誤嚥性肺炎を有意に抑制することができる。
嚥下試験中に誤嚥のない脳卒中患者を対照として、VF検査を指標とした時、VF検査に
て誤嚥が認められる脳卒中患者では、非観血的酸素飽和度測定法によりベースラインから
酸素飽和度(SpO2)が2%以上低下することで、ある程度の推測ができるとの報告がある
。また、内視鏡検査を指標とした時、水飲みテスト中に“むせ”およびSpO22
以上の低下があることの感度と特異度が高いとの報告がある